アートとマーケの幸福な結婚。
ポストペットの八谷さんと、
彼の船出。

第8回 「プログラマー=オタク」
     って、思うじゃないですか(笑)。



ポケットポストペットの話に移る前に、
「ポストペット」というプロジェクトが
どうやってできたのかを、対談できいております。
前回は、ポスペの構想のもとになる話を、
八谷さんがしゃべってくださったのですが、
今回はそのあとどうやってひとを集めたか?です。

八谷 ニフティに、割とおもしろいひとが
入っていた時期があって、
それでそこの掲示板に真鍋さんも入ってて。
もうひとり、初期のポストペットには
4人ひとが関わっていて、
浅野さん、浅野耕一郎さんというひとがいて。
そのひといまSME(Sony Music Entertainment)
にいてゲームとかやってるんですけど、
そのひとの掲示板で
真鍋さん浅野さんを仲間にして、
「プログラムを書くひともいる」
ということで。
糸井 その浅野さんはプログラム書くひと?
八谷 そのひとはSME のディレクターで。
「誰かプログラマ知りませんか?」
ときいたらいいひとひとり知ってる、
と紹介されたのが、幸喜くん。
真鍋さんとかは
割にすぐひとを偏見で見るというか(笑)
「変なプログラマーが来たらどう断ろう」
とかって考えていたんですけど。
糸井 それは、幸喜さんのことね。
真鍋 プログラマー=オタクって、
思うじゃないですか。
八谷 真鍋さん特にセガにいたから。
糸井 プログラマーに泣かされてきたんだ。
真鍋 泣かされてきたっていうか、
かっこ悪いひととは
仕事したくないって思ってたんで。
糸井 じゃあ、みんな帰れ(笑)。
真鍋 なんかあんまり、ほんとになんかこう、
指のない皮手袋して、
頭にバンダナ巻いてるみたいなのが来たら
困るじゃないですか(笑)。
糸井 (笑)すごい具体的な話だなあ。
八谷 この話は、載るんだから。
糸井 載るよー。
真鍋 (笑)そう思ってたんですよ。
そしたら、素敵な若者が、彗星のように現れて。
糸井 あ、そうー。
じゃあ、真鍋さんと八谷くんは
大学のときに会っていたこともあるし、
その後も空中でつきあいがあって。
八谷 そんなにしょっちゅうは会ってなくて。
糸井 別の仕事をしてるひとで、
生計は違うところで建ててたり。
真鍋さんはセガにいたし、
八谷くんはもう作家だったのか、
ともかく一応食えていたわけですよね。
八谷 当時はまだ食える前で。
サラリーマンのときは
収入の一部を作品づくりに充てるくらいで。
食える見込みのないまま辞めちゃったんですね。
糸井 バンドマンみたいだったんだね。
八谷 ただ、スキルは生かせるだろうという自信が
あるような気がしたんだけど。根拠のない自信で。
糸井 いや、まあ、若さってそういう。ねえ?

いやー、おもしろいなあと思うのは、
つとめてなかったらだめだった、
っていうのがおもしろいね。
昔、作家になるっていうのは、
つとめていたら自分の時間をとられて
情熱もとられちゃうから、
親からの仕送りがちょっとあって、
あとは最低のバイトをやりながら、
俺は一切ほかのことをやらないで
絵を描き続けるんだとか、
そこのところに時間もコストも投入して
何かに開眼するなりというのがあったのが、
はたらいていることでできることが増えていって、
それをやれる余裕が、
ばかなことに使える余裕があったり。

(つづく)

2000-04-12-WED

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