ほぼ日テレビガイドシリーズ

春の連ドラチェック2016

あややとふたりのプロフェッショナル


第2回
早くもイチオシ作品?
TBSのマニアックな展開にも注目。
トットてれび
NHK総合●土曜日午後8時15分
4月30日スタート
あやや
さあ、出ました、『トットてれび』!
今クールの私のイチオシです!
──
‥‥あやちゃん、それ、最後に訊くから。
あやや
あっ、そういう流れでしたっけ?
──
はい、2008年からそういうスタンスで
やらせてもらってます。
あやや
ともあれ、『トットてれび』、
私はたいへんたのしみにしています!
主演は私の大好きな、満島ひかりちゃん。
まずは、『ど根性ガエル』の話から
させていただきたいと思います!
──
なんでやねん。
あやや
『ど根性ガエル』観た人? 観た人?
はい、いらっしゃいますね。
そこそこ、いらっしゃいますね。
それではお訊きします。
『ど根性ガエル』で、満島ひかりちゃんは
どんな役を演じましたか?
森下
ピョン吉でしょ。
荒井
ピョン吉の声をやったんですよね。
あやや
そうなんです!
で、私、言ってもいいですか?
この人のすごさについて。
森下
言うんでしょ。
荒井
言うんでしょ。
──
言うんでしょ。
あやや
いいですか、みなさん!
(ガタガタッ)
──
座って、座って。
あやや
あのね、『ど根性ガエル』といえば、
だいたいの日本人が知ってるアニメですよ。
ドラマがはじまる前に、
もう、ピョン吉といえばあの声、という
イメージができちゃってるキャラクターですよ。
「ひろしィー、ひろしィー!」
こういう声がピョン吉ですよ。
森下
似てない。
荒井
ぜんぜん似てない。
──
まったく似てない。
あやや
ともかく、ピョン吉の声が
すでにしっかりとイメージされている状態で、
実写版『ど根性ガエル』のピョン吉の声を
あの満島ひかりちゃんがやるわけですよ。
みなさん想像してください、
どんだけハードルが高かったか。
想像しました? 想像しました?
まだですか? もう想像しましたか?
もうちょっと待ちましょうか?
──
‥‥え、ほんとに想像するの?
あやや
はい、想像タイム、終ー了ーー!
どうですか、高かったでしょう!?
すでにイメージの定着した名作アニメの
キャラクターを演じるというのは
それほど高いハードルがあるんですよ。
ところが、満島ひかりちゃん、
軽々とそれをクリアーしたじゃないですか!
それどころか、むしろ自分のものにまでして!
やっぱ、天才じゃないですか?
高い高いハードルを、
みんなの期待とプレッシャーを、
軽々と越えていく、美しい放物線を描いて、
ぽぉーーーんと越えていく、
その、超越的な感じを、
私はオリンピック選手に例えたい!
──
なんだ、なんだ。
あやや
ええと、そういう
オリンピック選手がいるでしょう?
やるとは思ってたけど、
ほんとにやるなんて、やっぱりすごい、
というような強いオリンピック選手が。
ほら、永田さん、なんのために
オリンピックファンやってるんですか!
──
え、えっと、越えていく‥‥
イシンバエワとか?
あやや
いや、羽生結弦くんです!
──
なんなんだよ、いったい‥‥。
あやや
だって、ピョン吉ですよ?
みなさん、どうします?
「ピョン吉の声をやってください」とか
オファーが来たらどうします?
どうやって役作りします?
平面ガエルですよ?
それをやってのけるなんて!
怖ろしい子! 満島ひかり!
どうですか、みなさん。
彼女のすごさが‥‥‥‥おやおや?
あれれれ? ついてきてない?
おおおーい、おおおーい。
荒井
あ、はいはい。
森下
聞いてる、聞いてるよ。
──
ていうか、ずっとピョン吉の話してるぞ。
あやや
だってさぁ、ピョン吉ですよ、ピョン吉?
しかも女性ですよ? 女優ですよ?
ムリでしょう、ふつう、それは。
私たち、カツオの声が変わっただけで
すっごい違和感あったりするじゃないですか。
ところが満島ひかりちゃん、
ピョン吉だったじゃないですか!
ヘイ、みなさん、どうしたどうした?
──
で、あやちゃん、
その天才、満島ひかりさんが、
今回のドラマではどんな役を!?
あやや
なんと、黒柳徹子さんを演じるわけです!
──
うん!
荒井
うまい。
森下
やっと本題に。
あやや
満島ひかりちゃんが
黒柳徹子さん役を演じる『トットてれび』!
おもしろくないわけがないっ!
(ガタガタッ)
──
座って、座って。
荒井
ははははは。
森下
満島ひかりちゃんもおもしろいけど、
あややも相当おもしろいわ。
──
これは、あれですか、
黒柳徹子さんの本をドラマ化するという。
荒井
といっても、
『窓ぎわのトットちゃん』じゃないんですね。
──
あ、ほんとだ。
『トットひとり』と『トットチャンネル』を
ドラマ化、と資料にあります。
森下
『窓ぎわのトットちゃん』の映像化は
黒柳さんがお断りされてるらしいですね。
トットちゃんの恩師でもある
小林校長先生がすばらしい先生で、
「演じられる人がいない」と
黒柳さんがおっしゃっているという話を
聞いたことがあります。
あやや
でね、満島ひかりちゃんが
黒柳徹子さんを演じるというだけじゃなくてね、
ほかもすごいんですよ、このドラマ。
まず、脚本が中園ミホさん。
で、語りが小泉今日子さん、
音楽は大友良英さんだよー(拍手)。
荒井
『あまちゃん』の音楽を担当されてた方ですね。
あやや
ほかのキャストもすごいですよ。
渥美清さんを演じるのが中村獅童さん、
森繁久彌さんが吉田鋼太郎さん。
──
あ、そうか。
黒柳さんが、テレビの黎明期を
振り返る本が原作だから、
登場人物がみんな実在の人たちなんだ。
あやや
そして、ミムラさんが
向田邦子さんを演じますよ。
どうですか、向田邦子賞を受賞した森下さん!
他人事とは思えないでしょう!
森下
‥‥他人事じゃないって言ったら、
日本中の向田ファンから
「他人だろ」「一緒にすんな」って
ものすごい非難が飛んできそうなんだけど。
あやや
あとね、脱線しますけどね、
最近のミムラさんはいいんですよ!
私、WOWOWでやってた
『5人のジュンコ』観てたんですけどね、
いいんですよ、ミムラさん。
前からよかったっちゃぁよかったですけどね、
ここのところ、いいんですよ。
みなさんもミムラさんの
認識を新たにしたほうがいいですよ。
ミムラをアップデートしてください。
してないでしょ、ミムラのアップデート。
アップデートマークがついてますよ、
ミムラさんの右上あたりに。
──
アプリか。
森下
でも、たしかに最近、アップデートできてない
役者さんがいっぱいいるなぁ‥‥。
荒井
インストールからはじめないといけない
若い役者さんもいますよね。
あやや
しましょう、アップデート、インストール!
こまめにやりましょう!
──
また話がわかんなくなってる。
荒井
ちなみにドラマの原作本のひとつである
『トットチャンネル』は
一回、映画になってますよね。
あやや
そうなんです!
そのときの主演は斉藤由貴さん。
アイドル時代の斉藤由貴さんって、
大きな瞳がきらきらしてて、
なんかふわふわしてる感じで、
すっごくよかったんですよ。
その映画も、すごくおもしろかったんですけど、
考えてみると当たり前というか、
そもそも黒柳徹子さんの実際のエピソードが
どれもこれも鉄板すぎるんですよ。
森下
ああ、なるほどね。
あやや
徹子伝説満載なんですよ。
もう、言ってみれば、「すべらない話」が
ずーっと再現されるんですよ、ドラマの中で。
おもしろくないわけがないですよ。
しかも、そのおもしろいドラマの主役、
黒柳徹子さんを演じるのが
ピョン吉なんですよ。
──
ピョン吉じゃない。
荒井
あと、満島ひかりさんって、
けっこう黒柳徹子さんに似てますよね。
顔の輪郭とか、こう、逆三角で。
あやや
荒井先生、よくお気づきになられました!
じつは、満島ひかりちゃんが
メインキャストのひとりを演じた
朝ドラ『おひさま』の最終回で、
満島ひかりさんの役の晩年のお姿を
黒柳徹子さんが演じたことがあるんですよ。
荒井
ああ、そうだ、そうだ。
──
あったあった。それは憶えてる。
あやや
言ってみれば、NHKの粋な計らいですよ。
というわけで、このドラマ、きっとおもしろいです!
間違いなく、今回の「私が選ぶ3本」のうちの
1本に入ります!
──
だから、後で訊くから。
あやや
あーー、すっきりした。だいぶ話した。
今日はもう、これで、だいぶ満足。
──
ええと、おふたりはどうですか?
このドラマ。
森下
おもしろいと思います。
荒井
おもしろそうですよ。
あやや
あれ? それだけ?
なんか、口数少なくないですか?
荒井
ずっとしゃべり続けるから、
ぼくらの入るスキマがないんですよ。
森下
あややがぜんぶ言ってくれたから。
重版出来!
TBS系●火曜日午後10時
4月12日スタート
あやや
このタイトル(『重版出来』)、読めます?
「じゅうはんでき」じゃないんですよ!
「じゅうはんばく」みたいな、
「じゅうはんだく」みたいな、
そういう読み方なんですよ! なんだっけ!
荒井
『重版出来』(じゅうはんしゅったい)ですね。
あやや
そうそうそう、それそれそれ。
──
ぜんぜん違うじゃないか。
あやや
ちなみにこのドラマ、
主演の方の名前も読み方が難しいですよ?
森下
黒木華(くろきはる)ちゃん。
あやや
つまり、黒木華(くろきはる)ちゃんが主演する
『重版出来』(じゅうはんしゅったい)です!
ドラマが好きだと漢字の勉強もできます。
森下
これ、マンガが原作なんですよね。
知らなかったな。
あやや
私も読んでないんですけど、
おもしろいらしいですよ。
──
原作のマンガは松田奈緒子さん。
連載は月刊スピリッツ。
荒井
マンガの編集部の話ですね。
あやや
『バクマン』とかもそうでしたけど、
マンガで実際のマンガの舞台を描くのって、
なんかおもしろいですよね。
絶対、リアルになるに決まってるし、
エピソードも身近にあるでしょうし。
ドラマの舞台としてもおもしろそうですよね。
森下
でも、私たちは
わりと近いところで働いているから
「おもしろそう」って感じるけど、
マスコミとか出版とかの業界って、
多くの人にとってはわりあい遠い世界なんですよね。
ドラマの舞台を選ぶときって、
そういう感覚のズレが生まれやすいから
けっこう難しいんですよ。
あやや
あー、そうかそうか。
荒井
たしかに、ときどき、ありますね。
テレビ局とか、
「つくり手にとって身近な世界」を
舞台にしてコケちゃうドラマって。
森下
じつは、昔、『編集王』という
漫画雑誌の編集部のマンガがあって、
土田世紀先生の作品なんですけど、
ドラマ化されまして、その、なかなか、
壮絶な結果を残したんですよ。数字的にですけど。
荒井
憶えてます。当時としてはかなり厳しかったですね。
いまならまあ、わりと見る数字なのかな(笑)。
あやや
いわゆる「業界もの」のドラマって
諸刃の剣というか、一歩間違うと
たいへんなことになってしまうんですねぇ。
森下
逆にいうと、学校とか病院とか警察とかって、
すごく親しい世界なんですよ。
あやや
あー、それで多いんだ、
病院ものとか警察もののドラマが。
森下
ゆえに共感を呼びやすいと言われてます。
一概には言えませんけどね。
あやや
でも、「共感」の面でいえば、
このドラマは安心ですよ、
主演が黒木華ちゃんですから!
彼女は観てる人たちを
自然に引き込んでいく力があります。
森下
前にも言いましたけど、
彼女、ほんとうにうまいんですよ。
このまえ、黒木華さんが樋口一葉さんを演じる
『書く女』っていう舞台を観たんですけど、
けっこういやなところもある役なのに
彼女がやるとすごく魅力的で。
あやや
黒木華ちゃんって、
どんな役でも、その役として
品質を高める演技ができますよね。
テレビ東京で大根仁さんが演出してた
『まほろ駅前番外地』って観てました?
あれに黒木華ちゃんが
ゲストで出てた回があるんですよ。
ちょっと元気でコミカルな
役どころだったんですけど、
めちゃくちゃ上手で
めちゃくちゃおもしろかったんですよー。
最近はどっちかというとしっとりした、
健気な役が多い黒木華ちゃんですが、
元気で明るくて、
ちょっとKYみたいな役やらせても、
それはそれですばらしい。
いやぁ、ほんと、名優だと思います。
荒井
このドラマも、どっちかというと、
明るくて、突っ走る系のキャラクターですよね。
あやや
だとするとたのしみですね。
久々に明るい黒木華ちゃんが観られる。
荒井
『真田丸』は健気なほうでしたからね。
──
後半、ちょっとしたたかな面もありましたが。
森下
というか、あの亡くなり方はびっくりした。
荒井
唐突でしたよね。心の整理が‥‥。
あやや
あっ、この『重版出来!』に出るから、
急に死んだのかな?
森下
兼ね合いはあったかもしれないけど、
さすがに、急に出ることになったから
死なせてくださいってわけではないと思うよ(笑)。
──
ちなみに脚本は野木亜紀子さん。
『図書館戦争』シリーズや、
『掟上今日子の備忘録』の人です。
あやや
原作ものが得意な感じがしますね。
ますます安心です。
逆に、あえて、心配なところを探すとしたら、
まあ、さっき出た「業界もの」だということと、
意外に、黒木華ちゃん主演の連ドラって、
はじめてなんじゃないかっていう。
荒井
ああ、たしかに、
そこは読めない感じがありますね。
あやや
あの、連ドラの主演って、
かならずしも演技力だけじゃない部分が
あるじゃないですか。
森下
うん、わかる。
あやや
つまり、主役なわけだから、
演技がほんとに上手な人が演じるのが
いちばんいいと思われがちなんですけど、
映画や舞台と少し違うのは、連ドラって、
たとえ演技がそこそこレベルだとしても、
パッと華のある人が真ん中にいて、
脇をうまい人が固めていたら
ちゃんと成立するというか。
森下
うん、極論だけど、
昔から主役はヘタでもいいって話もあります。
脇のほうがうまくないと困るというか、
たいへんなことになる。
あやや
そうそうそう。
荒井
うーん、たしかに。
主役は華があればいい。
脇のほうがうまくないと困る。
あやや
主役は、ちょっとなにか
足りてないぐらいのほうが、
観てて楽なことってありますもんね。
──
ええと、ちなみに「脇」を見てみると、
荒川良々さん、松重豊さん、ムロツヨシさん、
あ、小日向文世さんも出ますね。
あやや
いい!
森下
いいですね(笑)。
荒井
安定感のある顔ぶれですね。
毒島ゆり子のせきらら日記
TBS系●水曜日24時10分
4月20日スタート
あやや
深夜枠ですが、これはどうでしょう、
『毒島ゆり子のせきらら日記』。
荒井
前田敦子さんが主役って、
久しぶりな気がしますね。
どういう役なんだろう。
──
資料によると、
「超・恋愛体質で惚れやすく冷めにくいため、
 複雑な恋愛に陥りやすい。
 常に恋人がいないと耐えられないタイプ」。
森下
恋愛依存症みたいな感じ?
あやや
じゃあ、これも「不倫もの」に走る?
荒井
違うみたいですよ。
「二股はかけても不倫はしないがモットー」
だそうです。
森下
メンタリティとしてはおもしろいですけどね。
「彼氏は必ずふたり以上」。
荒井
たんにドロドロさせたいわけじゃなくて、
そういう設定なんですね。
あやや
前田敦子さん、こういうの向いてるよね。
なんだっけ、あの映画、
『イニシエーション・ラブ』だ。
森下
ああ、あの女の子が騙すやつ。
あやや
そうです、そうです。
あれもそうでしたけど、なんていうか、
こういう、ふつうの人っぽいんだけど、
じつはたいへんな役って、
けっこう向いてる気がします。
森下
この人、もともとがんばる人だなぁって
印象がすごくあります。
あやや
あっちゃんは、いいよ。
だって、すごい言葉だと思うんですよね。
「キライにならないでくだタイッ!」
荒井
え?
──
なに、いまの?
あやや
だから、あれですよ、ほら、有名な、
「キライにならないでくだタイッ!」
──
この人は、なんて言ってるんですか?
荒井
たぶん、前田敦子さんがステージで言った
「私のことは嫌いでも、
 AKBのことは嫌いにならないでください」
だと思うんですが、本人のセリフと、
キンタロー。さんのモノマネが混ざって、
なんだかよくわからないことに。
あやや
「キライにならないでくだタイッ!」
──
しかも、あいかわらず、
まったく、誰にも、似ていない。
森下
うん。
あやや
ともかく、
あれってすごい名言だと思うんですよ。
だから、
「私のモノマネはキライでも、
 あっちゃんの名言は
 キライにならないでくだタイッ!」
──
もう、なにがなんだか。
荒井
なにをどうマネようとしているのか。
森下
そもそもなぜマネしようとするのか。
ディアスポリス 異邦警察
MBS系列●日曜日24:50
TBS系列●火曜日25:28
あやや
深夜枠のドラマをもう1本。
TBS系のかなり遅い時間に放送される
『ディアスポリス 異邦警察』。
森下
これ、複数の人が
監督されるみたいなんですけど、
そのうちのひとりが
熊切和嘉さんなんですよね。
いやー、すごい人を呼んできたなぁ。
あやや
どういう人ですか。
森下
けっこうハードな映画を撮る人です。
『鬼畜大宴会』とか。
──
ほかにも『パンドラの匣』の冨永昌敬監督、
『モヒカン故郷に帰る』の助監督、茂木克仁さん
といった方々が参加されるようです。
森下
濃いなぁ(笑)。
あやや
チャレンジしてますよね。
そのへんは「ドラマのTBS」を感じます。
私たちの世代って、
やっぱりドラマと言えばTBSなんですけど、
いまも深夜でこういうチャレンジをしてるのが
ドラマファンとしては、けっこううれしい。
──
たとえばどういうドラマ?
あやや
だいぶ前ですけど、好きだったのは、
『荒川アンダーザブリッジ』とか。
あと、石井裕也さんが監督した『おかしの家』。
深夜とはいえ、新しいドラマをつくろう、
という意欲を感じるんですよ。
そういうTBSの深夜の枠に、
私は知らないんですけど、
森下さんが驚くような
濃い監督を連れてきたというのは、
ちょっと期待しちゃいますね。
森下
いや、でも、これはまさに、
深夜じゃないと放送しちゃいけない気も(笑)。
荒井
そうとう個性的な監督さんなんですね。
森下
そうですねぇ。
『鬼畜大宴会』『海炭市叙景』『私の男』‥‥。
そうとう尖った方だと想像しちゃうんですが。
あやや
きっと、TBSの方が好きなんでしょうね。
森下
あの、お世話になってる
私が言うのもなんなんですけど、
TBSのドラマ部というのは
ドラマをつくるのが好きすぎて、
時として距離感を見失う傾向があるのではないかと。
荒井
ははははは。
森下
もう、自分も含めて言うわけなんですが、
つくってるうちにのめり込んじゃって
ちょっとそうなっちゃってるところがある。
あやや
いや、でも、森下さん、
言わせてもらいますけど、
ドラマが好きすぎてなにが悪いんですか!
──
ははははは、いい!
森下
そう言ってくれる人たちに支えられてるんだけど。
あやや
そうだよ。
ダメだよ、そんなこと言ったら!
森下
だけどさ、8割の人はやっぱり、
テレビはつけっぱで観るもんなんだよ。
ドラマだって、家事とかやってる合間に
ちょこちょこ戻ってきて観る、
ぐらいの距離感でたのしんでるんだよ。
映画のように、こう、
かぶりついては観てくれないわけですよ。
なのに、人がかぶりついて待ってるぞ
自分と同じテンションで目を皿にして
見てくれているはずという前提、
いや、願望で、ドラマをつくってしまう。
そんな傾向が、自分も含めてあると思います。
でも、私はそんなTBSが大好きです。
荒井
うん。
あやや
いや、わかる。
──
なんですか、この、連載最終回みたいな展開は。
森下
だってさぁ、またこれ、
パラレルワールドみたいな設定でしょ?
難しいんだって! ちろっと横ズレした世界って。
めちゃめちゃ時間と手間がかかるんですよ。
あやや
すばらしいじゃないですか。
すっごい真面目にドラマつくってると思う。
森下
そう言ってくれる人たちに支えられてます。
でも、それでまた、距離感がわからなくなる(笑)。
なら、いいんだ〜って、思っちゃうじゃん!
あやや
いいんですよ!
距離感縮めていきましょうよ、お互い。
荒井
お互い(笑)。
あやや
見る側も距離感を間違えばいいんだ。
森下
でもそれ、ぜんぜんパイが広がってない(笑)。
あやや
そのとおり‥‥。
でも、パイを広げるのも超重要ですけど、
それはそれでがんばっていただいて、
私たちコアなファンも大事にしてくださいよ!
荒井
ははははは。
そこは「してくだタイッ!」って言わないと。
違うか(笑)。
森下
ともかく、このドラマ、
すんごい振り切ってる気配がありますね。
あやや
そうですね。私、かなりたのしみです。
主演が松田翔太さん、
あと、柳沢慎吾さん、浜野謙太さん。
──
これ、原作はマンガなんですね。
あ、すぎむらしんいちさんだ。
荒井
脚本がリチャード・ウーさんですよ。
つまり、長崎尚志さんです。
あやや
あ!
森下
浦沢直樹さんとコンビで
数々の名作を生みだしている長崎さんの
別名がリチャード・ウーさんなんですよね。
あやや
やばーい。
──
で、これは映画にもなるんですね。
あやや
あー、やっぱりそうなんだ。
それでこの振り切り方なんだ。
荒井
いろいろマニアックですよね。
森下
見守りたい。
あやや
たのしみです。期待しましょう。


(まだまだつづきます)
2016-04-20-WED

(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN