アートとマーケの幸福な結婚。
ポストペットの八谷さんと、
彼の船出。

第21回 シェアメールのポリシーに合う端末がない


ポケットボード制作過程の話を、おとどけしています。
今回は、早いスパンでものをつくる担当になった
増田さんが、どういうことをやっていたのか?
どうしてポケットボードをつくることになったか?
というところをうかがっております 。

増田 10円メールのときにも、部長席の横に
アクセスポイントがあったんですけど。
八谷 (笑)そういうアクセスポイントなんですか。
増田 それも、私の部長が4年くらい前から、
「電子メールは10円になったら絶対流行るぞ」
って言って、いつか10円でやってやるんだと。
それがたまたま仕組みも整ってきて、
全然特別な割引もしないで、彼のアイデアだけで
10円でできることになったんです。
設備部とかいって
すごい大きい部署があるんですけど、
そこにも任せないで、
自分たちだけでやってたんですよ。

アクセスポイントを増やすのに、
ちょっと田舎のほうの支店長さんに
頼みに行っては、電話を置いてもらって、
アクセスポイントをばらしてもらって。
糸井 (笑)具体的だよね。
アクセスポイントが見えるんだから。
ポイントじゃん、って。
増田 最初はうちの社員の
アクセスばっかりだったのが、
そのうち一般のひとからもたくさん来て、
「わーやったやった!」
という感動があったんですけど。
糸井 そこだけでも十分にサクセスですね。
もう、それでいいや!(笑)
増田 最初出たときには、これがもっと有名になって
いいサービスつくったねって
言われるようになったらいいねっていう
部長が雑誌のコメントに書いていたんです。
わたしはそれを今でも大切に持っていて、
それを読むと、ほんと最初は
それこそ大きいところに行ったけど
むげに断られて、
「そんな料金体系をいじれるわけない」
って言われて。
私たちも、料金体系まったくいじらずに
やったんですよ。
糸井 要するに短い時間で
送れさえすればいいっていう。
増田 そうだったんですけど、
それでやっとマスターネットというところで
やってくれることになってくれて、
すごく男気のあるところで、
「ただでいいですよ。もうけは要りません。
 それでマスターネットが
 有名になってくれればいいんですよ」
って言ってくれたんです。ただ、部長は
「ただは絶対だめになるから、
 お金は必ずもらってください」
と。大口割引をすることにしました。
通話料をまるがかえで
払ってくれているので、大口割引で。
10円につき2円しかもうからないんだけど。
糸井 たばこみたいだね。
増田 そんなサービスがあって、
でもドコモは、そういういいサービスを
つくっても、それに見合う端末がない、と。
やっぱり、ドコモの信頼できるグッドワークと
サービスと、よい端末を、と。
「シェアメールのポリシーに合う端末がない」
と言っていたんですよ。
糸井 なるほど。
増田 それで、最初はザウルスを改造したものを
売っていたんですけど。
糸井 それはそれで売ってたよね。
増田 でも、そのときにちょうどつくっていた
ポケットボードの息子のメッセージボードとか
いうんのがあるんですけど、
ポケベルを呼び出すためにつくってた端末を
電子メールにできますよ、ということになって、
最初はビジネス向きにつくっていたものが
急遽、女性向けのプライベートユーザーを
広げるための端末にするぞ、
と部長が思いついて、そのときにちょうど私が、
「女性向けっていったい何だろう?」
で、私はミーハーな女子社員なので、
ちょうどいいから、
お前はどんなのがいいのかを言ってみろ、と。

こんな機能があったらいいとか
言うようになってきて、
「誰がやる?」
そこで、
「絶対やりたい!」
って手を挙げて。

(つづく)

2000-04-28-FRI

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