オトナな会話(仮)
さくらももこ×糸井重里の対談です。

その5
何日間かごきげんなら、いいんだよね。


さくら そうなんですよね。でもさ‥‥
インドは‥‥
糸井 変わんないんですよね。
なんなんだろうね?
さくら うん。変えられない部分はありますよね、
インドを。
糸井 あれをさ、統治してこようと思った
イギリス人ってさ、なに考えてたんだろう?
だって、相いれないじゃないですか。
で、一方では、
アメリカなんかに留学してる
インド人のコンピュータ技師とか、
もんのすごい優秀なんでしょう?
さくら ものすごい優秀なんですよね。
インド人は頭がいいんですよ。
インド人はやっぱり
「0」を発見してるし。
糸井 頭がいいっていうのと、
なんかわけわからないっていうのと、
二重なんだよね。
わっからないよねぇー。
さくら ね? 哲学とかもさ、
考えたりしてて。
タージマハール造るのだって、
たぶんすごい計算いったと思うんですよね。
そういうの思うと、
偉いよなーって思うんだけど。
糸井 その偉さと具体的な景色が、
どーしても結びつかないんですよね。
困っちゃうんですよね。
さくら 困っちゃう(笑)。ところがね、
インド人の多くが
英語できたりするんですよ。
私、英語できないんで。
なのにインド人は日本語までちょっと
しゃべったりしてるのを聞くと、
頭いいんだなと思ったりして。
糸井 頭の使い方が、独自なんですかね?
だってさ、百円ライターを作ってる工場が、
インドの中にないって聞いたよ。
さくら えっ! ほんとに? そうなんだ。
糸井 つまり、それはたいへんな
貴重なものだっていうんですよ。
一方ではコンピュータ技師がどんどん育ってる。
‥‥独自だろう?
さくら 独自ですよ(笑)。
普通の風邪薬とかがないのに、
バイアグラとかそういうのを、
インド、ものすごい作ってるんですよ(笑)。
発達してるの(笑)。
糸井 作るなよ!
萎えたら萎えたままで生きろよ!
さくら ほんとね(笑)。
糸井 もっとな、火のつきやすいマッチとか、
バンドエイド的なものとか。
さくら ほんと、ほんと。ねぇ、なんかね(笑)。
糸井 そのインドに、やっぱりね、
ちょっとね、コクがあってね。
さくら とんでもないもの見たっていうことを、
すんごい時間がたつと、
もう1回ぐらい見てもいいかな? って、
ちょっと思うんですよね。
糸井 ももちゃんもそう思う?
さくら すごい時間がたてばですけどね。
2、3日で帰ってこれるんだったらね、
ちょっといいかなと。
でも、2、3日で帰ってこれないですよね、
インド。
糸井 そういう場所ですよね。
さくら うん。
糸井 あの、アマンリゾートの、
インドっていうのがあるんですよ。
それを知っちゃうと、
アリかな? って(笑)。
さくら ほんと? いつできたんですか?
ほぼ日 去年ですね。
ラジャスタンに。
さくら ラジャスタン。あー。
糸井 そこを本拠地にして、
ササササササッて見て、
ササササササッと帰って。
っていうのはあると思うんです。
だって、アマンはブータンにまで
作ったそうですから。
さくら ほんと!? いいですね。
糸井 ようするにさ、
矛盾を狙ってってるわけですよ、
ぜんぶ。
さくら そうですよ。スリランカにも
作るっていう話なんですよね。
糸井 インドはテントらしいよ。
さくら テント!
私たちが泊まったインドのホテルは、
考えられないくらい広いところで。
1軒1軒、家になってて。
あと、もう1コはまたね、
土塀で囲ってあって、
テントが張ってあるの。
インドでテントですって
言われたときには、
もうボロいテント想像してたんだけど、
もう立派なテントで!
糸井 いいじゃん!
さくら ちょっとしたサーカスだったら
できるくらいの雰囲気の大きさで。
庭が塀で囲まれてるから、いいんですよ。
アマンもきっと
そういう感じかもしれない。
糸井 この敷地の中は
パラダイスですよっていうのを作るのは、
アマンが上手いよね。
ああいうのを見ちゃうと、
競馬馬買うとか、
ロールスロイス一応持ってるんだとか、
羨ましくないんですよ。
三宅一生さんかなんか、
マハラジャがスポンサードして
小っちゃいジェット機で往復しただとか
そんなふうな話がちょっと
聞こえてきたりしてね。
で、さぞかしすごかろうと思うんだけど、
でも、でもなんかね、
聞いててもあんまり羨ましくなかったんだ。
さくら そうねぇ。
糸井 あのあたりにさ、なんかこうね、
自分のやりたいことっていうのが、
大金持ちになることじゃないな、
ってわかるんですよね。
豪華客船っていうのも、
ちょっとマハラジャなものかもね。
昔の価値観での、すごいいい食器
使ってたりするのかもしれないけど、
今日は6時からダンスの夕べです、
チャッチャカチャッチャチャーみたいな。
古いドレスを出してきて、
みたいなおばあさんがいて。
それはそれでいいけどさ、
自分は参加する気ないですよね。
さくら それだったらアマンですよね(笑)。
糸井 そうだね。(笑)。
つまり、何日間かご機嫌であったら、
いいんですよね。
だから、住ませてくれっていうような
いいものって、ないね。
さくら うん、ないですね。
住ませてくれっていうものはないんで、
しょうがないから自分ちを
便利にするっていう方向になりますよね。
糸井 ま、穏やかな家とか。
さくら そうそうそうそうそうそう。
いい感じのね。

ほっ‥‥話が穏やかなほうへ。
来週につづきます。
でもまだそんなに穏やかにはならないんだよね。
2005-05-13-FRI
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