糸井重里
・街でも、建物でも、店でも、もっと大きな景色でも、
チームや組織、役割でも、人間関係でも、
だんだんと「そのものらしさ」が染みてくるんだよね。
おでんの大根に汁が染みてくるでしょ、それと同じように。
いかにも、いまどきの人たちが好みそうな店、
そういう専門家に頼めばすぐにつくってくれるよね。
「ステキ!」ってしばらくの間言わせるのはできる。
でも、その「ステキ!」も、汚れたり古びたりするんだ。
やがて「ステキだった」店になっていったりする。
そうして忘れられること、消えることもありうるよ。
だけど、「ステキ!」とか言われることもなく、
30年も続いてる店があったりするだろ。
「おやじがヘンなやつ」とか「ポテサラがうまい」とか、
たいしたことないほめられ方をしながら、なんだか30年。
そういう店には、その店らしさが「染みてる」んだよな。
町並みでも江戸の時代からある道だとかね、
そこには染みてるものがあるんだよね。
伝統とか、歴史とかって「いいことば」にしちゃうと、
ちょっとまたちがう気がするんだけどね。
たいして仲よさそうにも思えない夫婦のようすなんかも、
見事でも美しくもないかもしれないけど、染みてるんだよ。
その夫婦です、という味が、なッ。
ビジネスっていうのも、大事なことなんだけどさ。
ビジネスだけだと「染みてる時間」をガマンできないの。
シャレたものとか、高そうなものっていうのは、
新しくつくったり壊したりするのも簡単なんだけど、
「染みてる」もののほうは、時間と人の汗みたいなものが、
どうしても必要なんだよなぁ。
いやぁ、「ほぼ日」も2年後に30周年になるんだけど、
いろんな出汁が染みてきてるよなぁ、と思ってさ。
◆今日の質問no.035は、いっそこれにしちゃおう。
「染みてるものありますか?」答えにくいか、ま、いいか。
考える時間をたのしんでください。
そして、よろしかったらメールに書いて送ってください。
今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
「ほぼの駅 AKAGI」の豚汁は、染みと新鮮のミックスです。
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