『新選組!』
with
ほぼ日テレビガイド
第47回 「再会」を観て


永田 第47回を観おわりました!
西本 お疲れさまでした。
糸井 お疲れさまでした。
永田 今日は、ドラマの話に入るまえに
触れておかなければならない
話題がありますね。
糸井 なんですか。
永田 「古田新太問題」です。
西本 はい。
糸井 あれはけっきょくどうなんですか。
永田 ちょっとあなた、
これまでの流れを知らない人のために
経緯を説明してください。
西本 了解しました。
まず、前々回の放送で、
進軍してくる薩摩軍のなかに、
俳優の古田新太さんらしき人がいました。
さっそく、ぼくが、月曜日の対談のなかで、
「古田新太さんが出てましたよ!」と報告。
ところが「そんなわけねえだろ」ということで
ふたりに一蹴されまして、
ぼくはしょんぼりしておりました。
すると、読者から「古田さんが出てました」と
山のようにメールが。
糸井 山のようには来てないだろ。
せいぜい数通だったはず。
永田 あと、しょんぼりもしてなかった。
西本 まあ、ともかく。それを受けて、先週、
「やっぱり古田さんじゃないですか」
と言ったところ、来週の『新選組!』に
古田新太さんがちゃんとした役で
出演することが発覚。
永田 ってことはどうなんですか?
前々回の薩摩兵は古田さんだったんですか?
糸井 違うんですよ。
西本 はっきりとそうだとはいえません!
糸井 きちんとした役で出るんだから
違うってことでしょう。
永田 読者の方からも
「見直してみたが違います」
というメールも来てましたよ。
西本 はっきりそうだとはいえません!
糸井 じゃあ、答えは出ないということですか。
西本 そうですね。関係者の発言を聞くまでは
わからないんじゃないですかね。
永田 往生際がわるい。
西本 きちんと出演するからこそ
あそこで出ちゃったという説もありましたよ。
下見に来てついそのまま
出ちゃったというような。
永田 揺るぎある説だらけだな。
西本 確証を得るまでは保留です。キープです。
キープオンロッキンでお願いします。
糸井 まあ、いろんな説にふらふら揺られてる
ぼくらがダメだっていうことですよ。
で、ダメだといえばもうひとつ。
ぼくはもう、この男子部のメンバーというのは、
ほんとうにダメだなあと思いましたよ。
ふたり なんですかなんですか。
糸井 「ひでの男装問題」ですよ。
永田 あ。
西本 あ。
糸井 「玄関理論」だとか、
女の姿だと危ないからだとか、
さんざんもっともらしいことを言っておいて。
永田 たいへん申しわけないことです。
西本 「そりゃちがう!」っていうメールが
つぎつぎに来ましたね。
糸井 「おまえらは女心がわかっちゃいない!」
っていうメールがね。
永田 代表的なものを紹介しておきましょう。

=
「ほぼ日テレビガイド」、
毎週楽しく読ませていただいてます。
八木家のひでちゃんが男装で現れた件ですが。
あれは女のひでとはもう会わないと
沖田と約束したから
男として会いにきたのだと思います。
それでも会いに行きたかったという女心ですよ。
わかってませんね、女心(笑)。
では。
(hisa)
永田 あいたたたたた。
西本 あいたたたたた。
糸井 もう、ダメですよ。からっきしですよ。
「大阪までの旅が危ない」とかね、
「往来で声がかけづらい」とかね、
もう、中学生レベルの語り合いですよ。
はっきり言ってね、このメンバーは、
「男と女の恋愛模様」に弱い!
ふたり あいたたたたた。
糸井 いい歳して、女心のわからない
鈍感な男たちですよ。
永田 返すことばがありません。
西本 反省しております。
永田 メールをくださったこともある
吹石一恵さんにも、
この場を借りてお詫びいたします。
ぼくら、わかっちゃいませんでした。
西本 「男装はやりすぎ」なんて言って、
すいませんでした。
糸井 ほかになんか、
お知らせすべきことはありましたっけ?
永田 リカさんが買い物をしているとき、
勝海舟こと野田秀樹さんに会ったそうです。
糸井 久々の目撃例ですね。
にしもっちゃんは会ってないんですか。
西本 いや、もう、さっぱりですわ。
永田 一時期の勢いはどうしたんだ。
西本 毎週毎週、当然のように
会ってた時期がありましたねえ。
もうぜんぜんダメです。
会える気がしません。
糸井 刀の時代が終わったように‥‥。
永田 西本の時代も終わったと。
糸井 カレーも食わないしな。
永田 ああ、ちょっとだけありましたね、
日曜日に必ずカレーを食うという流れが。
西本 昨日なんか焼肉ですもん。
糸井 誰にも会わないし、カレーも食わない‥‥。
永田 刀と西本の時代は終わった‥‥。
西本 あ、そういや日曜日の焼肉は
ちょっとおもしろかったですよ。
糸井 どうやらあなたは
日曜日に焼肉を食ったときの話を
はじめるつもりですね。
永田 うかがいましょう。
西本 まあ、何人かの知り合いと
焼肉を食べたわけですけど、
そのあと、知り合いのひとりが、
「このあと、ウチに来て飲まないか」
と言うんです。話を聞いてみると、
「おまえは『新選組!』を観たいんだろう」と。
「今日、録画したから、飲みながら観よう」と。
永田 気が利いてますね。
西本 で、その人の家にみんなで移動して、
全員で、へべれけに酔っぱらいながら
『新選組!』を観るという経験をしました。
糸井 へえ、そりゃちょっと新しい。
永田 じゃあ、ここでいま観たように、
黙って、じーっと観るのではなく。
西本 もう、ワイワイ騒ぎながらですよ。
まさにこのドラマは大衆娯楽ですよ!
糸井 大きく出たね(笑)。
西本 わかりやすくいうと、
「『新選組!』があるから
 うちに遊びに来ないか?」
ということがあり得るというわけですよ。
そんな大河ドラマがいままでありましたか?
永田 「ファミコンあるから、ウチ来いよ」
みたいなもんですね。
西本 いまだったら
ニンテンドーDSあるよ」と。
糸井 で、どうだったんですか?
泥酔しながら観た『新選組!』は。
西本 それがですね、
‥‥ほとんどなにも覚えてない。
ふたり 飲み過ぎだ!
西本 とってもたのしかったということは
覚えているんですけどね。
永田 それ、『新選組!』なくても
いっしょだろうよ。
西本 記憶の断片をたどって、
唯一思い出せたことといえば、
みんなが『新選組!』を観てるとき、
ぼくは山岡鉄舟を指さして、
「こいつは悪い人だ!」と
しつこくしつこく言い続けてました。
ふたり 酔っぱらいだ!
西本 どうやって家に帰ったのか‥‥。
糸井 毎週、同じセリフを言いますけどね。
ふたり はいはい、どうぞどうぞ。
糸井 こんな話を続けてていいんですか?
ふたり ダメです!
糸井 ドラマの話をしなきゃですよ。
永田 今週は‥‥いよいよ終わりが近づいて。
西本 さびしいですねえ。
糸井 切ないよなあ。
登場人物の誰が何をいっても、
どこか、むなしさがあるんだよね。
だってさぁ、甲府って行ったことある?
西本 ないです。
永田 ぼくは2回ほど。
糸井 オレは何度も行ってるんですよ。
釣りでも行ってるし、
カブトムシも採りに行ったし、
任天堂社長の岩田さんの
前の会社にもよく行ったけど、
遠いんですよ。山ですよ。盆地ですよ。
山、山、山、山、山、山を越えていくと。
永田 葡萄。
糸井 葡萄。山、山、葡萄、山、山、葡萄、山、山、
葡萄、葡萄、葡萄、林真理子、葡萄、林真理子、
葡萄、山、山、盆地、葡萄、山、山、山‥‥。
永田 おーい、誰か止めてくれ。
西本 こらこら、いつまでやるねん。
糸井 そういうところなんですよ、甲府って。
永田 甲府在住のみなさんに
失礼を深くお詫びいたします。
糸井 そんなところでね、
「薩摩を迎え撃つのだ!」と言ってもね、
そりゃあ、誰も何も信じないよね。
永田 もう、冒頭の、近藤と勝海舟のやり取りが、
この回の内容の
ほとんどなんじゃないでしょうか。
西本 いまの近藤たちの置かれている立場と、
行く末が表されてましたね。
糸井 あの勝海舟の複雑な役割っていうのは、
じつにおもしろかったですね。
西本 あの人は悪いけどいい人ですよね。
糸井 そうそう。
永田 勝海舟が、最後のところで
近藤を「ほんとうは見抜いてる」としたことが
ドラマのバランスとして見事だと思いました。
糸井 そういう結論にしたんですよね。
唇を震わせてね。
永田 で、そのあと「甲陽鎮撫隊」の名前を笑って、
さらに逆にバランスを振るあたりが周到。
糸井 あそこで名前をもってくるのはうまいよなあ。
「甲陽鎮撫隊」って!
「鎮撫隊」だよ? 「ちん」だよ?
西本 音がもう、弱そう。
永田 暴走族を「珍走団」と
呼ばせるようなもんですよね。
糸井 あれはさあ、三谷さんが気づいたのかね。
「甲陽鎮撫隊」って
なんていうまぬけな名前だろう、と。
それを勝海舟に言わせたのかね。
永田 逆にいうと、「新選組」という名前が
ほんとにいいんですよ。
これが最初から「鎮撫隊」だったら
こんなに人気が出たかどうか。
西本 容保公のいちばんの功績というのは
「新選組」という名前を
思いついたことでしょうね。
永田 それ、言えてるわ!
西本 容保公、グッジョブですよ。
永田 名前って大事だよねー。
「見廻組」とかも、弱いもん。
糸井 「菜葉隊」とかもそうだよね。
史実にあるらしいけど、
ああいうふうに扱うしかないでしょ。
西本 その弱そうなところをビビる大木くんが
演じているのがいいですよね。
「はっぱ隊」つながりだと
スタジオパークで三谷さんが言ってましたが。
永田 あれじゃ勝てる気しないよなあ。
ていうか、菜葉隊、来なかったけど。
糸井 名前だけじゃなく、菜葉隊って、
薩長をおもしろくないと思っている
人の集まりですからね。
そういう、いわば、
「不満」でつながっている人たちが、
天皇の軍隊となって勢いづいている
薩長を押し返せるわけがないんですよ。
西本 勅命を受けている薩摩軍と、
「ここは甲府に行ってくれ」と言われた
新選組の差も大きいような気もします。
永田 そういう、よくわからない義よりも、
おみつさんの
「薩長の世の中ではダメなの?」
ということばのほうが
よっぽどリアリティーがありましたよね。
糸井 うん。だからまあ、甲陽鎮撫隊は、
勝てるわけがないよね。
冷静になってみれば、
鳥羽伏見でもう終わってるんだよ、
ということを、もう、みんなが
知っているようなものじゃないですか。
永田 いえ、ひとり知らない人がいましたよ。
西本 ええ、いましたいました。
糸井 え?
永田 今週になって、ようやく、
「刀の時代が終わった」と言った人が。
糸井 あ、局長か! そうか、近藤は
大阪城にいたから知らなかったんだ。
永田 ええ。
「この人はいまごろこんなことを言うんだ」
って思いました。
糸井 近藤が最後なんだね。それはおもしろいね。
西本 土方は服装まで変わっているのに。
永田 だから、後世から歴史を俯瞰している
糸井さんみたいな人は、
龍馬が鉄砲を撃ちながら逃げた時点で
「刀の時代は終わった」と思ってて、
現場感覚のにしもっちゃんは前々回で
「刀の時代は終わった」と。
土方はそのつぎの週で「終わった」と。
で、今週は、新選組のトップの人が
ようやく「刀の時代は終わった」と。
そりゃ、勝てないですよね。
糸井 「1万の兵を貸してくれたら勝ちます」
ということを、
近藤はあんなに気張って言ってたけど、
そのあとに「刀の時代は終わった」
なんて言ってるわけですから、
一万の兵を貸りてても
ダメだったということですよね。
だからもう、近藤は、完全に
「戦」で外しているんですよ。
で、「女」で外したのが土方です。
ここは、今回重要なところだったと思います。
永田 あれ、ちょっと意外な展開だったなあ。
外すとは思わなかった。
糸井 それが中学生レベルだと言うんですよ。
永田 返すことばがありません。
糸井 外すってああいうことなんですよ。
土方はあれで通じると思っているんですよ。
西本 故郷に錦を飾って、
モテモテだと思ってたわけですよね。
永田 ぼくはまた、
納屋に連れ込んじゃうんだと思ってました。
西本 あ、そういう、
おもしろ場面に備えてたわけですね。
永田 そそそそそ。
糸井 ぼくはわかってましたよ。
これは土方、ダメだな、と。
永田 おお。
西本 なんでまた?
糸井 だって、抱きついたときに
角度がついてましたもん。
永田 は?
西本 は?
糸井 つまり、あのおねえちゃんに、
がっと抱きついたときに、
土方のほうが傾いていったでしょ?
ええと、こう、ふたりが
地面と垂直に立っててさ、
土方のほうが、そうだな、角度でいって、
80度くらい傾いていったじゃないですか。
永田 この人は何を言ってるんですか。
西本 さっぱりですわ。
糸井 だから、抱き寄せたんじゃなくて、
抱きついていったでしょ?
モテモテの土方だったら、
地面と90度のまま、真っ直ぐ立ってて、
向こうから80度で抱きつかれてますよ。
西本 はあはあ、そういうことですか。
永田 よくそんなこと考えるなあ。
糸井 つまり、抱き合ったときの形が、
「入」という字になってるんですよ。
いいときの土方なら、
「人」という字になってますよ。
永田 それじゃどっちも80度じゃないですか。
糸井 そーゆーこと言ってんじゃないだろ!
西本 どうでもいいですけど、
あのお姉ちゃんは妙にデカかったですね。
ふたり デカかった、デカかった。
西本 モデルさんですかね。
糸井 とにかく、あのモデルさんに、
ひとりの男として通用しなくなった時点で、
土方の根っこのところが
ご破算になってしまってるんですよ。
永田 はあはあ、そういうことか。
剣で破れるよりも、戦で負けるよりも、
土方という男にとっては、
そのことのほうが本質的な敗北だと。
糸井 そういうことです!
永田 ほんとうにまじめな意見だったんですね。
糸井 いまごろ何を言ってるんですか。
だからこんなにきちんと
説明してるんじゃないですか。
永田 失礼しました。おもしろ話かと思ってました。
糸井 つまり、京都では、
「新選組副長」の名刺が効くわけですよ。
ところが多摩じゃ効かないんです。
土方が、鬼の副長としてではなく、
ひとりの男として、プラマイゼロの状態で
乗り込んでダメだったわけですからね。
これは大きいんですよ。
永田 ゼロというよりはマイナスじゃないですか。
多摩の田舎で、あんな格好で会いに行ったら、
ふつう、ぎょっとするでしょ。
糸井 そりゃそうだね(笑)。
西本 ああ、でも、昔のオレだったら、
ああいうことやっちゃうなあ。
ふたり (笑)
西本 田舎でこそ都会の服を着る、みたいな。
糸井 変身して出かけるわけだ。
西本 やっちゃいそうですねえ。
いまはやりませんけど。
糸井 それでダメだったんだから、
ダメージの大きさがわかるでしょ。
多摩で歳ちゃんといえば
昔はブイブイいわせてたわけですからね。
立場的には旗本になってるわけですし。
西本 しかも、京都帰りの粋な男ですからね。
糸井 さらに洋服でばっちり決めて。
永田 名前も「隼人」ですし。
糸井 だからこそ、
カウンターパンチなんです。
オンザグラウンドなんです。
テンカウントなんです。
ドクターストップなんです。
永田 どっちなんですか。
糸井 そのあとのひどい
落ち込みようでわかるでしょ。
西本 そうですね。あの土方が、
「京都の5年ってなんだったんだろう」と。
永田 近藤が「江戸に帰る」と言っても
「オレは京に残る!」といい切った男が。
糸井 はじめてといっていいほど
落ち込んでましたよね。
ああなっちゃいますよ。
永田 つまり、まえの糸井さんの話と合わせると、
サイコロの目を変える生き様で
勝ってきた近藤が落ち始める象徴が
肩を撃たれた一発の弾丸で、
土方が終わり始めることの象徴が、
あのモデルさんに振られたことだと。
糸井 おっしゃるとおりです。
だからね、にしもっちゃんが、
ここからはじまる『土方物語』を
観たいとまえに言ってましたけど、
ぼくはね、観ないほうがいいと思うんですよ。
西本 ああ、なるほど。
糸井 戦場での勇もやつれてたしなあ‥‥。
なんか、明るい話をしましょうか。
永田 多摩の人たちですかね。
糸井 小日向さん、あいかわらずよかったよねえ。
永田 でも、あの人が戦うのってつらいですね。
糸井 ああ、あの人が来ちゃったら悲しいなぁ。
西本 さっそく寂しい話になってますよ。
ふたり いかんいかん!
西本 例のいろんなお約束や伏線が活きてて、
最初から観てる人はたのしめたでしょうね。
永田 そのあたりは、ぼくらがちくちく語るよりも
読者の方から見事なメールが来てましたので
それを紹介しましょう。

=
回想シーンは一つもありませんでした。
これは、『新選組!』製作者の、
または三谷さんの自信でしょうか。
回想シーンなどなくても、
すべてはっきりと思い出せます。
今までの伏線がうまく使われていました。
これは、ずっと見てきた視聴者への
プレゼントでもあるのでしょうか。
以前のシーンと、心の中で「再会」です。
「総司のこと、よろしくお願いします」と言った、
同じ場所でおみつさんが
近藤さんから「総司は労咳」と聞かされる。
壬生大相撲のうちわは出てくるし、
近藤さんの「前にも同じ光景を見た」だけで、
総司が「浪士組に加わりたい」と
言った時を思い出します。
左之助の「連れてってやろうぜ」も同じ。
「土方さんは昔のクセが直っていない」で、
総司の
「土方さんはねぇ、剣先が左に傾きすぎる」
を思い出します。
それに、おみつさんが人の特徴を言うだけで
誰だかわかる‥‥。
三谷さんが忠臣蔵の脚本を書いたら、
47士すべて覚えられそうです。
(にこにこ)
西本 はあ〜〜。
永田 しんみりしちゃうなあ。
糸井 なんでこんな
寂しいメールを紹介するんだ!
永田 すいません、見事だったもので。
西本 いや、でも、この寂しい感じは、
今回ずっとありましたからね。
糸井 そうだねえ。終わりだからねえ。
永田 読者の方からのメールでも、
早々と別れの挨拶をする人が
ちらほら現れてますよ。
西本 そうそう。
「連載ご苦労さまでした」みたいな。
糸井 もう、ドラマ全体に、
『蛍の光』が流れてますよね。
西本 流れてますねえ。
永田 例によって笑える場面を添えて、
ちゃんと成立させてるんですけどね。
ウタノマエの土方の洋装のところとか。
西本 よくできてて、おもしろいんですけど、
以前のようには笑えないんですよね。
永田 そりゃもう、こっちの問題だよね。
観てる客のムードというか。
舞台の芸人さんたちは
調子よくやってるんだけど、
客のオレらのノリが悪いというか。
西本 「今日の客、空気重いわあ」
って感じですよね、きっとね。
糸井 まさにそのとおりですよ。
そういう回だったと思いますよ。
永田 じゃあ、もう、
ムリして雰囲気を変えずにこのまま。
糸井 そうしましょう。
西本 今回のトピックとしては、
とうとう永倉が隊を離れましたよ。
糸井 そうですね。斎藤が
「永倉さんは間違ってる」と言いますけど、
もう、どっちが間違ってるも
なにもないですよね。
あそこ、どうでしたか?
永田 う〜ん、もっと泣けていいはずなのに、
グッとこなかったんですよね。
左之助のほうがグッときた。
なんていうか、永倉新八という人が、
けっきょく最後まで
ああなんだなって思いました。
糸井 ん? というと?
永田 変な言いかたですけど、
お笑いのぐっさんが演じるという以上の
おもしろみを最後まで
永倉に感じられなかったというか。
それは、ひょっとしたら、
永倉という人が生き残っていて、
多くの新選組の物語が
永倉の伝記をもとにつくられているから
なのかもしれないなって思ったんですけど。
つまり、残っている史実って、
永倉の視線で観たものが多いんでしょう?
糸井 要するに、永倉という人を、
スケッチする人がいなかったということだよね。
永田 そうですそうです。
糸井 だから、ああいう、妙に真っ直ぐな人に
なっちゃうのかもしれないよね。
西本 永倉はもともと、時代を読むのが
得意なタイプじゃないんですよね。
よくわからないままに
ヒュースケンを斬ろうとしてましたし。
永田 なんにせよ、あの雨の場面は
ずっとつらかったですねえ。
甲府はつらい場所だった。
糸井 思えば、薩長はこのままの勢いで、
自分たちの政府をつくって、
それこそ、日清、日露と
戦争に勝っていくんですよね。
だから、甲府を突破してきたままの勢いで
ついこないだまで走ってきたとも
いえるわけですよ。
だからえらい節目だったんだよね。
明治時代まで続くような流れだから。
みんな大事そうなセリフを言っているんですよ。
斎藤が旗をつかんで叫んだり、
沖田が桜の下で語ったり。
大切なセリフがいっぱいありましたよ。
でも、大きな流れに
掻き消されてしまっているんですよね。
西本 ええ。言えてます。今回はそういう回でした。
糸井 もう、みんなの心には、
『蛍の光』が大きく響いてるんですよ。
永田 いよいよあと2回ですからね。
新選組の5年間もいよいよ‥‥。
糸井 ん?
永田 え?
糸井 んんん?
西本 なんなんですか。
糸井 プラモデルのさ、
縮尺って、ふつういくつ?
ふたり ‥‥‥‥。
糸井 何分の一、とかあるじゃない?
西本 それは、まじめな話なんですか。
糸井 まじめな話だよ!
永田 「144分の1」とかじゃないですか?
西本 お、ガンプラ世代!
永田 ファーストガンダム直撃世代です。
でも、実際は、ドムをひとつ、
つくっただけで終わりました。
糸井 「10分の1」とかの
プラモデルがあったとしたら、
それは大きいのかな。
ふたり 大きいですよ。
糸井 「8分の1」は?
西本 大きいでしょう。
永田 超デカい。
糸井 「5分の1」なんてもう。
ふたり デカい、デカい。
糸井 なんの話をしているかというと、
もちろん新選組の話ですよ。
新選組が5年間だとすると、
このドラマはそれを1年間かけて
追っているわけだよね。となると、
縮尺は「5分の1」じゃないですか。
ふたり あ!
糸井 ま、多摩編があるから、厳密には
「5分の1」じゃないけど、
それにしたって、けっこう、
ぼくらが思っているよりは、
実寸に近い大きさだとはいえませんか。
西本 あああ、じゃあもう、
ほんとに、駆け抜けるように。
糸井 過ぎたんじゃないですかねえ。
永田 よくそんなこと思いつくな。
西本 大河というと、ひとりの人の、
一生を追ったりするわけですけど。
糸井 それよりはずっと短い期間を
追ってるんだよ。
こうしてドラマを観てた期間の、
5倍くらいの時間。
永田 うーん、そうかあ。
あっという間だったんだろうなあ。
なんか、しみじみしますねえ。
糸井 そうだねえ‥‥。
ほかに、今回の話で、
印象に残ってる場面とかありますか?
西本 あの、めずらしく今回、
ぼくはグッときたセリフがあったんですよ。
いや、もちろん、泣きませんでしたけど。
糸井 どこですか。
西本 おみつさんのセリフで、
沖田がみんな死んでしまったことを
報告してるのに、最後のところで、
「よかった。みんな元気なんだ」
という返しをするところ。
永田 あああ、あれはぼくも好きです。
「みんな元気じゃない」ということは
おみつも沖田もわかってるんだけど、
あえて、という。
糸井 あのセリフはいいね。
おつな部分だったね。
永田 ぼくの好きな場面でいうと、
多摩での宴会のところで、
座の中央に引っ張り出された勇が
照れながら沖田の手を引っ張って
「おまえも立てよ」「イヤですよ」
みたいな感じになってるのがよかったですね。
ああいう動き、しちゃうよなあと思う。
糸井 あれね、よかったね。
永田 糸井さんは?
糸井 うーん、やっぱり勝海舟かな。
永田 なるほど。
西本 それにしても今週は届いたメールの量が
尋常じゃなかったですね。
永田 「古田新太問題」もありましたし、
「ひで問題」もありましたし、
「スマステに新選組メンバーが集合」
っていうのを知らせてくださる
メールもありましたし。
西本 あと、すごかったのは、
DVD販売に対する反響メールですよ。
永田 そうでしたそうでした。
「ほぼ日で売るそうですが、
 特典はなんですか?」
という問い合わせや、
「こういう特典をつけて」
という具体的な要望なんかも。
糸井 まあ、せっかくメールをいただいたのに
こういうことを言うのはあれですけど、
ぼくらがつけようとしている特典は、
みなさんが考えている
「おまけ」のような路線とは
ちょっと違いますよね。
西本 グッズみたいなものを
予想されている方が多かったですよね。
そういうので勝負すると
うちの持ち味が発揮できませんからね。
糸井 ま、おじさんが、
ほんとうに人を喜ばせるというのは
どういうことか、みせてあげるよ。
永田 ぼくは過剰に期待されてるなと思って
ちょっと不安もあるんですが。
糸井 なにを言ってるんですか。
ぼくらはほんとうに『新選組!』に
感謝しているということを
表現したいんですよ。
永田 そうでしたそうでした、
このプロジェクトの仮題は、
「三谷くんありがとうセット」でした。
西本 「三谷くんお誕生日おめでとうセット」
という案もありましたよ。
糸井 なにしろ、感謝の印ですから。
今年の後半、『新選組!』に
どれだけたのしませてもらったと
思ってるんですか。
いわば、ぼくにとっては、
近所に唯一やってくる紙芝居のおじさんが、
三谷幸喜の顔をしていたと
いうくらいのことなんですよ。
香取くんが『鉄腕アトム』で、
土方が『鉄人28号』ですよ。
沖田総司は『矢車剣之助』ですよ。
永田 最後のやつがよくわかりません。
西本 同感ですね。
糸井 ぼくの少年時代に
チャチャを入れないでください。
永田 失礼いたしました。
西本 よくわかりませんが、とにかく、
「ありがとう紙芝居のおっちゃん!」
ということですね。
糸井 そうです。夕焼けに溶けていくおっちゃんに
涙ながらに手を振るような
感謝の気持ちを表したいわけですよ。
西本 がんばりましょう!
糸井 がんばりますよ!
永田 それはさておき、
ぼくらが対処できないリクエストもありました。
「DVDはこういう編集にしてください」とか
「英語字幕を入れてください」とか。
西本 DVDそのものには関与できません!
DVDをつくるのはうちじゃありません。
うちが目指すのはあくまで小売店です!
永田 あと、おもしろかったメールとしては、
「無許可で販売しちゃって
 大丈夫なんですか?」と
心配してくださっている方がいました。
糸井 わはははははは。
西本 許可はとります!
闇ルートで販売するわけではございません!
永田 それから、多くの人が、
とにかく特典と販売価格を
早く教えてくれと。
それによって、どこで予約するか、
考えなきゃいけないから、と。
西本 ま、率直にいって、
特典はまだ決まってません!
もちろん企画は動いてますが、
確定してないので発表できません。
あと、正直、価格競争には参入できません。
ていうか、ムリですわ。
いちおう経理と相談しましたが、
「ムチャを言うな」と怒られました。
糸井 でも、大丈夫です。
喜ばせる自信があります!
ふたり がんばります!


ほぼ日テレビガイド
〜女子の部〜



モギコ
斎藤が大声を出すと、
慣れてないので
ビクッとしてしまう。

そんなモギコでございます。

ナカバヤシ
斎藤の絶叫よりも
慎吾ちゃんの
「切腹だぞ!」発言
にショックを
受けてしまった。

そんなナカバヤシでございます。

ゆーないと
優香のまつげは
ちょっと
長すぎるんじゃ
ないかしら

ゆーないと、
ゆーないとでございます。

モギコ
さて、今回は、
いろんなコスチュームが
たのしめる回だったのでは
ないかと思うわけです。
もちろん、その筆頭が
トシの洋装!

ナカバヤシ
似合ってましたねー。
史実の土方の写真とも
雰囲気が似てて
すごいなと思いました。

モギコ
そして近藤の
よさこい風の装束。

ゆーないと
背中の模様が独特でした。
いいのか悪いのか、
よくわかんないです。
長袖の服の上から
半袖シャツを着ている
ようにも思えました。

モギコ
そして3つ目が
菜葉隊の
黄緑色の羽織
ですが、
カエル好きの私としては、
なかなか無視できない色でしたよ。

ナカバヤシ
あの羽織は、戦場では
目立ちすぎるんじゃないでしょうか。

ゆーないと
はいはい、先輩、質問です!

ふたり
どうぞどうぞ。

ゆーないと
トシの洋装ですけど、
ズボンの下は、
ふんどしですか?

モギコ
‥‥むっ!

ナカバヤシ
これは難問!

ゆーないと
はいてない」という
選択肢もあるかと思いますが。

ふたり
アギャー!

ゆーないと
その場合、ウタノマエの、
「ここに留め具がついていてな」
というシーンが
たいへんなことに。

ふたり
アギャー!

ゆーないと
全国の女子のみなさんも
お友だちどうしで
話し合ってみてね!

ふたり
悶々‥‥。


ほぼ日テレビガイド
〜美術部〜



ほぼ日テレビガイド
〜読者の部〜

(印象的なメールを毎週何通か紹介します!)

=
今年の4月に板橋区が主催したシンポジウムで、
小島記念館の館長さんが言ってました。
「多摩でドンチャン騒ぎを続けていたから、
 甲陽到着が遅くなった‥‥
 というのは、間違いです!」と。
あの通説は甲州攻めに加わり、
直後に脱退した元隊士の発言が
1つあるきりで、史実ではないそうな。
当時の天候を調べた結果、雪がひどくて
峠越えにかなり時間がかかったのが原因とか。
(fuku)


=
甲陽鎮撫隊と戦った西軍を
率いていたのは、
板垣退助だったんですね!
近頃、新札が出たばかりですが、
500円(岩倉具視)にしてやられ
100円(板垣)に惨敗。
値段がどんどん安くなってる
ところが切ないです。
(マリオ)


=
第一話から一度も見逃さずに
『新選組!』を観てきた私が
ず〜〜〜っと気になっているコト。
沖田はんに労咳をうつしたのは
初めの頃にちょろっと出ていた
カラテカの矢部さんですよね?
今回のおみつさんの言葉が
笑える反面泣けてきました。
(ぱーる)


=
こんばんは。
今日、土方じゃなくて、
山本耕史さんの舞台を見てきました。
鴻上尚史さんの「リンダ・リンダ」だったのですが、
ブルーハーツを熱唱する土方にメロメロでした。
先月見た「赤鬼」では
河合さんと勝海舟が共演してました。
チケットがとれなくて見られなかったのですが、
山南さんも舞台をされていました。もうすぐ
「ロミオとジュリエット」で沖田総司のロミオ、
「走れメルス」で勝海舟と平助が見られます。
出演している人がこんなに
舞台をやっているのが嬉しくて
(今までの大河ではあまりなかった気がします)
たくさん見に行ってしまいます。
今まで舞台はあまり見ていなかった人も、
ぜひ見に行ってください! 生はいいですよ〜。
(Dolce)


=
これから1ヶ月隊士の皆さんを
観られる予定をばっちりいれてしまいました。
堺さんの舞台、大倉さん、八嶋さんの舞台、
獅童さんの舞台、藤原さんの舞台。
おかげでビンボーですが、
なんとで本屋での握手会をなさっていた
甲子太郎こと谷原さんに遭遇しました!
あの甲子太郎スマイルを近くで拝めました。
「あっ! 伊東甲子太郎やってた人じゃん」
なんて言いながら通る若ぞーもいて
おいおいみんな観てるじゃないの!
って思いました。
本当に視聴率ってやつは怪しいですよ。
(alala)


=
感想ではないのですが、
今日、とある医療事務の
技能試験を受けた時の話です。
その試験は、学科と実技があって、
実技は患者のカルテ(もちろん架空のもの)を
見て診療点数を算定するのですが、
患者の名前をみて、思わずニヤリ。
1枚目「土方洋司」
2枚目「沖田光子」(←この父親の名前が「勇」)
3枚目に至っては、「近藤慎吾」なんです!
たぶん、問題作成者の中に
「新選組!」ファンがいたんでしょうね。
とにかく、このお陰で緊張が一気にほぐれ、
リラックスした気分で
試験に臨むことが出来ました〜。
(mk)


=
今日カラオケに行ってきました。
勿論、新撰組オープニングテーマは熱唱です。
そこで思ったのですが、
「かつてオープニングテーマ曲が、
 カラオケで歌われた
 大河ドラマがあったであろうか」
こんなこと、世間的には
何の意味もないのかもしれませんが、
「新撰組!」というものを語る上で、
象徴的なものの様な気がしました。
(公)


=
もう先週の話ですが、
第46回の船の甲板でのシーン。
ついつい、「田中邦衛の物まね」にばかり
目が行ってしまいますが、
あの場面で、沖田以外のふたりは
周斎先生が既に亡くなっていること、
知っていたと思うのです。
ただ、病床に臥せっている沖田には
あえて知らせていなかった。
(もちろん自分たちが京を離れ
 江戸に戻るなんて考えてもいなかったし)
だからあの船の上でも土方は気を遣って
しょーもない笑いでごまかした、
のではないかと。どの道江戸に帰れば
知るところとなるのでしょうが、
あのときはそういう(亡くなったという)
話はしたくなかった‥‥。
という感じなのではないかと思います。
「周斎先生は?」という問いかけの後、
すっと後ろにひいていった土方をみて、
「あぁ死んじゃったんだな」と私は思いました。
あと2回、味わいましょうね。
(Kozue)


=
今日、今年の流行語大賞が発表されましたが、
それをTVで見ていた10歳の娘、
「私の今年の流行語は
『御用改めであーる!』やな」と。
(悩めるサンタ)


=
会社で、同僚と大河ドラマの話をしていた時、
内線電話が。
電話に出た私の口からでた言葉は、
「ハイ、山南です」
大河も終盤の今になって、
社内で「山南さん」と呼ばれ始めています。
(ミコト)

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2004-12-03-FRI

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