糸井 |
ポスペを売る相手のイメージは、
SMTVくらいのサイズだったんですか?
何人のイメージだった? |
八谷 |
1000とかですよ。確か。マックスで。
メガ日記で数が100だったから、
次は1000かなとか、そういう。 |
真鍋 |
3000個も売れるとペイできて嬉しいね、
とか言ってたから。 |
糸井 |
プログラマーの幸喜さんを
呼び寄せちゃっていたから、
ペイラインって自然に、
もう時間もかかるし、労力もぜんぶ、
単純に言うと3人食っていける
仕事にしなきゃいけないじゃないですか。
そのときには
「3000売れたらペイできる」
というのは
マーケッターをやってた八谷さんが? |
真鍋 |
最初にちゃんと開発費をもらっていたんです。 |
八谷 |
3000というのは大雑把でしたけど。
ソネットになぜ持ち込んだかの理由もあって。
まあひとつは浅野さんがもともとSMEのひとで、
SMEに持っていったら、
「うちはパソコンのソフトつくってないから。
でも、そのかわりソネット紹介するよ」
って言われて、ソネットという提案は
こっちにしてみると大ラッキーという。
プロバイダは、もうその当時から
価格競争になると言われていたから。
水道屋さんとか電気屋さんと一緒で、
結局提供しているサービスは
そんなに変わらないんですよ。
コンテンツ勝負になるっていわれてて、
「ソネットはコンテンツで勝負します」
と言ってたから、会員が集まるようなサービスが
これで実現できれば、ペイラインを低く出来るなぁ、
と思っていました。 |
糸井 |
あれはコンテンツとしてだったんだ。
メディアじゃなくて。 |
八谷 |
ええ。最初は。
それを目当てに会員が
入ってくれればいいという。
実際にポストペットのために使うお金を
とにかくミニマムにしようと思っていたんですよ。
マーケッターのときに、
自分がそれまでの仕事の失敗から学んでいた、
成功するための秘訣は「ちょっとずつやる」
ってことだと思っていたんで。
最初から大風呂敷を広げて10万人集めれば
このお金をペイできます、っていうんじゃなくて、
ちょっとずつ重ねていって、
失敗したらひきかえせばいいじゃん、
ってやってみたかった。
最初からマスを目指さずに。
ソネットのひとたちと
ミーティングしていたときに
ロムをつくろうとは全然考えていなかったから、
ダウンロードだけにして、
ダウンロードをしたいがために月に2〜300円
払ってくれるようなコンテンツをつくろうと。
だから、ポストペットパークをつくるというのは
最初からあって。
メールソフトとしてのポストペットと、
ポストペットパークがあって、
ポストペットは300円を
1年間くらい払ってくれる人が
6千人くらいいたら成り立つから、
プロジェクトとしては
コンパクトでいいなと思っていて。 |
糸井 |
それは、常にひきかえせる
距離にいようということだよね。
八谷さんの話って、
全部見えることだよね、発想が。 |
八谷 |
大きなことがよくわからないから(笑)。 |
糸井 |
いや、ぼくもそうです。
実験テレビから、手の振れる距離にいるよね。
到達点が。 |
八谷 |
予算もだいたいそれくらいで、
最初2000万くらいだったんですが、結局は
もうちょっと機材費とかがかかって。 |
糸井 |
かかるよね。 |
八谷 |
最初、幸喜くんのつとめている会社に
かたち上は発注ということにしていて、
ただし、実際は指名で幸喜くんをつかうと。 |
糸井 |
出向なんだ?言わば。 |
幸喜 |
他の仕事もやりながら。 |
八谷 |
社員誰でも使っていいと言われたけど
責任者は幸喜くん指名で。で、そこの会社から
ぼくとか真鍋さんにも指名で、
ディレクションやグラフィックをやらせるという。
つまり、いきなり会社とかをつくると
コストとか時間がかかるし、
会社が既に持っている機材やテーブルが
あったとしたら、それをレンタルで借りたほうが
トータルでは安いなと思って。
だから、北村さんには・・・。 |
糸井 |
北村さんという名前はどこから出てきたの? |
八谷 |
北村さんはソネットの人で
お金のまわりのことを
ぜんぶ把握してくれているひとです。
ぼくたちは「失敗するパターン」と
まったく逆に行こうと思っていて。
とにかく、あんまりばーんと打ち上げずに、
地味ーにラウンチというか、
こうなだらかに離陸してゆこうと。
だから幸喜くんの会社に
ぼくとか真鍋さんが出かけていって。 |