糸井重里
・『ちいかわ』というひとつの映画を6回も見に行ってると、
その回数だけ映画館で予告編を見ることになる。
当然、予告編のなかに気になるものも見つかる。
というわけで、これは見たいと思ってしまって
『我々は宇宙人』というアニメ映画の初日にでかけた。
なぜ見たくなったのか、理由は画面の絵であった。
いや、それ以外の情報はほとんど入れてないので、
あの画面、描かれている背景や、モノや人物の表現が、
ものすごく目新しく感じたということだ。
リアリズムというだけではない、手書きのタッチもある。
絵画的とか写真的という言い方もできるが、
松本大洋のマンガなども思い浮かべることも多々ある。
海外の作品ではない、あきらかに平成あたりの日本だ。
絵をゆっくり見たら、もっと見つめたくなったろう。
それ以外、ストーリーも紹介や解説も、見ないことにした。
まず絵であり、その絵の動くようすがおもしろそうなのだ。
それで映画がハズレだったら、それはそれでかまわない。
ちょっとくじ引きのような気持ちで劇場の予約をした。
『我々は宇宙人』というタイトルには、
漠然としたSF風味もあるし、パロディのようにも思える。
見終えて、このタイトルでよかったとも言えるし、
ちがっていても十分におもしろかったのではとも思う。
内容については、あんまり詳しくは言わないが、
ぼくが思い出すのは『スタンド・バイ・ミー』だった。
ただ、ルーカス作品のからっと乾いた感じはない。
初めから最後まで、雨か汗か血か川か水道か水槽か、
画面上にはずうっと水が描かれ続けている。
約2時間びしょびしょの映画だった、これがまたすごい。
そして、語られているのは、いわば自己紹介だ。
二人の主人公が語る「我々」という人の自己紹介である。
その内容に「おれも」と同期する観客もいることだろう。
それも自己紹介する人のたのしみたかったことだろうから。
企画、脚本、監督のことなど、さらに知りたくなっている。
◆おっと、今日の質問no.053「運はいいですか?」
どうだろう?考えて、メールで送ってください。
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映画館に行くクセがついたので、映画とのなじみができたよ。
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