タケニグサを見つけたすぐそばで、
また別のみちくさに出会いました。
ちいさなかわいい花をつけた、
そのみちくさの名前は‥‥?
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梅田 |
ええと、これはですね、
まあ、名前がかわいそうな植物なんですけど。 |
吉本 |
もしかしたら。 |
梅田 |
オオイヌノフグリっていうんです。 |
吉本 |
ついにでましたか、イヌノフグリ。
名前は知っていました。 |
梅田 |
はい。
これは、「オオ」イヌノフグリなんですよ。 |
吉本 |
「オオ」がつくんですね。 |
梅田 |
ええ、外来品種なんです。
これがどんどん増えたために、
昔からあるイヌノフグリの方が
あまり見られなくなってしまいました。 |
吉本 |
そうなんですか、
昔からのと最近の外来種があるんですね。 |
梅田 |
はい。
それで、この名前の由来なんですが。 |
吉本 |
ええ。 |
梅田 |
そもそもは、イヌノフグリに対して
つけられた名前だったんです。
イヌノフグリはもっと小型の草で、
花もちいさくて目立たないのですが、
果実の方は比較的大きくて目立つんです。
なんといううんでしょう、
ハート形をさかさまにしたような形で、
ボールがふたつくっついていうるような。
それがぶらさがっている様子が、
まあ、その、犬のタマタマに似ていると。 |
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吉本 |
はい、聞いたことがあります。 |
梅田 |
「ふぐり」っていうのは、
タマタマのことですから。
しかも、イヌノフグリの果実の表面には
短い毛がはえてるんです。 |
吉本 |
へええー。 |
梅田 |
ですからイヌノフグリの方は、
もう、ほかに名前がつけようがないくらい、
犬のそれにそっくりなんですよ。 |
吉本 |
そうなんだあ。 |
梅田 |
でも、このオオイヌノフグリは、
果実が丸くなくて、扁平で、先も尖っています。
これを見ただけでは、犬のそれを発想しにくい。
つまり、元祖があるからこその名前なんですね。 |
吉本 |
同じ仲間の大きいやつだから、
その名前になちゃった。 |
梅田 |
ええ。
こんなにね、こんなにかわいいんだから
もっと別の名前にすればいいと
思うんですけどね(笑)。 |
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吉本 |
でも、すごく覚えやすいです(笑)。 |
梅田 |
学名がですね、
ベロニカ ペルシカ(Veronica persica)
っていいます。 |
吉本 |
ベロニカ。
そっちはずいぶんきれいな名前ですね。 |
梅田 |
ベロニカっていうのは、
十字架をかついでゴルゴタの丘に向かう
イエスキリストに、ハンカチを差し出した
女性の名前と言われています。 |
吉本 |
あー、そっちのほうがイメージがいいですね。 |
梅田 |
キリストはそのハンカチを受け取って
汗を拭いてベロニカに返したら奇跡が起きて、
ハンカチにキリストの顔が浮かび上がったと。 |
吉本 |
顔が。 |
梅田 |
オオイヌノフグリの花を見ると、
見方によっては花の中に
人の顔が浮かび上がって見えるんです。
それが名前の由来ではないかと、
そういう説もあるんです。 |
吉本 |
‥‥ほんと、ひとつひとつのみちくさに、
いろんなお話があるものですねえ。 |
梅田 |
はい。
勉強しても、しきれません(笑)。
いやあ、けっこう歩きましたね。
ちょっと休憩しましょう、
そこのちいさな橋のあたりで(移動)。 |
吉本 |
はい(移動)。 |
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梅田 |
雨上がりは、きもちがいいです。 |
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吉本 |
ほんとに。 |
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梅田 |
平日ですので、静かですし。 |
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吉本 |
川の音がさらさら。 |
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梅田 |
ちょっと休んだら、
向こうに「ほたるの里」という場所があるので
そっちに向かいましょう。 |
吉本 |
「ほたるの里」ですか。 |
梅田 |
ええ。
いちおうそこが、
今回のみちくさのゴールになります。 |
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オオイヌノフグリ、覚えました、よね?
とても印象に残りやすい名前ではないでしょうか。
ゆっくり続いた「のがわ」でのみちくさも、
ぼちぼち終盤。
のこすところあと3回となりました。
次の「みちくさ」は、金曜日に。
「のがわでみちくさ」編は、
火曜日と金曜日の更新でお届けしています。
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