増田 |
携帯電話が足りなくて
しょうがない時期だったんで、
「売り切れてる」
「私の携帯電話はいつ届きますか」
って毎日毎日電話に対処していくとか。
多摩ってエリアが悪いんで、
電話が使えないっていうところに
あやまりにいったり、そういう世界でしょ?
・・・かたや会社のなかで
「モバイル」って言ってて、
それはどういうこっちゃ!と。 |
糸井 |
世の中の実情そのものと接してたわけね。 |
増田 |
そうですよ。倉庫番して、
リーフレットが足りないとか言ってて・・・。
会社がどんどん大きくなっていくのに、
ついていけないじゃないですか。
番号が足りなくなったら
みんなでばんばん番号消したりとかっていう
そういう世界のときに、会長が、
今の会長が社長だったんですけど、
会長が意見交換をするのが大好きで、
私が飲んで大暴れしたんですよ。
社長を前にして。 |
糸井 |
どんなことしたの? |
増田 |
まあでも、社長も大喜びしちゃって。 |
八谷 |
それは、みんなで飲みにいって? |
増田 |
会社のなかで懇親会とかやったんですけど、
そこで大暴れして、あいつはおもしろいなって。
それで、まあ意見交換会を持とうと。 |
糸井 |
何が意見交換会だ(笑)。 |
増田 |
「なんかおもしろいこと考えてないか」
って言われたので、
「モバイルって言われて
インターネットって言われても、
私には見たいものなんかひとつもありません」
と、私はほんとにミーハーなので、
雑誌がすごく好きで、雑誌をインターネットで
見られるようにしたらどうでしょうかと。
hanakoを検索できるようにしたらどうかと。
それをドコモでしかやらなければ、
ドコモがインターネットテーブルに
なってくれるんじゃないかと。
おでかけ先でお店を探したりとか。そしたら、
「よしおもしろい、それやってみなさい」
と、新しい部署の担当に入れてくれたんです。
それで、その頃はじめてメールを知って、
ベータ版のポストペットができたときも
友達がインストールしてくれて、
「かわいーいー!」
とか思って。 |
糸井 |
裏声出した(笑)。 |
増田 |
すっごいかわいいって思って、
そのとき使っていたんですけど、
1年経っていると思います。
メールをはじめてつかっているときから
1年経って、その頃からメールみたいなものを
だんだん使いはじめて。
だけどhanakoのやつはだめだったんですよ。
あの頃は、雑誌の情報をインターネットに
流すのはナンセンスだという・・・。
「何でだ、売れなくなっちゃうじゃないか」
って。 |
糸井 |
あと、
「雑誌ができることを
インターネットはするべきじゃない」
というのもあったよね。 |
増田 |
そう、そういう発想もあって。 |
糸井 |
メディアに区分をつけるっていう。 |
増田 |
だからすごいだめだと言われて
私たちもまだ支店から来たばかりで、
こう言われたらびびっちゃうなー、
それはできないな、と思って。
まあそのプロジェクトはだめになっても
ちゃんと雇っていてくれて、
ずっと、ちょうどその10円メールとかを
だんだん同じチームで考えて出してきて、
どうしても携帯電話ってルールがあって、
ダイヤルアップにすごい時間が
かかってしまうので、
それだけだとニーズに答えられない部分を、
私たちが早いスパンでやりましょうという
担当だったので。 |
糸井 |
はじめから早いスパンでという担当だったんですか! |
増田 |
そういう感じですね。 |
糸井 |
それかっこいいなー!
会社もえらいね! |
増田 |
でも、「特化」と思ってても
まわりのひとは、おもしろくないですよね。
それこそ、耕してきた畑を
荒らされているようなもんだって。
「あいつらはほんとに
勝手なことばっか言ってやがって」。 |
糸井 |
お調子もん軍団みたいな。 |
増田 |
「おいしいとこどりだよ、
上からはほめられて」とか。
(つづく) |