天久聖一の味写道
味写道その43

師匠 お茶くん、今日はこどもの日じゃぞい!
お茶 五月五日と言えばこいのぼりですね。
師匠 ワシもこいのぼりをつくったぞい。
お茶 その枝にコンビニ袋をくくりつけたものが‥‥?
師匠 これは柏餅。
お茶 ジャーの残り飯を海苔で挟んだだけじゃないですか。
師匠 こっちは五月人形。
お茶 五月みどりさんのポスターですよ。
師匠 あとは柱に傷をつければおしまいじゃ。
お茶 五月五日の背比べですね。
師匠 去年より5ミリ縮んどる‥‥。
お茶 もう歳ですからね。
師匠 なんと侘びしいこどもの日じゃ‥‥。
お茶 アンタ大人でしょ!
それでは今週の味写道、
まず1枚目は H・N シモンドさんのこの作品です。


味写NO.570
「エクトプラズム菓子」
H・N シモンドさん

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師匠 これは肉体から霊が漏れる怪奇現象、
エクトプラズム!
お茶 これほどはっきり捕らえられてる写真は
珍しいですね。
師匠 霊が抜けてるせいか、
こどもの目もなんだか虚ろじゃ。
お茶 早くなんとかしないと元に戻りませんよ。
師匠 ところで読者の諸君、
以下はネタバレになってしまうので
知りたくない人は飛ばして読んで欲しいぞい。
お茶 え? この作品にそんな秘密が?
師匠 ふふふ‥‥ヒントはこどもの持っている割り箸じゃ。
お茶 どういうことです?
師匠 実はこれ、
エクトプラズムに見えるが本当は綿菓子なのじゃ!
お茶 ひと目で分かってましたよ!
師匠 世間の目はごまかせても、
私の目はごまかされんぞい。
お茶 アンタだけですよ、ごまかされてたのは。
それでは次、H・N まさきさんのこの作品です。



味写NO.571
「お猿のエチュード」
H・N まさきさん

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お茶 お猿さんと曲芸師さんの
微妙な一瞬をとらえた作品です。
師匠 いや、これはこういう芸かもしれんぞい。
お茶 どういうことですか。
師匠 猿回しも竹馬や反省ばかりではないということじゃ。
お茶 ではどういう芸なんでしょうか。
師匠 猿が扮する主人公と曲芸師が扮するヒロインは
深く愛し合っておった。
ところが主人公は未来人で
もとの世界へ帰らなければならなくなった。
ふたりは悲しみに涙しながらも
「また未来で会おう」と再会を約束する。
しかし主人公には秘密があった。
タイムトラベラーは
自分に関わった人の記憶を消さねばならない。
別れ際、主人公は身を切られる思いで
彼女の記憶を消去してしまう。
そして十年後、ふたりは再会するが
彼女は彼の前を他人のように通り過ぎてしまう。
これはその切ないラストシーンを演じた芸なのじゃ。
お茶 そんな緻密な設定があったんですか、この一瞬に。
師匠 演目は「それでも君は僕に気づかないだろう」
お茶 猿回しの世界に新しい波の予感です。
それでは次、H・N らんちき騒ぎさんのこの作品です!


味写NO.572
「壊れたオモチャ」
H・N らんちき騒ぎさん

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師匠 なんじゃ、このお笑いコンビは?
お茶 投稿者さまのお便りを紹介します。
父親の新人歓迎会の一コマです。
組立を間違えたロボットの方が上司です。
西部劇っぽい方が父親です。

師匠 たしかに上司のひと、
組み立てを間違ったロボットのようじゃ。
お茶 下半身が別のパーツですね。
師匠 父上の方は西部劇にも見えるが
「ゲッツ!」にも見える。
お茶 階段の数読み間違えて
カクンってなった人にも見えます。
師匠 すごくシュールなコントができそうじゃな。
お茶 ではやってみましょう。
ショートコント「下半身」。



上司 ギーガチャン、ギーガチャン。
父親 バキュン、バキューン。
上司 あー、この下半身歩きにくいわー。
父親 バキューン! やられたー。
上司 大丈夫かー、いま助けてやるー。
父親 あ痛てて、顔踏んでるー。
上司 すまーん。間接が曲がらんのだー。
父親 もうダメだー。遺言を聞いてくれー。
上司 すまーん、足が止まらんのだー。
父親 向こう行くならついでコンビニ寄ってくれー。
上司 なにがいるんだー。
父親 遺書書くから筆ペーン。
上司 やっぱりそういうのって
筆っぽいので書きたいよなー。
父親 えー? なんだってー?
上司 だからそういうのって筆っぽいのでー…
父親
えー? 聞こえなーい。

(終わり)


お茶 なんなんですか、これ。
師匠 ワシにも分からん。
お茶 ‥‥今週は以上です。
師匠 ふむ、今週は謎に満ちた作品が集まったな。
味写では諸君からのお宝を随時募集しておるぞい!
GWは味写発掘のチャンスじゃぞい!
お茶 それではみなさまのGWに幸アレ!
2013-05-05-SUN
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