
アジオ |
ああ、よかった!
人がいる! 向こうに人がいるよ! |

アジコ |
手前の机とパイプ椅子が、
また一層のチープ感を醸し出してるけど
とりあえず他の施設もありそうね。 |

博士 |
しかし人々のローテンションぶりは
相変わらずじゃな。 |

アジコ |
見てよ。後ろの女の子。
とても楽しい乗り物にはしゃいでる顔には
見えないわ。 |

アジオ |
死骸を運ぶアリの行列でも見つめてるような
表情だもん。 |

博士 |
運転手に至っては、つげ義春のマンガでよく見る
「顔全体を塗りつぶされた人」じゃないか。 |

アジコ |
ミニSLの車上でどうしてそんなに
絶望的になれるのかしら? |

博士 |
終戦直後を思い出しておるのじゃろう。
あの頃はみんなすし詰め状態で汽車に乗り、
闇市へ買い出しに行ったもんじゃ。 |

アジオ |
いつの時代じゃ! |

アジコ |
でも不思議ね。
きっと当時は楽しかったなずよ。
家族でレジャー施設! しかもミニSLだもん。 |

アジオ |
その楽しかった思い出を残すために、
写真を撮ったんだもんね! |

博士 |
味写の妙味はそこなんじゃ。
「楽しかった思い出」が
「楽しかったはずの思い出」になる。 |

アジコ |
そういえば旅行や行楽で撮った写真が、
後で見てガッカリっていうことはよくあるわね。 |

アジオ |
頭で思い描いていた風景と
現実のギャップに戸惑うことはあるよね。 |

博士 |
しかしそこで
「そんなはずはない!」と考えることで、
当時の気持ちに帰ることが出来る。
あの頃の自分はなにを大切に想って、
どんな将来を考えていたか?
そんな写真には写らない「気分」は、
案外こういう味写を見ることで
よみがえってくることが多いのじゃ。 |

アジコ |
イヤね。急にカッコ付けて。
なにが「写真には写らない気分」よ。 |

アジオ |
ウンコもらしのクセに。 |

博士 |
だからアレは
ジョン・ケージの前衛‥‥! |

アジオ |
では読者のみなさん!
みなさんからの前衛的な作品を
お待ちしてま~す! |

アジコ |
チャオ! |