先日、「19歳になったら。」という
ほぼ日の19周年を記念する特別講義が行われました。
講師を務めた河野通和は、集まった受講生のために
「19歳の人たちに読んでほしい本」を30冊選び、
ひとりひとりにプレゼントしました。
「本はひとりになって自分と向き合えるツールです。」
というメッセージを添えて。
「考える人」「婦人公論」といった
雑誌の編集長を長く務めた河野は、
19歳の人のためにどんな本を選んだのでしょうか?
1日1冊、河野のコメントつきで紹介します。
はじめに。
小学校に上がったばかりの頃、
初めて人から本を贈られました。
クリスマス・プレゼントです。
本当はもっと楽しいおもちゃを期待していたので、
「なぁーんだ」というのが正直な気持ちでしたが、
ちょっと大人扱いされた気分は悪くありませんでした。
チャールズ・ディケンズの『クリスマス・キャロル』でした。
きれいな挿絵入りの本だったので、大切にしました。
ところが、「読んだ」という記憶がまったくありません。
どういうことでしょう?
今回、19歳の人たちのために
30冊の文庫本をリスト・アップしました。
2017年6月6日の「ほぼ日」19周年イベント
「19歳になったら。」の特別講義を
聞きに来てくれた人たちに、
会場のTOBICHIで1冊1冊を手渡しました。
「もうこの本は読んだ、という人がいたら、
この場で交換会を始めましょう」と呼びかけましたが、
応じる人はいませんでした。
TOBICHIでプレゼントされたから読んでみたけど、
意外に面白かった、と言ってもらえたら幸いです。
もしかすると『クリスマス・キャロル』のような
運命を辿るかもしれません。
でも、それだけでも十分です。
あの時、この本をもらったな、という記憶は
少なくとも残るはずですから。
選んだ基準は、まず文庫本で簡単に手に入るもの。
それから、自分自身が以前読んで面白かったもの。
ジャンルはなるべく幅広く――。
今回は、日本人の筆者に絞りました。
あまりに対象を広げ過ぎるのもどうだろう、と
考えたからです。
何を選ぼうか、と頭をめぐらせたのは実質30分くらい。
なので、気軽に受け止めていただきたいと思います。
いまの19歳が、
なかなか自分の発意では手を伸ばしそうにないものを
イメージしました。
私自身が、細かい内容を忘れてしまったものも
何冊かあります。でも、これらを読んだ時、
何だか勇気がわいてきたり、
目の前の風景が違って見えたり、
それまでとらわれてきた考えから解放されたり‥‥
「いまを生きる」エネルギーを
与えられた作品であることは確かです。
いまから順に紹介していきます。
まずは1970年代後半から80年代なかばにかけての
思い出ぶかい(だから19歳の君たちにも読んでもらいたい)
作品からです。
河野通和
プロフィール
河野通和(こうの・みちかず)
1953年、岡山市生まれ。編集者。
東京大学文学部ロシア語ロシア文学科卒業後、
1978年、株式会社中央公論社(現・中央公論新社)入社。
雑誌『婦人公論』『中央公論』の編集長を務める。
2008年、株式会社中央公論新社退社。
2009年、株式会社日本ビジネスプレス特別編集顧問就任。
2010年、株式会社新潮社入社。
『考える人』の編集長を務める。
2017年3月、『考える人』休刊とともに
株式会社新潮社退社。
2017年4月、株式会社ほぼ日入社。
特別講義の内容はこちらからご覧いただけます。
-
{{ item.date }}