こんどの特別展は、「運慶」だって。
それは、なにか、たいしたものにちがいない。
歴史にも美術にも詳しくなくても、
「運慶」の名前くらいは知っているし、
写真なら、いくつか見たことだってある。
有名なのである。
これまでも、東京国立博物館は、
たいしたものの「特別展」をいくつも催して、
いわゆる「大ヒット」を飛ばしてきた。
「鳥獣戯画」「阿修羅」「始皇帝と大兵馬俑」
いわゆる有名なタイトルは、とにかく入場者も多い。
列が長く延びて、何時間待ちみたいなこともある。
「運慶」だって、大混雑になるんじゃない?
とか思うと、ちょっと臆してしまうんですよね。
でも、行って「よかったぁ!」と満足がいくなら、
多少の行列くらいはがまんします、とも思う。
「運慶」は、どうでしょう、行ったほうがいいのかな?
もちろん混むんでしょう?
でも、行ってよかったと思えるでしょうか。
なにしろ「天才仏師・運慶の傑作が集結する
史上最大の展覧会」だっていうし、
全国各地に現存している31体*のうち22体が集まる
「奇跡の55日間」だっていうし、
行きたい気持ちは山々ですよね。
よし、その気持ちを後押ししてもらおうと、
大著『運慶大全』(小学館)の運慶学者・山本勉さんに、
お話を聞きに行きました。
※運慶の作品数については諸説があるものの、
31体とする見方が一般的。
奈良仏師を代表する仏像作家。
生年は不詳ながら、およそ1150年ごろと考えられる。
王朝が没落し、武者の乱世に移る歴史の曲がり角で活躍。
流麗・華麗から幽玄、あるいは躍動感あふれる仁王像まで、
そのノミさばきは神業、と言われる。