きっと、本人は上手に告知できないでしょうし、
ひょっとしたら、まったくお知らせしない
という可能性だってなくはないので、
本人がいろいろ言うまえに、
「それはぼくが書きます」と手を挙げました。

こんにちは、です。
ぜひ、お知らせしたいことがあります。

弊社の乗組員、山下哲が絵本を出します。
『ぼくは うさぎ』という絵本です。

もう何年も公私にわたっておつき合いのある、
イラストレーターさんの福田利之さんと
山下がじっくりと取り組んでつくった絵本です。
そう、このふたりは、
「カッパとうさぎのコーヒーさがし」の
名コンビですね。

しかしながら、この絵本は、
ほぼ日から出版されるものではありませんし、
ほぼ日のコンテンツともまったく関係がありません。
なぜなら、この絵本は、
山下がほぼ日の乗組員になる前に企画され、
途中まで制作が進んでいた本だからです。

そういう絵本があることを
ずっと前に聞かされてはいました。
「福田さんとつくりかけた絵本があるんです。
 まだ途中なんですけど」と。

埋もれかけていたこの絵本が息を吹き返し、
きちんと出版されることに、
まずは「おめでとう」と言います。
たぶん、山下も福田さんも、
一時期はあきらめていたんじゃないかと思います。
本に限らず、あらゆるプロジェクトは、
その品質や、当人の努力とは無関係に、
意外な理由で進まなくなったり
ぎりぎりのところで止まってしまったりしますから。

『ぼくは うさぎ』という絵本は
あかね書房さんから出版されます。
山下哲がお話を書き、
福田利之さんが絵を描きました。

絵本の主人公は、うさぎのころんです。
公式に案内されている
この本「あらすじ」を紹介しましょう。

ころんは、さえちゃんちのうさぎです。
ある日、お友だちが遊びにきていいました。
「わあ、かわいい。いぬをかっているのね」。
…ころんはびっくり! 
うさぎだけど、たれ耳なので、
犬とかんちがいされてしまったのです。
そこで、ころんはいっしょうけんめい、
犬になる練習をはじめました。

かわいいでしょう?
絵も、お話も、とってもかわいいんです。

作者の、つまり山下哲の、
公式のプロフィールにはこう書いてあります。
本人には面はゆいかもしれませんが引用しましょう。

1962年生まれ。宮城県仙台市出身。
「ほぼ日刊イトイ新聞」の編集者。
2007年までは演劇活動を続け、
ミュージカル、テレビ、
アニメーションなどの脚本を手がける。
著作に『カワイイもの好きな人々。
(ただし、おじさんの部)』(アスペクト)、
『ファイヤーキングマグ図鑑』(河出書房新社)など。
「パンク」という名前の
耳のたれたうさぎと、9年暮らした。

そう、山下は、ほぼ日の乗組員になる前、
演劇活動にたずさわり、
さまざまな脚本を書いていました。
必要がないから「ほぼ日」ではまったく触れませんが、
そういった過去の蓄積、素養は、
現在、彼がほぼ日のコンテンツをつくるに当たり、
大いに役立っているとぼくは思っています。

たとえば、
ぼくが個人的に大好きなのがこのあたり。


「ザッハトルテ家族2013」より。
毎年、お正月に発売されるザッハトルテの告知に合わせて
なぜかくり返される、おかしな家族の茶番劇。
2013年版は新ネタとお約束のバランスがよく、完成度が高い。


「カッパとウサギのコーヒーさがし
」第11回より
乗組員の笠井が持ち込んだビン入りのコーヒー豆。
しかし、その栓が抜けず、事態は思わぬ方向へ‥‥。
現場の流れを徐々にデフォルメする山下節の真骨頂。


「カワイイもの好きな人々。」第41回より
山下が乗組員になる前にほぼ日で連載していたコンテンツ。
どの回もすばらしいが、個人的にはこの回がお気に入り。
ふつうはなかなか一回持たせられない。カピバラの回も好き。


「2013年あんこの旅」第8回より
糸井重里が大統領としてあんこを語る連載。
コンテンツの主役を尊重しつつコミカルに仕上げる。
登場する人への「敬意」も演出家の重要な要素。

ぼくも、コンテンツをつくっているので、
山下とそれぞれの手法や
つくったものの出来映えについて
話すことがしばしばあります。

そのとき、よく、話に出るのが、
ほぼ日に入るまえに、
「自分が自分の名前でなにかをつくっていた」
ということが、大きな支えになっているということ。
とりわけ、読者のみなさんに向けて
真面目なことよりも、
ちょっとおもしろいことを提案するようなとき、
「かつて自分がやってきたこと」が
勇気というと大げさですが、
ためらいのようなものを取り去ってくれる。

違う言い方をすれば、
「自分の名前でなにかをつくるのって、
 とんでもなく恥ずかしいからねぇ!」
っていうことです。

そういう意味でいえば、
山下哲が出す『ぼくは うさぎ』という絵本は、
彼にとって、とても恥ずかしく、
そして同時に、とても誇らしいことでしょう。

絵本は、もう間もなく本屋さんに並ぶはずです。
そうそう、青山ブックセンターでは、今日から、
福田利之さんのすばらしい原画が展示されるそうです。
8月9日には、トークイベントもあるらしいですよ。
こっちはたぶん、純粋に恥ずかしいでしょうねぇ。

ご都合があえば、ぜひ、お越しください。
ぼくもからかいに行くかもしれません。

【絵本『ぼくは うさぎ』原画展】

期間:2014年7月30日(水)~8月19日(火)
場所:東京 青山ブックセンター本店

【絵本『ぼくは うさぎ』刊行記念 
 山下哲 × 福田利之 トークイベント】

日時:2014年8月9日(土)15:00~16:00 開場14:30
場所:東京 青山ブックセンター本店 小教室
料金:540円(税込)福田利之さんのポストカード1枚付き
定員:50名

http://www.aoyamabc.jp/event/iamarabbit/
※予約につきましては
 青山ブックセンター本店までお問い合わせください。
※トーク終了後、福田さんのサイン会を開催します。

 

ぼくは うさぎ
山下 哲 作/福田利之 絵

発行:あかね書房
定価:1,404円 (本体1,300円+税)幼児から
A4判/32ページ/ISBN978-4-251-09877-1
/C8793/NDC913
初版:2014年7月
【Amazonの販売ページはこちら。】

2014-07-30-WED