父がフーテンの寅さんのような人です。 学校を辞めて実家に帰ったら、父は 正直言って、父を勝手な人だなぁと思いますし、 こんなフーテンな父ですが、 (相談者:むすめだけどさくら) |
ここにきて、このコーナーの 総合相談のようなおたよりが来ましたね。 相談者の方にとって、お父さんは たったひとりのご家族のようです。 本日の回答者は「お姉ちゃん」のかおりさんです。 |
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はい、よろしくお願いいたします。 のっけからこういうことをいうのもナンですが、 私は‥‥、お父さんは落ち着かへんと思います。 もしかしたら、年をとって体が弱ったりすれば、 落ち着かれるかもしれないけど‥‥。 |
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でも相談文には、病気になったと書いてありますよ。 |
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ほんまや。入院なさってたんですね。 |
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だけどまったく落ち着いてない。 |
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世の中には‥‥。 |
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世の中には。 |
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子煩悩で、場合によっては過剰とも感じるような 「子どものためにすべて捧げる」という人もいたり、 こんなふうに、子どもの学校のお金を使って けろっとしてる人がいたりする。 あんな人がいれば、こんな人がいる‥‥。 |
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かおりさん、原点に立ち戻りすぎです。 |
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ほんまにねぇ‥‥。 |
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しかし、「すぐに金も名義も貸してしまう」のは 困りますよ。 |
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そんな人、いるよなぁ‥‥。 |
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金もなく、住んでる場所もわからないんですよ。 |
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フラッと現れるんですね、 ほんまに寅さんみたいです。 娘として、してあげられることは‥‥ うん、なんにもないと思います。 すみません、やっぱりお父さんは落ち着かないと思う。 68歳で住所不定。 落ち着くなら、その年令に達するまでに とっくに落ち着いてますもんね。 「人間て、そんなに ちゃんとしなあかんのやったかな?」 逆に、そんな気持ちにさせられます。 大学を途中でやめることになったのは、 恨めしいでしょう。 私がもしお父さんの友達やったら、 「そんなことやったらあかんで」 と言うかもしれませんが、 これは娘さんからの相談です、なんとも言えません。 お父さんは、名義貸してるから まだ大きな借金があるかもしれません。 それでもなんだか明るく生きていらっしゃる。 大きい人。そんな気がします。 |
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ここまで、この「明るい家族相談室」をやってきて ふと思うんですが、 「家族ってこういうもんや」というモデルがある 人のほうが、悩みが多い気がします。 |
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もっと自由になって、 このお父さんのように生きるのが、 人間としては正解かもしれません。 私はお父さんがうらやましいです。 私たちは、一般の常識にあてはめられてるから、 お父さんのような生き方を ダメと思いこんでしまうのです。 お母さんとお父さんがなかよくて、 みんなそろってごはん食べて、 テレビ見て、勉強して。 そういうモデルを思い描いていれば、 考えなくていいから、ある意味楽なのです。 このお父さんは、フラフラしてるけど、 なんかわからんけど商売して、 自分で身を立てているのです。 会社員と違って、自由に生きてるぶん、 リスクもあるでしょう。 だけど、楽しんでいる。いい生き方だと思います。 |
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あんまり「明日のこと」を考えてないですね。 |
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でも、憎めない。 つまり「名義をすぐ貸してしまう」ということは 人がいいんです。 ここまできたら、娘さんも大人やし、 実はお父さんのことを 尊敬なさってるんじゃないでしょうか。 |
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型にはめた人生というのはつまり、 「いまこうすればああなってしまう」 と、将来のことを考えて 自分をまじめにしていくことですね。 それは、悪く言えば策略的です。 お父さんは策略がない、いい生き方ですね。 |
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そうですね。 その日暮らしっちゃあ、その日暮らしやけど、 それでいい。 でも、そんな人ばっかりになったら 政府は困るでしょうね。 |
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政府って。 |
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困るから、住人を型にはめる政策を 取ってるんじゃないでしょうか。 情報操作によって、うちらは家を買って、結婚する、 そういうふうに思ってしまうのです。 そのほうがまとめやすくなりますからね。 でも、このお父さんは、まとまらないよ。 一歩進んでますからね。 いわゆるビートニク世代です。 『路上』のジャック・ケルアックとか、 ビート族ではないでしょうか。 |
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商売して、手痛い仕打ちを受けて、入院もして、 考えられたんでしょうね。 「行く末は、こうなる」 |
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そうやと思います。 そして、本来あるべき人間としての自由な姿を 実践なさっているのです。 |
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猫みたいに。 |
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うらやましい。 ただ、ひとり娘にとってはどうか、 そこが問題になっているのです。 ですからここはひとつ、 どこかで折り合いつけていきましょう。 |
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だって、もう許してあげたいと思ってるんやから。 |
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「お父さんは自由に生きてんな」 と思うしかないような気がします。 逆に自慢にしたらいいです。 父親がビートなんて、そんなんなかなかないですよ。 あとは、娘として、 「いつでも家に帰ってきていいねんで」 ということにしておいてあげればオッケーです。 どこにいるかわからなくて不安なのであれば、 出先から絵葉書を送ってもらったらどうでしょうか。 住所を書いて切手貼った葉書を 「どんなことしてんのかとか、 生きてるとか、葉書に書いてよ」 といって、1日だけ戻ってきたその瞬間に、 数枚渡せばいいのです。 |
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お父さんもお年だし、そのくらいはやってほしいです。 心配だからね。 |
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しかし、私たちも、 生まれたときからテレビや新聞などなにもなく 情報を知らんかったら、 このお父さんのような人生を送れそうですね。 |
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雑誌の『CanCam』とかがなかったら‥‥。 |
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あんな、巻いた髪がいいだなんて、 つゆとも思わず暮らしていると思います。 もう、そんな髪型も古いんでしょうか? |
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社会問題についても、 流行り言葉のように耳に入ってきますね。 ゆゆしき問題です。 |
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情報操作に、うちらはまんまとはまります。 危ない危ない。 ツイッターとかも危ないですよ。 型にはまった人生が、 どんどんリツイートされてきます。 |
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怖いですね。 |
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たとえば今人気のモデルが「唐草模様の風呂敷を 鼻の下で結んで、おしゃれ」だとか、 第一線で活躍スタイリストが「中指立ててカフェオレ飲むのがおしゃれ」 だとか、リツイートすれば信じる人もいるんじゃないですか? 操作は簡単です。 なんでも言ったもん勝ちでしょう。 フェイスブックも無料やし、あかんあかん、 どんどん「いいね!」ボタンされますよ。 型にはまった人生を「いいね!」されます。 |
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油断していると、すぐに利用されますね。 |
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一方、このお父さんは扱いづらい国民です。 戦時中なら軍隊などにはぜったいに入らない。 入ったとしてもさぼってばかりでしょう。 こんな人がいたら全員戦意喪失です。 |
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お父さんのような方を もっと増やしていくべきですね。 いま、まじめが増えすぎてて 不景気であるといいます。 |
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こういう人がいたらお酒もいっぱい売れますね。 |
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少子化も解決します。 |
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そして、こういう方は老後も心配しすぎず、 どこでのたれ死んでもいいという覚悟で 生きてると思います。 このコーナーのゲストにお迎えして 話を聞いてみたいほどです。 |
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どこにいるのかわからないけど‥‥。 |
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あ、そっか。 |
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連絡の取りようがありません。 それでは、本日のまとめをお願いします。 |
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はい、わかりました。 |
2013-06-30-SUN