本読む馬鹿が、私は好きよ。

きょうてぇ、きょうてぇ。

怖い本読んでますか?
怖い話ならば、「ほぼ日の怪談」をどうぞ。
怖い味写でしたら、こちらでお楽しみいただけます。

もう夏もどん詰まり。
妙に寂しく感じるのは、
こどもの頃の夏休みが終わる時の
記憶のなせる技でしょうかね。
困ったもんだ。一生続く感情なのかしら?

しかーし、困ってる場合じゃあないのでして。
夏が終わってしまう前に、
皆さんからオススメいただいた本を、
どんどん紹介しないと、秋になっちゃいます。

では、早速。
黒い家』『屍鬼』とならんで、メールの多かった
↓こちらから。
ぼっけぇ、
きょうてぇ

岩井 志麻子 (著)
価格: ¥480 (税込)
出版社: 角川書店
ISBN: 4043596014


=
最近、図書館から借りてきて
読んだのですが、
もう早く返却しに行きたい
自分の手元に置いておきたくない怖さです。
4編の短編集なのですが、どれも怖い。
どの話も、舞台は岩井さんの故郷、
岡山を舞台にしています。
時代背景が、明治や大正という
「そんなに昔ではない日本の山陰地方」。
そこがまた読み手の想像力を膨らませるのです。
1話目の「ぼっけぇ、きょうてぇ」は、
遊郭の女郎がお客にぽつりぽつりと語る、
自分の身の上話なのですが、
女郎の岡山弁の語り口が、怖さを倍増させます。
物語終盤の「もしかして‥‥」という気持ちを
裏切らないラスト。裏切ってないから怖いんです。
その怖さは、じめっとしているというか、
べとっとしているというか、
重たくてずっしりくる、
「日本独特の怖さ」です。
他の話も、同じように
じっとりした怖さにひたれます。
お盆の季節に、
帰省先の田舎で読んだら

絶対に夢を見そうな1冊です。
(ゆ)


=
私は書店員です。
今でも、この本を棚にならべる時、
あんまり表紙をみたくありません。
お客様が買うときも、
あんまり見たくないので
お客様の顔を積極的に見て、
レジを打つようにしています。
でも、
夏はよく売れるんですよね。

この本。
おかげでフレンドリーな接客ができます。
(カサンドラ)


=
全編岡山弁で、昔の岡山が舞台の短編集ですが、
独特のぬめぬめした
怖さが迫ってくる
んです。
また、本のカバーに使われているのが、
「汚い絵」と言われ、大正画壇を追放された画家
甲斐庄楠音(かいのしょう・ただおと)の絵で、
これがまたすごく
作品の雰囲気と合っているんです。
一回図書館で借りようとしたら、
本が湿っていてぞっとしたこともあります。
(みずき)


=
この本を読むまで
私の「ベスト・オブ・怖い本」は
「ミザリー」だったのですが
コレを読んでトップ交代。
読んでから何年もたちますが、
未だトップの座に君臨しています。
日の当たらない
黴くさい和室に一歩足を踏み入れたら
畳が腐っていた。
そんな感触の本です。
(shokotant))


ほとんどのみなさんが
共通して書いてくださっていることは、
お話の湿度の高さですね。
なんだか、ひんやりと湿度が高い感触。
それだけならまだいいけど、
触るのもいや!という雰囲気。
日本の怖い話につきものの、
あの感じがしますよ!

「一回図書館で借りようとしたら、
 本が湿っていてぞっとしたこともあります。」
って、それはただの怪談ではないのかしら!
さぞ、肝が冷えたでしょう。

次は、怖さの質がちょっと違うものを。

八甲田山 死の彷徨
新田 次郎 (著)
価格: ¥540 (税込)
出版社: 新潮社
ISBN: 4101122148


=
八甲田山のあっちからとこっちから行軍すれば、
途中ですれ違っていい感じ〜なんて
軽く(雪の中の)行軍を決めてしまう軍部や、
命令系統の混乱のせいで
どんどん悪い方向に行ってしまうことや、
精神錯乱した軍人さんの振る舞いなど、
怖さが山盛りです
夏に冬の話というのもナイスじゃないでしょうか。
私は真夏の沖縄で読んでいて、冷や汗が出ました。
特に雪国を知っている人は
リアルに怖い

お勧めです。
(べり〜)


こちらは、
1902年、雪中行軍訓練中に実際に起きた事件を
事件を元にした小説です。
組織と人の怖さが存分に味わえますよ。
雪中行軍をした部隊は2部隊あったのですが、
それぞれの結末が‥‥。

そして、本日のシメもやはり古典。
今回は、海外作品をオススメしてもらいましょう。

そして誰もいなくなった
アガサ クリスティー (著)
価格: ¥672 (税込)
出版社: 早川書房
ISBN: 4151300805


=
インディアン島に閉じ込められた、
様々な経歴の10人が、
マザーグースの唄になぞらえて次々と殺されてゆく。
恐ろしい閉塞感。不信感。そして‥‥。

ぞくぞくします。まじで怖いです。
ひきこまれます。

小学校に上がるまでイギリスで暮らしていたので
マザーグースの唄は結構身近なもので、
それだけに13歳ぐらいで初めてこれを読んだときは、
恐怖で眠れませんでした。

最近になって読み返してみましたが、
28歳が読んでも、十分に怖いですよ!
でも読み終わった後まで
あとを引く怖さじゃないので、
安心できます。

(irvine)


映画から、ドラマから、アニメから、
果ては、コントのネタまで、
いろんな場面で使われるこの物語。
「話は知ってるけど。」という方も、
結末まできちんと記憶にある方は少ないかも??
この機会に、結末までしっかり読んでみては如何?
この原稿を書いているモギモギコも、
「最後ってどうだったっけ?」派です。
ああ!家にしまってあるこの本を探し出して、
結末だけでも読みたくなってきた!

さてさて、「なんだか怖い本」も、
来週で終了の予定ですが、
メール受付てますよ〜。
「まだ、あの本が紹介されてない!」
というとっておきがある方は、
ぜひワタクシ達に教えてくださいませ!
宛先は、yomu@1101.com
件名を、本のタイトルにして頂けると助かります!

このページへの激励や感想などは、 メールの表題に
「本読む馬鹿が、私は好きよ。」と書いて
postman@1101.comに送ろう。

2005-08-18-FRI

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