アートとマーケの幸福な結婚。
ポストペットの八谷さんと、
彼の船出。

第10回 ポスペを売るイメージは?



「ポストペット」
・・・人工知能付き
インターネット「愛玩」メールソフト
八谷は原案・ディレクションを担当。
他のメンバーは
グラフィックデザイン:真鍋奈見江と
プログラム:幸喜俊。
コンピュータのなかでペットを飼い、
そのペットが伝書鳩のように
あなたの電子メールを運びます。
ポストペットを相手も持っていれば、
相手のところに自分のペットが現れます。
さらにペットは成長すると、
飼い主や飼い主の友人にも
自分で勝手にメールを書きます。
公園にイヌを散歩につれていって、
飼い主同士が仲良くなるような、
そんな感じのメールソフト。
そのほかメールのプロトコルを使い、
メールサーバとwebサーバを連動して
いろいろなイベントが
発生するように作られている。
(グラフィックデザイン:真鍋奈見江)
↑こちらの写真と紹介文は、
八谷さんのホームページ
http://www.petworks.co.jp/~hachiya/
から抜き書きさせていただきました。


ついに、ポスペをつくりはじめる話に!
上記に出てくる真鍋さん、幸喜さんも
しゃべりはじめてくださっていますよ。
それにしても、改めてすごいのは、ポスペって、
3人でほとんど全部つくっちゃったんだよなあ。

糸井 ポスペを売る相手のイメージは、
SMTVくらいのサイズだったんですか?
何人のイメージだった?
八谷 1000とかですよ。確か。マックスで。
メガ日記で数が100だったから、
次は1000かなとか、そういう。
真鍋 3000個も売れるとペイできて嬉しいね、
とか言ってたから。
糸井 プログラマーの幸喜さんを
呼び寄せちゃっていたから、
ペイラインって自然に、
もう時間もかかるし、労力もぜんぶ、
単純に言うと3人食っていける
仕事にしなきゃいけないじゃないですか。
そのときには
「3000売れたらペイできる」
というのは
マーケッターをやってた八谷さんが?
真鍋 最初にちゃんと開発費をもらっていたんです。
八谷 3000というのは大雑把でしたけど。
ソネットになぜ持ち込んだかの理由もあって。
まあひとつは浅野さんがもともとSMEのひとで、
SMEに持っていったら、
「うちはパソコンのソフトつくってないから。
 でも、そのかわりソネット紹介するよ」
って言われて、ソネットという提案は
こっちにしてみると大ラッキーという。

プロバイダは、もうその当時から
価格競争になると言われていたから。
水道屋さんとか電気屋さんと一緒で、
結局提供しているサービスは
そんなに変わらないんですよ。
コンテンツ勝負になるっていわれてて、
「ソネットはコンテンツで勝負します」
と言ってたから、会員が集まるようなサービスが
これで実現できれば、ペイラインを低く出来るなぁ、
と思っていました。
糸井 あれはコンテンツとしてだったんだ。
メディアじゃなくて。
八谷 ええ。最初は。
それを目当てに会員が
入ってくれればいいという。
実際にポストペットのために使うお金を
とにかくミニマムにしようと思っていたんですよ。
マーケッターのときに、
自分がそれまでの仕事の失敗から学んでいた、
成功するための秘訣は「ちょっとずつやる」
ってことだと思っていたんで。

最初から大風呂敷を広げて10万人集めれば
このお金をペイできます、っていうんじゃなくて、
ちょっとずつ重ねていって、
失敗したらひきかえせばいいじゃん、
ってやってみたかった。
最初からマスを目指さずに。

ソネットのひとたちと
ミーティングしていたときに
ロムをつくろうとは全然考えていなかったから、
ダウンロードだけにして、
ダウンロードをしたいがために月に2〜300円
払ってくれるようなコンテンツをつくろうと。
だから、ポストペットパークをつくるというのは
最初からあって。

メールソフトとしてのポストペットと、
ポストペットパークがあって、
ポストペットは300円を
1年間くらい払ってくれる人が
6千人くらいいたら成り立つから、
プロジェクトとしては
コンパクトでいいなと思っていて。
糸井 それは、常にひきかえせる
距離にいようということだよね。
八谷さんの話って、
全部見えることだよね、発想が。
八谷 大きなことがよくわからないから(笑)。
糸井 いや、ぼくもそうです。
実験テレビから、手の振れる距離にいるよね。
到達点が。
八谷 予算もだいたいそれくらいで、
最初2000万くらいだったんですが、結局は
もうちょっと機材費とかがかかって。
糸井 かかるよね。
八谷 最初、幸喜くんのつとめている会社に
かたち上は発注ということにしていて、
ただし、実際は指名で幸喜くんをつかうと。
糸井 出向なんだ?言わば。
幸喜 他の仕事もやりながら。
八谷 社員誰でも使っていいと言われたけど
責任者は幸喜くん指名で。で、そこの会社から
ぼくとか真鍋さんにも指名で、
ディレクションやグラフィックをやらせるという。
つまり、いきなり会社とかをつくると
コストとか時間がかかるし、
会社が既に持っている機材やテーブルが
あったとしたら、それをレンタルで借りたほうが
トータルでは安いなと思って。
だから、北村さんには・・・。
糸井 北村さんという名前はどこから出てきたの?
八谷 北村さんはソネットの人で
お金のまわりのことを
ぜんぶ把握してくれているひとです。

ぼくたちは「失敗するパターン」と
まったく逆に行こうと思っていて。
とにかく、あんまりばーんと打ち上げずに、
地味ーにラウンチというか、
こうなだらかに離陸してゆこうと。
だから幸喜くんの会社に
ぼくとか真鍋さんが出かけていって。

2000-04-16-SUN

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