幸喜 |
ポストペットのベータ1とベータ2は
まったく別のプログラムなんですよね。
ごっそりつくりなおしているんです。 |
八谷 |
ベータ1は様子を見るため、
ご意見をうかがうためで? |
糸井 |
こんなこと八谷さん知ってた? |
真鍋 |
ベータ1とベータ2が違うのは知ってたけど。 |
糸井 |
こんな気持ちでやってるとは? |
八谷 |
リリースの直前って1月10日だから、
正月でも幸喜君はたらいているわけですよ。
コタツの横にサーバがあって、
そこで試しながら実験してて。
データを変える、というのは知ってたけど
でもそういう思いをしているとは・・・。 |
幸喜 |
96年の12月中旬からというのが一番・・・。
年末年始で会社のビルが
まるごとロックされちゃって。 |
糸井 |
あるある、空調も効かないってやつね。 |
幸喜 |
会社でアパートを1室借りてもらったんですよ。
そこに機材を持っていって。
本郷のところで。
PHS使ってたんですけど、
充電器を会社に置きっぱなしにして忘れて、
PHSだけ持っていったんだけど
それが年末年始で切れて、
まったく通信が途絶えたんですよ。 |
真鍋 |
電話線は? |
幸喜 |
電話線は、なかった。 |
糸井 |
下宿のようなところに・・・。 |
幸喜 |
サーバマシンだけで。
あのときはもうほんとに何か・・。 |
真鍋 |
下界と閉ざされて。 |
幸喜 |
ほんとに・・・。 |
糸井 |
それ、誰にぶつけた?その悲しみ。
ひとりで歯を食いしばってたの? |
八谷 |
プログラムにぶつけてた(笑)。 |
真鍋 |
うわさによると、
ポストペットのプログラムに
幸喜さんの日記が入っているという。 |
幸喜 |
何かコメントのところに書いてあるんですよ。 |
糸井 |
ああそうなんですか、
解析すると見えちゃうんだ。 |
幸喜 |
だから、そのときの頭の中の
ぐちゃぐちゃ状態が、なんかわかるんで。 |
糸井 |
「たぬきそば!」とか書いているかもしれない。 |
幸喜 |
いや、何か「死ね」とか「殺す」とか
そういうきたない言葉ですけど。 |
糸井 |
はー。おもしろいなあー。
俺、幸喜さんとつくる話したのはじめて。 |
幸喜 |
ベータ1に出したときにぼくの心にあったのは、
ライブラリの総とっかえですよね。
ちょうどマックが7.5から、
Mac TCPっていうやつから
OpenTransportに
移行するときに重なってたんで、
ものすごくつらい時期だったんですよ。
ほんとうなら、正気ならば
ちょっとここで開発ぜんぶストップさせて、
Mac OSがちょっと落ち着いて
OpenTransportにちゃんと移行するのを
待とうというのだったんですけど、
とりあえずみんな出したい、
自分も出したいと思ったし、じゃあもういいやと。
(つづく) |