ずらりと並んだ応募作品はご覧いただけましたでしょうか。
あの中から、最優秀作品をひとつ選ぶ‥‥。
それはたいへん、むずかしい作業だと思われます。
そのむずかしさについて、
糸井はこのように話していました。
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「そもそもこの場合、いい作品って、なに?(笑)
なにを基準に優秀だと決めればいいの?
これはなぁ‥‥案外むずかしい仕事ですよぉ、
だって、ぜんぶいいんだもん。
うーーーーん‥‥」
おおいに悩みながらも、
劇団セルフタイマーの座長は、
「いちばん笑って盛り上がったやつにします」
とグランプリにあたる1作品を選出。
そのほかに10点を「佳作」として選びました。
それでは、発表いたしましょう。
「佳作」の10点を先に。
最優秀作品は、最後に。
座長・糸井重里のコメントとともにおたのしみください。
(入選作の画像をクリックすると、
それぞれの投稿に添えられていたメッセージが読めます)
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劇団セルフタイマー監督(KJ)さん |
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「動物の作品からは、やはりひとつ選びたいですよね。
どれもぜんぶいいので困っちゃうんですけど、
これにしました。
真ん中のワンちゃんが、舌を出して、真正面。
演技が完璧です。
シャッターを押したのは、左の男性でしょう。
あわてて戻ってきたはずなのに、
落ちついて見せている(笑)。
あと、やっぱり屈みますね。セルフタイマーポーズ。
なんにせよ、
『自分とペットがいっしょに写ってる写真が
考えてみればあんまりなかったです』
という声が多くて、
それがこんなにできたのは、よかったですよね」
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劇団セルフタイマー監督(Mikke)さん |
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「友だちといっしょにセルフタイマーっていうのも、
いい作品ばかりでした。
みんなでジャンプしてる写真が
けっこうありましたね。
3、2、1、ジャンプ。
みんなやっぱり、跳ねたいんだなぁ。
この作品を選んだ理由は、
手をつないでいるちいさな共演者が良かったからです」
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劇団セルフタイマー監督(ひげちゃん)さん |
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「これはね、よく考えながら見るとすごい作品なんです。
カメラと写る人のあいだに、池がある。
シャッターをセットしてからたぶん10秒で、
この池の横をぐるーっと走って、
ポーズするわけでしょ。
走ったのは‥‥
左から3番目のピンクの人がそうですか。
いいなぁ(笑)。
よくがんばりました」
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劇団セルフタイマー監督(ヤマチ)さん |
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「いい(笑)。
まるで脚本があるかのようなシーンですよね。
『裸族と母、毎朝の闘いの模様です。』
というメッセージが添えられていました。
その緊張感が伝わってきます。
赤ちゃんという俳優は、
動物という俳優と共通点がありますね。
どちらも、自由。カメラ都合を考えない。
それがいい味になるんだと思います」
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劇団セルフタイマー監督(toko)さん |
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「同じ方の作品、2枚ひと組で佳作にします。
まず、上の1枚め。
典型的なセルフタイマーの失敗例です。
せっかくの入学式なのに、
しらない人が前をよこぎった。
3人家族の微妙な表情がいいですね。
そして2枚め。
これが失敗写真と同じご家族ということに、
あとで気づいたんです。
そしたら、じわじわと‥‥
組み合わせで感じる物語がよかったんですよ。
このご主人は単身赴任中でいらして、
お見送りの空港で撮ったセルフタイマーなんですね。
つまり、単身赴任中のお父さんが
入学式のために帰ってきたのに、
セルフタイマーで失敗してしまった、と。
しびれますねー。
お母さんの明るさも、いいです」
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劇団セルフタイマー監督(なろちゃん)さん |
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「沖縄にひとり旅したときの劇団行為だそうです。
ひとりで‥‥ですからねぇ。
そう思うだけで、ものすごくおもしろくなるんです。
ああ‥‥
この波止場のような場所で‥‥いいなぁ(笑)。
こんなに落ち着いて
黄昏たような雰囲気を演じてらっしゃいますけど、
これ、カメラとの距離はずいぶんあるんです。
つまり、セットして、わーーっと走ってるんですよ。
走ってから、黄昏れる。
‥‥いいなぁ(笑)。
レコードジャケットのようなこの写真を
撮りたかったんでしょうね。
すばらしいです」
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劇団セルフタイマー監督(カカオパカパカ)さん |
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────:
「カラーボックスを組み立てるところを撮ろうと思った」だって(笑)。
もうね、いっしょにあったメッセージが
すごいんですよ。
『主人が出かけていることを幸いに、
カラーボックスをつくる自分を
セルフタイマーで撮りました』
‥‥ね、すごいでしょう。
これって、なんていうんだろう、
ほぼ日手帳の心があるんですよ。
『わたしの日々』っていう。
『ある日、私は、カラーボックスを組み立てたのでした』
っていう、一枚です。
人が見ると笑うかもしれないけれど、
いいセルフタイマー写真だと思います」
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劇団セルフタイマー監督(サカイ)さん |
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「これ、セルフタイマーということがなければ、
ただのバイクに乗ってる写真ですよ(笑)。
すごいなぁ。
アイデアに感心しましたし、笑いました。
メールには、
『タイマーをセットし
バイクのところまでダッシュで行き
エンジンをかけ走り出すので忙しかったです。』
とありました。
そうでしょう、忙しかったことでしょう(笑)」
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劇団セルフタイマー監督(まる。)さん |
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「今回の投稿で、いわゆる『自分撮り』のほかに、
『わたくし撮り』というジャンルがあるとわかりました。
演出を加えて、わたくしを撮る。
この企画のいいところは、
自分のことを堂々と『女優』と言えることです。
『作品』とか『舞台』とか『俳優』とか、
言いたい放題で言えます(笑)。
それを言うことがたのしい企画ですから。
劇団行為ですからね。
この作品も、いいですね。
ある奥様が、外では絶対できない短パン姿を
ご自分で撮って投稿してくれました。
‥‥この企画をやって、よかったなぁと思いますよ。
人々を、こう‥‥解放していますよね。」
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劇団セルフタイマー監督(ちょい)さん |
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「恋人とふたりで撮ったラブラブの写真も多数でした。
これがなぜか、この企画だと憎めない。
セルフタイマーっていうだけで、憎めない。
ふつう、こんちくしょう! とか思うでしょ(笑)。
でも、劇団行為だと憎めない。
なぜでしょうね?
それはともかく、そんな中から、
すごくきれいに撮れていた作品を佳作に選びました。
2枚とも同じカップルです。
このカップルは、三脚を使っているんですよ。
それはねぇー(けわしい表情)、
ぼくの劇団が行かなかった、もうひとつの道なんです。
三脚を使うか使わないかの分かれ道で、
ぼくは使わないほうを選んだ。
‥‥この話は長くなりますが続けます。
たとえて言うと、
インディーズで音楽やってきた人たちに
メジャーからお誘いがかかった、みたいな感じです。
ぼくはやっぱり『ずっとインディーズでやりたい』
っていうのがあるんですよ。
それに対して『三脚』というものは、
まぁ、いわば、あれです、
『あまちゃん』で古田新太さんが演じている
太巻(荒巻太一)なんです。
『ねぇ、きみ、三脚つかってみない?
もっとさ、三脚でいい写真撮ろうよ。
きれいに撮れば、もっとたくさんの人に届くよ』
っていう存在です。
いや、三脚を悪く言ってるんじゃないんですよ。
たぶん、どっちもいいんです。
どっちの道もまちがいではない。
ぼくは自分で選んで、インディーズ路線を進んでいる。
それなのに、
太巻さんの声にクラっとしちゃった(笑)。
こんなにきれいに撮れるんだ‥‥と。
このラブラブできれいな写真は、
三脚を使わないぼくの心をそうやって揺さぶったので、
佳作をさしあげたいなと思ったわけです」
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劇団セルフタイマー監督(あさのぶそう)さん |
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「いちばん、この場が湧いた作品です。
なんでしょうねぇ‥‥豊富なんですよ(笑)。
物語があふれかえっている。
まず、ぜんたいに写真がななめ。
見る者の心をざわつかせます。
何かを見つめている女性と、犬。
うしろのゴミ袋にも事件性を感じますね。
で、よく見ると奥におばあちゃんがひそんでいる!
わあーっと思いながらさらによく見ると、
おばあちゃんがいる部屋には柵があって、
どうやら犬が行けないようになっている!
おばあちゃんは犬嫌いなのか?!
もう、ね、幾層ものストーリーが(笑)。
たいへん味わい深い上演作品でした。
これがグランプリ、おめでとうございます」
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