糸井 |
(記者会見後の疲れた顔で)
いやあ、記者会見は辛かった!
・・・なぜだか、しらないですけど。
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八木 |
(笑)
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糸井 |
こういう場所に、八木さんをお呼びするのも
何だか、妙な感じが、しますよね?
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八木 |
わたし自身、妙なかんじですよ。
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糸井 |
ですよねぇ?
ああよかった、ぼくだけじゃなかった(笑)。
・・・いや、でも、ぼくが
「八木さんをお呼びしよう」と思いついた時、
これはアイデアとしてすばらしいなと感じたんです。
この「妙な感じ」というのを出したくて。
「妙な感じ」が当たった時って、やっぱり、
企画する人間としては、最高に気分いいんですよ。
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八木 |
そうなんですか?
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糸井 |
ええ。いい人選だと思います。
八木さんに実際にお会いしたのは最近ですが、
ぼくは、明石家さんまさんのファンなので、
以前からすでに「すごいなぁ」とは感じてて。
・・・隣に八木さんがいる時の
さんまさんは、ほかの時と違うんです。
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八木 |
番組の中で、ですか?
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糸井 |
そう。
いろんなむつかしい種類の番組があるけど、
さんまさんって人は
むつかしいことをよくこなしてるな、
とぼくはいつでも思って見ているんです。
特にそれを強く思うのが、
「さんま大先生」なんですね。
・・・あれは、
ほかの誰にもできないことだと思うんですよ。
それともうひとつ、
むつかしいだろうなあと思うのが、
クリスマスの日に、悲劇的な人から
電話を受ける番組でして・・・。
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八木 |
(笑)はい。「明石家サンタ」。
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糸井 |
あの番組を、ぼくは、
「八木さんがいなかったら、
できないだろうなあ」
と思いながら見てるんです。
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八木 |
さんまさんご本人からは、一度も
そう言っていただいたことないですけど(笑)。
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糸井 |
(笑)あ、そうですか。
ぼく、あの番組、好きで。
なんで好きかっていうと、
「あの日に電話をかける」
という視聴者の姿勢が、主に・・・。
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八木 |
(笑)・・・あ、不幸なみなさんですね?
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糸井 |
(笑)そう。
しかもあの時期にあの番組を見ているという
自分も、何か思うところがあるじゃないですか。
たぶん、人の前に出たり忙しくしてる人って、
あの番組、けっこう
見てるんじゃないでしょうか。
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八木 |
そうですね。
わたしももう、何年も何年も(笑)。
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糸井 |
(笑)そうですよね、参加者ですから。
ただ、
「楽しくむつまじく暮らしているふつうの人」
っていうのは、あの日にはきっと、
仕事をしてたり、ふつうに疲れてるんです。
イルミネーションとか、見にいかないで。
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八木 |
ええ。
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糸井 |
・・・まあ、番組の紹介はこのぐらいでいいや。
つまり、あの番組やスポーツの番組とかで、
「さんまさんをあれだけ
気持ちよくしゃべらせる人っていうのは、
どういう人なんだろう?」
と、常々、思っていたんです。
「何か秘訣があるのかな?」と。
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八木 |
はぁ。
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糸井 |
それで、八木さんと対談をしてみませんか、
というお誘いが、以前、週刊文春であった時に、
よろこんで出席させていただいたんです。
その「秘訣」を、知ることができるなら、
知ってみたいなあと思いまして。
人にしゃべらせる名人である
八木さんの横にすわったら、俺は
いったい、どうなるんだろう?というのも、
けっこう楽しみにしながら、でかけて・・・。
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八木 |
そうだったんですか。
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糸井 |
そうなんです。
・・・そうしたら、
自分がよくしゃべるしゃべる!
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八木 |
(笑)
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糸井 |
まんまと、術中に(笑)。
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八木 |
そうですか?
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糸井 |
そうですよ。
自分でも、びっくりして。
しかもさぁ。
いまこうやってお話を
させてもらってるこの対談も、
あとで活字に起こすとわかると思うんですけど、
八木さん、「ええ」とか「はい」だけでしょ?
あと、言葉にならないような絶妙な
次の発言をうながすような表情とか・・・。
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八木 |
(笑)あははは。
・・・すみません。
呼んでいただいたのに
「ええ」しか言ってませんね。
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糸井 |
そうなんですよ。
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八木 |
(確信犯的に)ええ。
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糸井 |
(笑)・・・うまいんですよ。
対談させていただいた時も思ったけど、
「この感じは、何なんだ?」と思うんです。
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八木 |
はい。
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糸井 |
「ええ」と「はい」でしょ?
・・・いやいや、これ、
ぼくがおかしいんじゃないんですよ?
会場のみなさんも、このイスに座ったら、
八木さんとなら、全員対談できますよ、きっと。
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八木 |
(笑)そうですか?
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糸井 |
そのへんを、探らせていただきたいんです。
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