糸井重里
・「ちいかわ」の映画が見たくて、待ち遠しかった。
日曜日の午後、親子連れの多い映画館に
シニア割引の「単独オヤジ」として予約がしてあった。
「ちいかわ」が、ただ「ちいさくてかわいい」というような
子ども向けの世界じゃないことはよく言われているが、
さらにもう一回りややこしい、毒気のある作品ではある。
それでも、子どものファンたちに親しまれているし、
いろいろ忘れて、たのしく遊んでいられるのも事実だ。
無邪気さと複雑さが両立しているところが、さすがなのだ。
さて、映画館まで「ちいかわ」を見にきた子どもたちは、
99分間、じっと座席にいてなにを感じて帰るのだろう。
そういう興味も、ぼくにはあった。
上映が終わり場内の照明があかるくなり、大人も子どもも
みな静かだった、まったくガヤガヤしていない。
先にそれを味わった人が「通夜のよう」とも表現していた。
ぼくもそんな気分だったが、むろん、おもしろかったのよ!
「ちいかわ」とは、21世紀のいま語られる
「神話の世界」だと考えたらどうだろう、と思った。
そこらへんの日常にふつうにあるものと、
ちいさくてかわいいものとか、こわいものとか、
聞いたことのある不思議なはなしとかを組み合わせて、
「神話世界」を編み上げたらどうなんだろう?、と。
図書館の本やら、コンビニのお菓子やお惣菜やら、
学校や公園のいろんな道具や設備、
大人たちのおかしな行動、思い出のなかに流れていた歌、
そういうものどもを材料にして、
昔むかしの人たちが「ギリシャ神話」や「インド神話」、
「古事記」をつくったみたいに、
「ちいかわ」は、いまの時代の「ニッポン神話」を
生み出しているんじゃねーの?
それも、ふだん使いの「しゃべりことば」の表現で。
もしかしたら、今日のぼくが書いているこの文、
なにを言ってるのか、まったくつかめないかもしれない。
それはそれでいいと思ってるんだ、だってね、
「ちいかわ」は詩であり神話であるのだから、それでいい。
今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
あと、「ちいかわ」の大事なところはとにかく「たべもの」!
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