まるで、NASAのようなメディアになりたい?

 第15回 どうして、「しゃべってしまう」の?

<はじめに>
みなさんこんにちは。
今日から、11月3日の
ほぼ日ブックス創刊イベントの模様を、
対談を中心に、お伝えいたしますね。

11月3日の紀伊国屋ホールでは、
ユニクロ柳井さんや
おさるアイコンのアッキィさんを交え、
糸井重里&朝日出版赤井茂樹さんが参加する
記者会見が、まずはじめにおこなわれました。

その時にdarlingが読みあげた
プレスリリースは、こちらにあります。
(↑上記にリンクいたしましたので、
  お読みになりたいかたは、どうぞ)
すでに、コンセプトについては
この「ほぼ日ブックス創刊」のページで
紹介していることもあり、今日からの特集では、
こちらをすんなり省略いたしまして、
さっそく、目玉だった対談2つと講演1つ、
それと上映会1つのご紹介をしようと思います。

今日からの3回は、
八木亜希子さんと糸井重里の対談を
お届けします。ではさっそくお楽しみください。



糸井 (記者会見後の疲れた顔で)
いやあ、記者会見は辛かった!
・・・なぜだか、しらないですけど。
八木 (笑)
糸井 こういう場所に、八木さんをお呼びするのも
何だか、妙な感じが、しますよね?
八木 わたし自身、妙なかんじですよ。
糸井 ですよねぇ?
ああよかった、ぼくだけじゃなかった(笑)。

・・・いや、でも、ぼくが
「八木さんをお呼びしよう」と思いついた時、
これはアイデアとしてすばらしいなと感じたんです。
この「妙な感じ」というのを出したくて。
「妙な感じ」が当たった時って、やっぱり、
企画する人間としては、最高に気分いいんですよ。
八木 そうなんですか?
糸井 ええ。いい人選だと思います。

八木さんに実際にお会いしたのは最近ですが、
ぼくは、明石家さんまさんのファンなので、
以前からすでに「すごいなぁ」とは感じてて。

・・・隣に八木さんがいる時の
さんまさんは、ほかの時と違うんです。
八木 番組の中で、ですか?
糸井 そう。
いろんなむつかしい種類の番組があるけど、
さんまさんって人は
むつかしいことをよくこなしてるな、
とぼくはいつでも思って見ているんです。

特にそれを強く思うのが、
「さんま大先生」なんですね。
・・・あれは、
ほかの誰にもできないことだと思うんですよ。

それともうひとつ、
むつかしいだろうなあと思うのが、
クリスマスの日に、悲劇的な人から
電話を受ける番組でして・・・。
八木 (笑)はい。「明石家サンタ」。
糸井 あの番組を、ぼくは、
「八木さんがいなかったら、
 できないだろうなあ」
と思いながら見てるんです。

八木 さんまさんご本人からは、一度も
そう言っていただいたことないですけど(笑)。
糸井 (笑)あ、そうですか。
ぼく、あの番組、好きで。

なんで好きかっていうと、
「あの日に電話をかける」
という視聴者の姿勢が、主に・・・。
八木 (笑)・・・あ、不幸なみなさんですね?
糸井 (笑)そう。
しかもあの時期にあの番組を見ているという
自分も、何か思うところがあるじゃないですか。
たぶん、人の前に出たり忙しくしてる人って、
あの番組、けっこう
見てるんじゃないでしょうか。
八木 そうですね。
わたしももう、何年も何年も(笑)。
糸井 (笑)そうですよね、参加者ですから。

ただ、
「楽しくむつまじく暮らしているふつうの人」
っていうのは、あの日にはきっと、
仕事をしてたり、ふつうに疲れてるんです。
イルミネーションとか、見にいかないで。
八木 ええ。
糸井 ・・・まあ、番組の紹介はこのぐらいでいいや。
つまり、あの番組やスポーツの番組とかで、
「さんまさんをあれだけ
 気持ちよくしゃべらせる人っていうのは、
 どういう人なんだろう?」
と、常々、思っていたんです。
「何か秘訣があるのかな?」と。
八木 はぁ。
糸井 それで、八木さんと対談をしてみませんか、
というお誘いが、以前、週刊文春であった時に、
よろこんで出席させていただいたんです。
その「秘訣」を、知ることができるなら、
知ってみたいなあと思いまして。

人にしゃべらせる名人である
八木さんの横にすわったら、俺は
いったい、どうなるんだろう?というのも、
けっこう楽しみにしながら、でかけて・・・。
八木 そうだったんですか。
糸井 そうなんです。
・・・そうしたら、
自分がよくしゃべるしゃべる!
八木 (笑)
糸井 まんまと、術中に(笑)。
八木 そうですか?
糸井 そうですよ。
自分でも、びっくりして。
しかもさぁ。
いまこうやってお話を
させてもらってるこの対談も、
あとで活字に起こすとわかると思うんですけど、
八木さん、「ええ」とか「はい」だけでしょ?
あと、言葉にならないような絶妙な
次の発言をうながすような表情とか・・・。
八木 (笑)あははは。
・・・すみません。
呼んでいただいたのに
「ええ」しか言ってませんね。
糸井 そうなんですよ。
八木 (確信犯的に)ええ。
糸井 (笑)・・・うまいんですよ。
対談させていただいた時も思ったけど、
「この感じは、何なんだ?」と思うんです。
八木 はい。
糸井 「ええ」と「はい」でしょ?
・・・いやいや、これ、
ぼくがおかしいんじゃないんですよ?
会場のみなさんも、このイスに座ったら、
八木さんとなら、全員対談できますよ、きっと。
八木 (笑)そうですか?
糸井 そのへんを、探らせていただきたいんです。

(つづきます)
  

2001-11-22-THU


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