どうせだったら、
広告の勉強もしてやれ!

まず、アートディレクターって、どういう人?

第8回 結局、どういうことをしてる仕事なの?

広告のことを勉強しています。
アート・ディレクターという名前は、
一見なにをやっているのかがわかりにくい。
例えばプロデューサーとかコーディネーターだとか、
そういうわかりにくものは、一体なんなのか?
そのあたりが今回きいたところなのでした。

「ぼくは、自分のやっていることは、
 パズルに近いんじゃないかと思うんですよ。
 かなり複雑なパズルで、それって試行錯誤してて
 なんか糸口が見つかってそれでできちゃうとか、
 けっこうそれに近いものがあると思うんです。
 ケースバイケースでいつも違うし。

 自分がいいなと思うものってあるじゃない?
 音楽でも映画でも、やっぱり、
 そういうものって、けっこう限られているのね。
 そんなに『何でもいい』とは思えない。
 だから、パズルを解くことと自分の好きなものとは、
 全部つながっているんじゃないかと思うんです。
 その積み重ねで、
 『ここはこうしたほうが正しいんじゃないか』
 と思うんじゃないかなあ」

パズルなら、受け身なままおもしろいです。
今度のものはやっかいだ、とか。

「最近、ブエナビスタ・ソシアルクラブに、感動した。
 ぼくはライ・クーダーをもともと好きで、
 音楽で日本語じゃないものをきいてて
 何となく詩そのものをきいてないということは
 音としてきいていて、絵で言うと
 具象画というよりは抽象画という感じのものを
 ぼくはいろいろ外国の音楽から受け入れててね。

 ライクーダーのギターを聴いてても、
 何かちょっと土っぽいような、
 ちょっと電気なんだけど、シティのほうにいかない、
 ニューヨークとかロンドンではなくて、
 カリフォルニアとかメキシコだとか、
 ぼくはそういう方向が好きなんですね。
 自分の好きなものをさぐっていくと、
 たぶんけっこうつながっていると思うんです。
 いろいろなところで。
 ぼくは基本的に、気持ちのいいものを、
 いいものだと思うんですね、音楽でも。
 ハードロックのようなのはつらくて。
 仕事がこういう仕事でしょ?
 それで自分にとって音楽は趣味だから、
 そうすると車に乗ってるときとかに1番きく。
 朝めしを食いながらきいたりもする。
 そういうとき、基本的には癒されたいわけですよ。
 いろいろ仕事のこととかを考えているわけだから。 

 ブエナビスタ・ソシアルクラブもそうだし、
 キューバミュージックなんか、ぼくの範囲になかった。
 そこにライ・クーダーというジョイントがあったから、
 ぼくらは感動できるんじゃないかなあ。
 キューバミュージックをほかにも買って、試しに
 きいてみたんだけど、『もろ』だとだめなんだよ。
 『映画音楽』って感じがして、自分に入ってこない。
 ライ・クーダーのチョイスなのか、プロデュースなのか、
 ちょっとしたことで違っているんだろうね。」
 
ここで、プロデュースという言葉が、出てきました。
今回わかりたいその言葉に、やっぱり絡んでいる?
そういうライ・クーダーのやるようなアレンジが、
副田さんがアートディレクターとして
やっていることなのかなあと、ぼくは思ってきた。

「ライ・クーダーは自分で音楽の世界をつくっているけど、
 違う世界のひとを組んだりプロデュースしたり、
 ああいう死んだと思われたひとたちを復活させている。
 ぼくはそれを見て、素晴らしい、奇跡だ、と思った。
 靴磨いてたわけでしょ?あのおじいちゃんたち。
 それで呼ばれていってやあやあとかいう感じで
 CD録ったらグラミー賞取って、
 映画を撮ったらアカデミー賞候補でしょ?

 ぼくはあの映画を観て、久しぶりに泣いたわけ。
 パルコの前の映画館で観て。普通ほら、映画って、
 ストーリーがあって誰か死んだりして泣くけど、
 あれは別におじいちゃんたちが死ぬわけでもないし、
 それでもぼくを感動させて泣かせる、
 そういうのってすごいなあ、と思ったの。

 アートディレクターの仕事は・・・
 自分にはそんなに才能はないけども、
 やっぱりいろいろな才能をプロデュースしたり、
 パズルを解いていく作業ですよね。
 そこで写真家だったりコピーライターだったり
 いろいろなひとと出会ったりするので、
 ライ・クーダーのようなプロデュースに近いことが、
 ちょっとだけですができているとも言えるわけです」
 
(つづく)

2000-03-23-THU

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