八谷 |
で、ちょうどそのワールドシステムを終えた頃に、
ポストペットの原型になる夢を見るんですけど。 |
糸井 |
それもまた啓示なの? |
八谷 |
そうですね。啓示というか、夢で見て・・・。
ぼく、いろんな問題の解決に夢をつかう(笑)。
とりあえず行き詰まったら、とりあえず寝るんですよ。
そうすると次の日の朝に、
「あ、こうすればいいんじゃん」って。 |
糸井 |
そう言えば、寝てから「起きること」って
けっこうあるなー。 |
八谷 |
寝て、覚める頃に
すごいいい解決を思いついたりとか。
で、やっぱり95年の頃に
インターネットを使いはじめて、
はじめてメールとか使いはじめて、
年末にワールドシステムで
すごい忙しかったこともあって、
年賀状とかも当然準備していないから、
みんなメールをつかっていれば、
メールで年賀状を出せるのに、とか思ってて。
年賀状って、つくるのけっこう
めんどくさいじゃないですか。
印刷するの、めんどくさいなあ、
どうやったらグリーティングのメールになるかなあ、
と思っていて、で、寝てたら、
ある女の子なんですけど、
知り合いの女の子からの
メールをテディベアが運んできて、
うちにもテディベアがいて、
そこんちのテディベアとうちのテディベアが
メールのお使いをしているうちに
恋愛して、どうも子供ができたみたいだ、
どうしよう、みたいな夢を見たんですよ。
それを見たのが実は人の家に泊まっているときで、
実際にはメールの送り主と別の女の子の家
だったりするんですけど。 |
糸井 |
やっぱちょっと自分のなかに
不安感があったときのほうが、
アイデア出るのかもね。
落ち着いてないじゃん、その場所って。
どう考えても。 |
八谷 |
そうかもしれないですね。
落ち着いてないんですね。
「どんな夢を見たの?」
「テディベアがメールを運んできて・・・」
君じゃない女の子とは言えない。
でも、見た夢としてはおもしろかったから。
ワールドシステムをやっているときに
もう一個別の作品もつくっていたんです。
メガ日記というプロジェクトなんですけど、
日記を1か所にたくさん集めてみるというもので、
100人で100日間でしてたんですけど、
その掲示板のなかでは
日記しか書いちゃいけないという
ルールにしてたので、
ひとと談話するときは別の、
ニフティの掲示板とかでしてたんですけど。
その夢の話をそこでしていたら
いろいろなひとがけっこうおもしろいと
言ってくれたので。 |
糸井 |
そのときには世の中ではメールソフトというのは
機能してたのですか?ユードラとかあったの? |
八谷 |
ユードラはありました。
マックだとユードラくらいしかなかったですから。 |
糸井 |
じゃあメールをつかっている数も
日本中でそんなに大勢はいなかったんですか。 |
八谷 |
ニフティサーブでやってて
メール使っている人は多かったと思いますが、
インターネットでのメールは
ほとんどまだきかなかったような。 |
糸井 |
ほー。 |
幸喜 |
「ニフティからインターネットに
メールが送れるようになりました」
って言うか言わないかくらいの。 |
糸井 |
ああ、よくわかる、それリアリティある、俺。 |
八谷 |
それではじめてユードラを使って。
一応機械と芸術の学校にいたし、
マックもぼくその時点で7〜8年使っていたから、
それなりに自信はあったんですよ。
でもユードラが全然設定できなかったり。
「でもメールって誰しもが
使っていなかったら、本来駄目じゃん」
みたいな気持ちだったと思うんですけど。
ちょうどそのときに、こんな夢を見たという話に
いろんなひとたちが反応してきてくれて。 |
糸井 |
それは96年くらいですか。 |
八谷 |
そうですね。95年末か96年頭。
おもしろいというひとが多かったから、
これは何か与太話で終わらせるのはもったいないなあ、
と思って、真鍋さんを。 |
真鍋 |
日記に、夢を見た、という掲示板を私も見てて。 |
糸井 |
それは、偶然? |
真鍋 |
いえ。
私もメガ日記というものに投稿してやっていたので、
そのまわりで、メガ日記のことを語る掲示板に
私が行ったんです。 |
糸井 |
そのときもう既に日本には、
そういう広場のようなものが、空中にあったんだね。
ごく少ないなかに。
(つづく) |