『新選組!』
with
ほぼ日テレビガイド
第39回 「将軍、死す」を観て。


永田 第39回を観おわりました!
西本 お疲れさまでした!
糸井 ‥‥谷三十郎ゆかりの地には、
あんまり人が行かなそうですね。
永田 ええ? そんな始まり?
糸井 いや、まず、今回は谷三十郎だろう。
永田 そ、そうですか‥‥?
西本 まあ、壬生のにぎわいに較べたら
谷三十郎ゆかりの地は
あまりにぎわってないと思いますよ。
糸井 でも、穴場狙いの人にとってはさ。
西本 あ、コアなファンにとっては。
永田 いるのかな、そんな人?
糸井 ぼくは今日、谷三十郎ファンですよ!
永田 いったいどうしちゃったんですか。
糸井 正確にいうと谷三十郎を演じる、
まいど豊さんね。
永田 はあ、はあ。
糸井 というのはね、あのまいど豊さん、
ぼくらふだんのまいどさんを
知らないじゃないですか。
もう、谷三十郎だと思ってるでしょ?
西本 ええ、まあ。
永田 そうですね。
糸井 で、みなさん、
谷三十郎のことが嫌いでしょう?
西本 ええ、まあ。
永田 好きじゃないですねえ。
糸井 でも、テレビでやっていることは
ウソなんだよ!
まいどさんと谷三十郎は、
べつなんだよ!
永田 (ヒソヒソ声で)
どうしちゃったんだ、この人は?
西本 (ヒソヒソ声で)
よくわかんないですけど、
なにしろテンションは高いですよ。
糸井 そうやって、まいどさんを、
「なんて谷なやつなんだ」と思って観てると、
将来、すごくいいドラマでいい役を
演じたりするわけだよ。
それが役者ってもんなんだよ。
たとえば、来年あたりに、
『8人の刑事』みたいな
ドラマがあるとするじゃないか。
そうすると、まいどさんが、
6番目の教員あがりの
すごい厳しい刑事の役をやったりするわけだよ。
その役をまいどさんがやる時には
あの顔じゃなくなるわけだよ。
だから役者はすごいんですよ!
永田 6番目の刑事を演じても、
ドジしちゃう役なんじゃないですか?
西本 警察手帳をみんなに見せびらかしているうちに
なくしちゃって悪用されてしまうような。
永田 それを引き笑いでごまかすような。
ふたり わははははははは。
糸井 違うんですよ!
そういうこともしない役もするんですよ。
永田 そんなことわかってますよ。
西本 永田さん、街歩いてて
まいどさんに会ったらどうします?
永田 「介錯だけはしっかりやろうよ」
と声をかけたくなりますね。
糸井 だから! ちがうんですよ。
源さんと谷三十郎の役を
ひっくり返したって
成り立たせるというのが
あの人たちの職業なんですよ。
西本 それは、以前、我々が提案した
上島竜平が沖田を演じるようなものですか。
糸井 そりゃネタだろうよ。
だってね、思い出してみてくださいよ。
『壬生義士伝』のなかでは
沖田総司役は堺さんなんですよ。
あそこでの堺さんは狂気じみた役だったでしょ。
ところが『新選組!』では、
こう、正座して、腕なんか組んで、
「ここは、ひとつ、慎重にやるべきかと‥‥」
なんていうふうに‥‥。
西本 に、似てねえ!
永田 文字に起こすのもおこがましい。
糸井 だから、極端にいえば、
まいど豊が主役をはってね、
まいど豊主演の『春のソナタ』というような
純愛ドラマだってありえるんだよ。
永田 「まいど」って名前で主演はないでしょ。
ひらがなですよ。
西本 そういう問題じゃないでしょ。
糸井 じゃ、主役じゃなくていいよ。
西本 そういう問題じゃないでしょ。
糸井 主役じゃなくても、
その『春のソナタ』で
主役のヨンさまみたいなものに
まいどがすごく誠実に助ける
設計事務所の人の役とかで出たりさ。
永田 まいどが誠実な設計事務所の人ですか!
西本 ふたりとも、
呼び捨てになってる、
呼び捨てになってる。
永田 糸井さんがまいどまいど言うから
いけないんだよ。
糸井 おまえらが、役者のすごさを
認めないからまいどまいど言ってるんだ!
西本 まあまあ、落ち着いて落ち着いて。
永田 まあ、まいどさんの話はこれくらいにして、
ドラマの話に移りましょう。
糸井 あっ、いやだなあ、その扱い!
そういうのってちょっと、
ぼくの発言が‥‥
「ないがしろではないか?」
三人 わははははははははは!
永田 ちっくしょー、それおもしろいなあ(笑)。
糸井 あのセリフはほんとにいいよねえ(笑)。
西本 「最近、ないがしろではないか?」
三人 わははははははは。
永田 それにしても、まいどさん、
斬られるの、早かったですねえ。
いままでの隊士史上、
最短記録じゃないですか?
西本 「む!」「抜け!」「バサッ!」
糸井 あのあたりも、ないがしろな感じだったねえ。
西本 たぶん、殺陣の指導もそんなにないですよ。
「じゃあ、まいどさん突いて、
 オダキリさんよけて、
 バサッと行って終了っス」みたいな。
永田 そんで、リハーサルの現場で
まいどさんが言うんだよ。
「この殺陣はちょっと‥‥
 ないがしろではないか?」って。
西本 わはははははは、
それで現場もワッと盛り上がって、
思わず、オダギリさんと
まいどさんがハイタッチ!
永田 たまたま遊びに来ていた
私服のメガネノオカッパも
スタジオの隅から大拍手!
西本 あ、今回出番なかったから
私服で見学なんですね。
ふたり わはははははは!
糸井 ‥‥きみたち。まいどさんはね、
ちゃんとした役者さんなんだよ?
永田 わー、また話を戻す気ですか!
西本 わかりましたわかりましたー。
糸井 みんなね。言わせてもらいますけどね。
今回、最初に谷三十郎が登場したとき、
土方や沖田と目を合わさずに
へこへこしているシーンがありましたよね。
あいつ落ち込んでるわ、と思いましたよね。
ところが場面が変わると
「おれはこんなことはやってられない、
 志が違うから新選組を抜ける」的なことを
言うわけじゃないですか。あの変わり身。
あそこに役者が出ているじゃないですか。
ふたり はい、すいません。
糸井 あれが役者という生き物のすごさですよ。
ああいう役を演じるかと思えば
男と女のサスペンス劇場みたいなものに出て、
子供を誘拐されたお父さんとして
「サブローっ!」とかって叫んだり
するわけですよ。
永田 そういう場合はひとり息子でしょうから、
「サブロー」じゃないんじゃないですか?
西本 そういう問題じゃないでしょ。
糸井 じゃ、ヨシオでいいよ。
西本 そういう問題じゃないでしょ。
糸井 どうもキミらがピンときていないようだから
ひとつ、いいたとえ話をしてあげよう。
京都にね、嵐山という場所にね、
人々がつぎつぎに訪れる
大河内山荘というのがあるんですよ。
山の一角を切り開いて斜面を利用した庭でね、
もう、贅を尽くした趣味の良さみたいな。
きらびやかではないけど華があるみたいな。
「こんなモノを日本人は欲しいんだよね」
というような素晴らしいお家があるんです。
その大河内山荘をつくった人は
大河内伝次郎という無声映画時代からの
役者さんなわけですよ。
ところがこの大河内さん、
リアルタイムでは主役なんですけれど、
ちょっとあとで、さんざんモノマネされまして。
後のイメージはちょっと妙な味の俳優なわけです。
ものすごく彼のモノマネが流行ったのよ、
「オヨヨ、オヨヨヨヨ‥‥」
オとヨとアとヤだけでしゃべる、みたいな。
あ、そうだ桂三枝の「オヨヨ!」ってのは、
元ネタは大河内伝次郎だ。
そういう俳優さんだったわけです。
そういうイメージの人のお家とお庭がね、
あんなに趣味のいい、
すばらしいものなんですよ。
‥‥これでわかりましたか?
永田 さっぱりわかりません。
糸井 ようするに、人は見かけによらないってこと!
三枚目を見せてるけど
役者はみんな、オレたちより二枚目なんだよ。
まいどさんだってね‥‥。
永田 わかりましたから、ほかの話をしましょうよ。
西本 なんか、そこまで
まいどさんを擁護しているのが
おもしろくなってきました。
永田 ああ、こらこら、ついていかないでくれ。
糸井 わかってきただろう?
西本 ええ。人は見かけによりません。
元吉本興業マネージャーの
ぼくが知っている例でいうと
アホの坂田利夫師匠。
あの人‥‥怒ると怖いよ?
糸井 ほらァ! な?! な?!
永田 え、ちょっと待ってくださいよ。
そんな話でいいんでしたっけ?
糸井 そんな話ですよ。
西本 永田さん、パブリックイメージと
実際は違うってことですよ。
永田 ‥‥話がおもしろくなるほうへ
転びやがったな!
西本 フッフッフ‥‥。
間寛平さんも元々は
歌手になりたかったんですよ。
糸井 うんうん、そういうことそういうこと。
永田 これじゃ、たんなる
芸能人ウンチクコーナーじゃないですか。
糸井 『湯河原殺人事件』みたいな
ドラマに出てくる船越英一郎さんだって
今はオヤジ役だけど
昔は二枚目として出てたんだよ。
西本 ああ、なるほどなるほど。
山崎邦正さんは昔、
学校一おもしろかったそうですよ。
永田 しまったぁ‥‥にしもっちゃん、
そのへん、超得意分野だ。
西本 いくらでも出てきますよ。
糸井 どんどん出しましょう。
永田 たのむからドラマの話をしましょう。
糸井 十分にドラマの話をしてますよ。
役者というのは、
見せて表現をするという動機の部分では、
あらかじめ二枚目なんです。
みんな、一瞬だとしても、
二枚目の所を横切ってるんです。
だから、まいどさんなんかも、
芸能界紳士録のページでは
きりっとしてると思うんだよ。
それを思うと役者って怖いなあって思う。
永田 このまま、まいどさんの話で
進んじゃうのかなあ‥‥。
西本 まいどさんも、きっと、
学校のクラスでは二枚目だったんですよ。
糸井 クラスの女子が
「まいどくん素敵〜」みたいな感じでね。
西本 ええ、きっと人気者ですよ。
糸井 そんな人が、コミカルな
谷三十郎を演じているわけだねえ。
うーん、おもしろいなあ。
いやあ、今日の男子部は、
いいスタートを切りましたね!
永田 ちっとも、
本題に入ってないじゃないですか!
糸井 いや、なんでこういうことを
言い出したかというとね、
ぼくは最近、ついに『新選組!』の放送を
1回目から観直しはじめたんですよ。
永田 あ、ついに観はじめちゃったんですか。
糸井 1回目から録画している人がいたもんでね。
それで、つまり京都から帰ってきてから、
ずーっと『新選組!』のことばっかりを
考えながら生きているわけですよ。
西本 ええ、いまの糸井さんは
恥ずかしいくらい『新選組!』漬けです。
永田 あはははははは。
糸井 それでもう、家でひとりで観てたら、
じゅぶじゅぶになっちゃったのよ。
永田 「じゅぶじゅぶになっちゃった」(笑)。
糸井 もうね、泣けるわ、笑えるわ、
ある意味で新選組を
嫌いになったり好きになったり、
もう、じゅぶじゅぶなんですよ。
西本 オレも観よ。それ、つぎ貸してください。
糸井 出てくる人、ぜんぶに対して、
いちいちそういうふうに思えてくるのよ。
永田 まいどさんも?
糸井 誰も彼も。この時代に生きた人々すべてに。
出ている人みんなが、
そうとう強いものを秘めた役者さんが
演じているということで、
『新選組!』というドラマの
ひとりひとりの端役にいたるまでが、
たとえ小さくとも身体のどこかに火種を宿す
「赤く燃える石炭」みたいなものに映るんです。
だから、毎日疲れるんです。
じゅぶじゅぶになっちゃうんです。
永田 だって、週に1回ずつ観てても、
こんだけカロリー消費しますからね。
糸井 でもね、それを通して観ることで
くっきりしていくことがあるんですよ。
それは、たとえば、とにかく
演劇というものに
関わってきた三谷さんの姿とかね。
永田 はああー。
糸井 唯物論とか、唯神論とかあるじゃないですか。
いわば、三谷さんは唯劇論なんだよ。
つまり、三谷幸喜という人の
唯劇論というコンセプトが
ドラマのなかに圧縮されて入ってて
それが、泣けて泣けて。
唯劇論のなかでしか生きられないというと
言い過ぎかもしれないけど、
そういう悲しさと、うれしさと、
すべてが押し寄せてくるんですよ。
ぼくはそれに興奮して、
ついつい谷三十郎という役に
行っちゃったんですよ。
永田 あーー、なるほど。
やっと伝わってきました。
糸井 人は、いろんな人生を演じられるんですよ。
たとえばおおづかみにとらえると、
このドラマって百姓の息子が
武士を演じるための物語じゃないですか。
『ガラスの仮面』じゃないですか。
途中に商人を経過した土方は
マネージメント武士じゃないですか。
全部、自分の役割を探している。
そして、その役割におさまってからが
悲劇の始まりなんだよね。
西本 つぎ、それ貸してください。
糸井 いいよ、いいよ。
まあ、そういうわけです。
永田さんは今回、どうでしたか。
永田 今日は僕はそうとうよかったです。
西本 また泣いてましたね。
永田 泣いてねえっつーの。
西本 泣いてたっつーの。
永田 ‥‥まあ、泣いてたんですけど。
糸井 もちろんぼくも家で観たときは泣けました。
永田 泣けましたよねえ。
ていうか、こうやって毎週毎週、
きっちり泣いてると、
オレはアホかという気がしてきますけれど。
糸井 やっぱり、最後の、
周平を囲んでのやり取りですよね。
永田 ええ、あそこです。
詳しくいうと、今回は沖田です。
またしても藤原さんがトリガーで、
その後、泣きっぱなしです。
今回、周平も源さんも平助もよかったですけど、
やっぱり沖田なんですよ。
もっというと、沖田と斎藤の対比。
死期が迫ることでどんどんどんどん
急き立てられて厳しくなっていく沖田と、
逆に人を斬りまくることで
生きることがどんどん薄くなっていく斎藤。
とくに、周平に詰め寄る場面の
沖田は切なかったですねえ。
近藤家の跡取りとして
未来を期待されている若い周平というのは、
ある意味、沖田が夢として願うことの
象徴でしょうから。
未来が約束されているのに力がない周平と、
力があるのに未来がない沖田と、
その落差で、ああいう厳しさになってしまう。
糸井 そこで、平助ですよね。
沖田のすぐ横にいながら、
周平の気持ちで沖田をずっと見ていた平助が
もう、鼻水を飛ばす勢いで‥‥。
永田 「みんなが、あなたみたいに
 できるわけじゃないんだ!」
糸井 その「生もの感」ね。
西本 でっかい声で叫んでましたね。
今回は、ぜんぶきちんとことばにして
叫ばれていた回だと思いました。
みんなが薄々思っていたことが、
きちんと表されて、
ほんとうだったんだなと思えるような。
糸井 なるほどね。
永田 もしも沖田に死期が迫ってなかったら、
きっと、「周平、すまなかった」とか、
そういう展開がありうるんだと思うんですけど、
平助の「みんなができるわけじゃないんだ」
ということばすら、
もう、沖田には届かないんですよね。
泣けるなあ‥‥。
藤原さん、ここ数回で
完全に顔とか変わってますよね。
さっきの話じゃないですけど、
役者さんってすごいなあ、と。
糸井 あと、源さんですよ。
口答えをしたじゃないですか。
おもいきってデカい声で。
あそこでまた、ぼくは
谷三十郎のなかにある主役性みたいなものを
源さんのなかにみたんだよ。
だって新選組局長と明らかにあのときは
声のはりとか、タメをはってましたからね。
「なんのマネだっ!」って言われて
「近藤周平は死にました‥‥」
っていうのいいじゃないですか。
西本 よかったですねえ。
永田 あと、あそこは近藤も
すげえよくなかったですか?
糸井 よかったですね。
永田 やっぱり、近藤の大きさが感じられると、
個々のよさがさらによくなるんですよね。
今回の近藤はそうとうよかったです。
西本 近藤の無理のしかたに風が出てるんですよね。
糸井 だから、近藤の向こう側に
何を置くかでそれぞれが生きてくるんですよ。
だから芝居って
チームプレイだよなと思うよね。
永田 あと、もうひとつ沖田でつけ加えると、
ぼくが好きなのが、
「今夜のあなたには殺気がない」というセリフ。
池田屋のときの
「こっちが当たりだと思いますよ」とか、
前回の「あと5年でいいんです」とか、
沖田はドラマのなかで唯一、
「未来を予言していい人物」
「真実を予感していい人物」
として描かれてますよね。
死期の迫る天才として、
その能力を許されているというか。
ぼくはああいう
ドラマのファンタジーが大好きなんです。
糸井 同じように剣がたつけれど、
その対極にいるのが斎藤だね。
永田 まさに。
言い当てられて立ちつくす
斎藤の表情が印象的でした。
糸井 オダギリファンの西本さんとしては、
ますます斎藤に憧れたんじゃないですか。
西本 どういうことですか。
糸井 暇があったら木でも削ってみようかとか
思いませんでしたか?
西本 あ、なるほど。
ぼくは元々、手先が不器用なので
さりげなくああいう
器用っぽいことができることに憧れてます。
芹沢鴨が竹とんぼを作ったりとか。
糸井 でしょう?
あの、木像を削ってるシーンというのは
ちょっとした「男子ゴコロ」を
そそるところだと思うんですよ。
またそれが仏だというのがなおさらね。
西本 そうですね。たとえば、こう、
キャンプなんかに行ったときに
実際のぼくは何もせずに
しゃべっているタイプなんですけど、
そんな時に桜チップで薫製作り始めるみたいな
人には憧れますね。
永田 んん?
糸井 そりゃまた違うんじゃないですか?
西本 ダッチオーブンで男の手料理みたいな。
ふたり 違う、違う!
西本 おや、また違いましたか。
永田 いえ、持ち味です。オッケーです。
糸井 ところで西本さんはどこがよかったですか。
西本 ぼくは、まだ挙げられてないところでいうと、
左之助の結婚を祝う場面がよかったですね。
とくに、土方の細かい芝居。
糸井 いっぱい芝居してましたねえ。
西本 ええ。
永田 「やっちゃったのかよ!」っていう、
ツッコミのセリフも久々にあったし。
西本 あとは、女のことを近藤に振られて
カメラ目線でニヤリ、の場面。
糸井 そうそうそう(笑)。
永田 あそこは近藤もよかったですよ。
「こいつは勝手にどっかで遊んでるから」って。
あそこは、ふたりの「幼馴染み」を感じたなあ。
だから、なんでか知らないけど
すごくリアリティーがある。
「わ、ほんと土方は遊んでんだなあ」っていう
においがしてくる。
糸井 また、あそこの場面では、
読者からいいメールが来てましたねえ。
西本 あ、あのメールは「読者の部」に
掲載決定でしょう。
永田 あとでチェックしておきます。
ドラマを観るまえに
新選組関連のメールは
開かないことにしているので。
西本 あいかわらず慎重だなあ。
永田 ぼくは桃太郎の結末すら
知りたくない男です。
糸井 しっかし、全体の流れからいうと、
いよいよ、希望がなくなってきましたね。
西本 ええ。どんどんクライマックスに近づいて
ふつうのドラマなら、
わくわくするはずなのに。
わくわくできないですから。
永田 とくに今回は、じつは、
はっきりと絶望が始まっている回ですからね。
冒頭でサラッと言っているから
あんまり印象に残らないけど、
「長州征伐に向かったが、
 幕府軍は散々に打ち負かされた」
ってはっきり言ってますからね。
負け戦が始まりましたっていう回ですよ。
西本 そんでまあ、また、悪そうな小男が将軍に。
糸井 あの小ささであの迫力を出せるのがすごいよね。
そういうところでもね、
役者がすごいと思うわ。
永田 ぼくらが京都で行った霊山記念館でも
徳川慶喜の等身大のパネルがありましたけど。
糸井 小さかったねー、あれ!
ふたり 小さかった!
糸井 でも、よく考えたら、ちょっと前の大河では、
あの役はモックンなんですよね。
ここではカマキリ将軍みたいな人ですけどね。
永田 「カマキリ将軍」(笑)!
西本 あいたたたたた、決まりだ、それ(笑)。
またあだ名つけちゃった。
永田 「カマキリ将軍、現る」!
糸井 でも、あのカマキリ将軍、
イヤぁ〜な感じだったねえ。
永田 すっごい悪意を感じましたよね。
ラスボスとしての存在感がありました。
フリーザの最終形態みたいでした。
西本 あのカマキリ将軍も
名の知れた役者なんでしょうね。
小劇場系で知る人ぞ知るみたいな。
糸井 そうじゃないですかねえ。
永田 その意味じゃ、ドラマもお芝居も
あんまり観ないぼくとしては
『新選組!』を通していろんな役者さんを
知ることができてうれしいですね。
糸井 1回目から観るとさらにそう思えますよ。
西本 よぉ〜し、来週中にぜんぶ観ちゃおう。
永田 にしもっちゃん、早そうだなー。
西本 オレは、観るとなったら早いですよ!
あの、「隊士たちが眠るなんとか寺では‥‥」
みたいな、犬がワンワン鳴くようなとこは
びゅんびゅんすっ飛ばしていきますよ。
永田 やりそうだわ、この人。
ていうか、ふつうは、最初のほうの回を
観たいと思っても観られないんだよね。
録画してる人が周囲にいなきゃアウトだから。
でも、DVD化も決まってないんですよね。
西本 DVD化は決まってないです。
糸井 ああ、これは、この機会に
ちゃんと言っておこうかな。
あのね、まえまえからメールで、
「『新選組!』のDVD化を、
 糸井さんたちからも頼んでください!」
っていうメールがたくさん来てますよね。
西本 ええ。来てます。
糸井 まるでぼくらに「圧力団体になれ」と
言っているかのような
勢いのものもありますけど、
まあ、ぼくらは、DVD化の旗を振って
署名を集めるようなことはしませんよ。
そもそも、ぼくらがなにかを言って
影響があるかどうか、知りません。
けどね‥‥これは、ぜんぶ観てほしいわ。
ぜんぶ観る価値があるわ。
永田 じゅぶじゅぶになっている人が言うと
説得力がありますね。
糸井 ドラマがおもしろいだけじゃなく、
ある程度は売れると思いますよ。
まあ、一視聴者の世間話として
無責任に語るしかないんですけどね。
ぜんぶでまあ、15巻くらいになるんですか?
その『新選組!』セットって、
一視聴者として魅力的ですよ。
いままさに、じゅぶじゅぶになって
観ているぼくが言うんだから、間違いない。
放映の初期には、人気があるだのないだの、
いろんな説があったんでしょうけどね、
これはねえ、そんなふうに揺らいじゃだめ。
すばらしいですよ。だからね、ここはね、
『三谷くんありがとうセット』だよね。
そんなボックスにしてね。あるいは
『三谷くん、お誕生日おめでとうセット』
っていう感じでね。
永田 なんか、話変わってないですか。
糸井 ともあれDVDになると、
ぼくはうれしいです。いいと思います。
西本 もし、DVDが発売されるとなったら
「ほぼ日」も販売店のひとつとして売ります!
糸井 売りますよ!
124セットくらいは売ってみせますよ。
永田 微妙な自信ですね。
西本 うちの社内の人間だけで
5セットくらいは
売れるんじゃないですか。
糸井 それくらいの確信はありますよね。
永田 強いんだか弱いんだか。
西本 ただ、ぼくらが先頭で旗を振って、
「NHKさんつくってください」
みたいなことは、やりません!
糸井 数を束ねてプレッシャーをかける、
みたいなことはすごく苦手なんです。
永田 あと、段取りも苦手なんです。
西本 悪い子じゃないんです。
糸井 三谷も糸井も悪い子じゃないんです。


ほぼ日テレビガイド
〜女子の部〜



モギコ
む、チャンス!
今日の男子部は隙だらけだ!
語りもらしていることが多いぞ!

ゆーないと
谷三十郎のことばっかしゃべってるからですよ。

ナカバヤシ
全体像が見えてませんね。
もっと企画自体を俯瞰するべきでしょう。

モギコ
分析よりも語るべし。
みなさん、わたくしから先に
行かせていただいてよろしいかしら?

ふたり
どうぞどうぞ。

モギコ
周平、見事なコケっぷり!
ジャパンアクションクラブもかくや、
という、ものすごいコケかたでした。

ナカバヤシ
あれはすごかった。
誰かスタントの人がコケてるんじゃないかとさえ
思いましたよ。

ゆーないと
あれ、演技とはいえ、絶対すりむいてるね!!!
風呂でしみてるよ、きっと。

モギコ
平助のヨダレと並んで、
今回の熱演賞でしたわ。

ナカバヤシ
それではわたくしもよろしいでしょうか?

ふたり
どうぞどうぞ。

ナカバヤシ
ちらし寿司が意外に地味!
お祝いなのに赤がない!
そりゃそれで武士道かも!

ゆーないと
‥‥‥‥。

モギコ
ひじょうにコメントしづらいことを
言わはりますなあ。

ナカバヤシ
あと、量もそうとう多かったですね。
あの人数じゃ持て余したんじゃないかなあ。

ゆーないと
ラスト、ゆーな、行きます!

ふたり
どうぞどうぞ。

ゆーないと
夜の路地で弟を待つ谷三十郎。
槍の先っぽに
ボワボワがついてて、
「音声さんかよ!」って感じ。

ふたり
‥‥‥‥。


ほぼ日テレビガイド
〜美術部〜




ほぼ日テレビガイド
〜読者の部〜

(印象的なメールを毎週一通紹介します!)

※今回紹介するメールは、
 今後の展開のネタバレ(史実上の展開)を含みます。
 ご了承のうえ、お読みください。


=
「将軍、死す」を見終わって、
気になってしまったことがありメール致します。
それは、永倉さん宅で催された
原田&おまさのお祝いの宴席です。
久々に試衛館メンバー中心の場面でしたが、
(もちろん、山南さんはおられませんし、
 結局、沖田も最後まで参加できませんでしたが)
宴席の途中で二人抜け、一人抜けしていき、
最後まで残ったのが、
土方さん、永倉さん、原田さん。
史実でも、近藤局長が亡くなった後も
生き残っていた人たち。
宴席を離れていく順番も、
史実で亡くなっていく順番どおりで、
なんかこれからの予告みたいで、
気づいたとたん、辛くなりました。
要らない先入観かもしれませんが。
(花笑み)

postman@1101.comまで、ぜひ感想をくださいね!
このページを友だちに知らせる。
 

2004-10-08-FRI

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