アートとマーケの幸福な結婚。
ポストペットの八谷さんと、
彼の船出。

第20回 早いスパン担当


ポケボをつくった増田さんですが、
最初は普通にドコモに入社して、
そのまま携帯電話を売っていたんだよね。
増田さんが頭角をあらわはじめるときまで、
今回はじっくり話をきいておりますよっ。

増田 携帯電話が足りなくて
しょうがない時期だったんで、
「売り切れてる」
「私の携帯電話はいつ届きますか」
って毎日毎日電話に対処していくとか。
多摩ってエリアが悪いんで、
電話が使えないっていうところに
あやまりにいったり、そういう世界でしょ?
・・・かたや会社のなかで
「モバイル」って言ってて、
それはどういうこっちゃ!と。
糸井 世の中の実情そのものと接してたわけね。
増田 そうですよ。倉庫番して、
リーフレットが足りないとか言ってて・・・。
会社がどんどん大きくなっていくのに、
ついていけないじゃないですか。
番号が足りなくなったら
みんなでばんばん番号消したりとかっていう

そういう世界のときに、会長が、
今の会長が社長だったんですけど、
会長が意見交換をするのが大好きで、
私が飲んで大暴れしたんですよ。
社長を前にして。
糸井 どんなことしたの?
増田 まあでも、社長も大喜びしちゃって。
八谷 それは、みんなで飲みにいって?
増田 会社のなかで懇親会とかやったんですけど、
そこで大暴れして、あいつはおもしろいなって。
それで、まあ意見交換会を持とうと。
糸井 何が意見交換会だ(笑)。
増田 「なんかおもしろいこと考えてないか」
って言われたので、
「モバイルって言われて
 インターネットって言われても、
 私には見たいものなんかひとつもありません」
と、私はほんとにミーハーなので、
雑誌がすごく好きで、雑誌をインターネットで
見られるようにしたらどうでしょうかと。
hanakoを検索できるようにしたらどうかと。
それをドコモでしかやらなければ、
ドコモがインターネットテーブルに
なってくれるんじゃないかと。
おでかけ先でお店を探したりとか。そしたら、
「よしおもしろい、それやってみなさい」
と、新しい部署の担当に入れてくれたんです。

それで、その頃はじめてメールを知って、
ベータ版のポストペットができたときも
友達がインストールしてくれて、
「かわいーいー!」
とか思って。
糸井 裏声出した(笑)。
増田 すっごいかわいいって思って、
そのとき使っていたんですけど、
1年経っていると思います。
メールをはじめてつかっているときから
1年経って、その頃からメールみたいなものを
だんだん使いはじめて。
だけどhanakoのやつはだめだったんですよ。
あの頃は、雑誌の情報をインターネットに
流すのはナンセンスだという・・・。
「何でだ、売れなくなっちゃうじゃないか」
って。
糸井 あと、
「雑誌ができることを
 インターネットはするべきじゃない」
というのもあったよね。
増田 そう、そういう発想もあって。
糸井 メディアに区分をつけるっていう。
増田 だからすごいだめだと言われて
私たちもまだ支店から来たばかりで、
こう言われたらびびっちゃうなー、
それはできないな、と思って。
まあそのプロジェクトはだめになっても
ちゃんと雇っていてくれて、
ずっと、ちょうどその10円メールとかを
だんだん同じチームで考えて出してきて、
どうしても携帯電話ってルールがあって、
ダイヤルアップにすごい時間が
かかってしまうので、
それだけだとニーズに答えられない部分を、
私たちが早いスパンでやりましょうという
担当だったので。
糸井 はじめから早いスパンでという担当だったんですか!
増田 そういう感じですね。
糸井 それかっこいいなー!
会社もえらいね!
増田 でも、「特化」と思ってても
まわりのひとは、おもしろくないですよね。
それこそ、耕してきた畑を
荒らされているようなもんだって。
「あいつらはほんとに
 勝手なことばっか言ってやがって」。
糸井 お調子もん軍団みたいな。
増田 「おいしいとこどりだよ、
 上からはほめられて」とか。

(つづく)

2000-04-27-THU

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