アートとマーケの幸福な結婚。
ポストペットの八谷さんと、
彼の船出。

第26回 ポケットボードが売れた理由


ポケットボード制作課程のお話は、今回まで。
売れるきっかけを前回にしゃべってもらったところで、
次は、売れた理由や当時の消費背景について、
増田さんと真鍋さんに語ってもらっています。

増田 ポケットボードのCMはすごい良い出来で。
前みたいにイメージ広告じゃなくて、
「こんな風に使った」というのが出ていたから。
ちょうど「ウィズラブ」とかもあと押しして。
(竹之内豊のドラマ)
真鍋 あー、あったあった。
糸井 メールをつかったラブストーリーだよね。
増田 メールで恋愛できるという誤解とか。
八谷 誤解って(笑)。
増田 最初のころ出したときには、
「会社のアドレスは持ってるけど」
というOLさんが対象だったんですよ。
25歳のOLというのが一応対象で。でも、
「プライベートメールアドレスを持ちましょう」
と言っても最初はみんな総スカンだったんですよ。
糸井 「仕事を家まで」って思うんだ。
増田 あと、プライベートのメールも
会社で私用で出していたときだったから、
「何でいちいち自分のお金で」
と言われていたのが、
たまたまちょっと世の中の流れが
「会社で私用メールをしちゃいけませんよ、
 誰に見られるかわからないんですよ」
という空気が高まってきて、
「じゃあ自分のアドレスも持ちたい」
という風潮ができたから、よかったんです。
糸井 合コンでアドレスを交換する風潮が
そのときにはもうあったんでしょ?
増田 うん。
糸井 当然あるよね。そしたら、
「わたしアドレス持ってない」
というひとは、欲しいよねー。
増田 新聞社とか勤めてるひととかは
アナログな世界だから、
メールとか持ってないひとも
多かったんですけど、
「メールのない生活に耐えられない、
 これ以上屈辱を受けられない」
という。
糸井 合コン、大きいですよねー。
増田 ポケットボードのモニターで知りあった人も
合コンのあとにポケットボードの
メールアドレスを交換して、
それで結婚したという。
糸井 それで照れながら
「ポケットボードだけどさ」
って言ったりね。
真鍋 「私家にパソコン持ってるから」
と言われるより、女の子としては、
「ポケボをやってる」
ぐらいのほうがかわいいじゃないですか(笑)。
あんまり本格的だと、ひくよねー(笑)。
糸井 そうか(笑)。
その市場にもう一度iMacが入るんだー。
真鍋 「わたし、iMac持ってるんだ」
って言ったら「おたくじゃないな」って。
糸井 ポケットボードは
総計どれくらい売れたの?
増田 97万台とか。
糸井 ばかやろうーー(笑)!
・・・そりゃもう結婚式場の思い出とか、
語りたくなっちゃうよねー。
増田 グレイのコンサートが
5万人とかきいたときに・・・
糸井 「何言ってやんでい」と(笑)。
増田 思いましたよ(笑)。
ここでみんながポケットボードを持っていても。
真鍋 20万人のコンサートが5回できる。
増田 だから、それこそポストペットを
ポケットボードに、なんて話が来たときには、
飛び上がるほどうれしかったですよ。
糸井 おおっ。本題に入りましたね。
ここで「つづく」になるわけですよ、
ほぼ日的には。

(次回から、ポケットポストペットの巻)

2000-05-03-WED

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