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香りに溺れて。その11




ジョージ サフランはめしべだから女性っぽいのか。
ノリスケ サフランはめしべか。
サフランライスは男性的じゃないものね。
つねさん そうだね。
ジョージ いやーだあ。
ノリスケ でもサフランライスにかける煮込みは男臭いよね。
ジョージ 臭いよね。いやーだあ(くねくね)。
つねさん いやーだあ、ってあんた。
ジョージ 最近気になってる匂いは?
ノリスケ 気になってる匂い。
知り合いに、香水つけてないのに、
いい匂いのする男の子がいる。
あれ不思議。
ジョージ そういう人いるよね!
うちの会社の人に一人だけね、
トリュフの匂いのする人がいるの。
つねさん すげえ(笑)。
ノリスケ ちょっとどうかと思う(笑)。
豚が寄ってきちゃうじゃん。
白? 黒?
ジョージ 白の方。
ノリスケ ‥‥強すぎません?
ジョージ ほんとに。何つけてるの?
って言うと、いや、何にもって言うんだよ。
でもあれって、菌の匂いだから、
「こいつどっかに菌を抱えてるのかな?」
って思うくらいに、たまにふわっと匂うんだよ。
つねさん ああ。
ノリスケ トリュフって知性でもって消化しないと、
いい匂いなのか悪い匂いなのか
判断つきかねます。
ジョージ 悪臭といい匂いの‥‥。
ノリスケ 中間。微妙。ギリギリですよね。
学習しないと分からなかったわよ。
ジョージ あれは、おいしいからいい匂いなんだけど、
食べられなかったらよくも何ともないんだよね。
つねさん 臭いもの。
ノリスケ だから、その人に魅力がないと辛い。
ジョージ そう。
つねさん うちの友達も乳臭いのがいるわ。
ミルクっぽいの。
ノリスケ へえ。
つねさん デブなんだけど。
ミルク臭いんだよ。
ジョージ ミルク臭いということと、デブというのを、
「なんだけど」という言葉でつなぐっていうのは
何なんだろう。
ノリスケ はははは。
ミルキーなデブ。
つねさん デブってのは汗臭くってって、
いうイメージがあるじゃん。
ジョージ やせてガリガリな人がミルク臭いよりも、
太ってふくよかな人のミルク臭さの方が。
ノリスケ 馴染みがいいね。
つねさん ああ、ま、そりゃそうだ。
つねさん あとね、それこそ麝香の匂いする子と
つきあったことある、昔。
ノリスケ 何もつけないで?
つねさん 何も。ま、そいつはつけるのも好きなんだけど、
普通に体臭がちょっと麝香系の匂いがしてた。
ノリスケ ちょっとうらやましいです、そういう人は。
麝香が嫌いな人にとってはちょっと何だけど。
つねさん そんな強い匂いじゃないんだけどね。
ほんとにそういうのをつけたみたいな匂い。
ジョージ 前にも話したけど、ロック・ハドソンは
エイズで死ぬ直前に海の匂いがしたんですって。
ノリスケ あ、そう言ってたよね。
人は海に帰っちゃうのかな。
ジョージ 僕はやっぱり死ぬ直前に
バラの匂いを発しながら死にたいな。
素敵じゃない? みんなが葬儀場に行って、
焼き場に入ってぶわーっと火が着いた瞬間に
そこら中がバラの匂い。
ノリスケ でもその見送った人は、みんなその後
バラの匂いを嗅ぐとさあ、
ジョージさんが死んだ時の匂いだって思うんだよ。
ジョージ いいじゃない、仕返しとして。
人よりも長生きした仕返しよ。
その日からバラの匂いは私の匂い。
ノリスケ 先に生まれただけじゃんね。
つねさん ほんとだよ(笑)。
ジョージ 失礼しちゃう。先に生まれたということ
そのものも仕返しの一つだから。
ノリスケ そうかもしれない。
今は? 決めてる香りはある?
つねさん いくつか使ってるよね。
ジョージ 今日はオー・ソバージュ。
ノリスケ あ、オー・ソバージュ。野蛮な水。
でもほとんど匂わないですよね。
つけてるっていう記憶がないくらい。
つねさん 普段使いはあまりしないよね。
軽くシャッシャって振るけど。
ジョージ うん、鞄に入れてある。
で、うち出る時にはあんまりつけないけど、
たまにああ、何か重いなあとかって思うと、
シャシャシャシャーって。
つねさん だから、変な話、僕家にいて、
帰ってくる時に「お帰り」ってこうしたら、
匂う時はある。
ノリスケ ハグ。
つねさん そう。ハグしたらね。ただね。
ジョージ それがたまにね、歌舞伎町の匂いだったり、
銀座の匂いだったりすることもあるしね。
つねさん そうそうそうそう。
ノリスケ イヤーと思いながら?
つねさん ああ、別にあんまり。
いや、がんばったんだなと思う。
ノリスケ お仕事だからね。
ジョージ 特にね、下ろしたてのスーツとか着て行ってね。
それで女の匂いつくとね、嫌あだ、これ。
つねさん この間友達のところにWiiしに行ったのね。
ノリスケ ジョージさんちじゃなくて?
つねさん ソファに座って2人でやってたんだけど、
狭くて密着するの。で、そいつがすっごい
香水を振る子だったのね。
で、帰ったらシャツにつきまくってるの。
匂いが。それがすっごい嫌で。
ノリスケ 嫌だったんだ。
つねさん うん。で、脱いで陰干ししながら
ファブリーズがーっと振って。
ジョージ 不思議なもんよね。
好ましい人の匂いは素敵なのにね。
ノリスケ そうなんだよ、好きな人のはね。
ノリスケ 例のアンテウスは?
ジョージ あれは諦めね。
ノリスケ 諦めたのね。
ジョージ 別れて半年くらいして、
洋服の交換してたらばそいつの服が出てきて、
匂い嗅いだらアンテウスの匂いがして、
ちょっと懐かしかったりしたことあったもん。
ノリスケ 別に憎みあって別れたわけじゃないって
話ですもんね。
ジョージ そうそう。そうなのよね‥‥。
つねさん そろそろゴハンの時間だよ。
ノリスケ じゃあ、これで終りましょう。


このテーマはこれでおしまい!
次回はジョージさんのブックガイド、でーす。
おたのしみに!

2007-03-13-TUE

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