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米粉を使って
ホームベーカリーでパンを作るのが
すごくはやったの、覚えてます?
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はい、ありましたね。
米粉を使うホームベーカリーは
発売当初は売り切れたりして、
8ヶ月待ちなどでした。
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米粉のパンは
食感がモッチモチらしいですね。
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このおばあさんは、米粉のパンを
知っているのかなぁ。
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お米はパンにしてもおいしいんだよ、とね。
相談文によると、おばあさんは
おじいさんといっしょに
長いあいだ、お米を作ってこられたわけですよね。
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ええ、思い出もたくさんあるでしょう。
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そしてなによりも‥‥
「米がなければ野垂れ死にだよ!!」
このセリフは、すごいですね。
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ほんとうに。
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昔の方なので、米がなくなるということに
危機感があるのでしょう。
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しかし、いちゃもんをつけて
人が食べる米の量まで
チェックしてくるのがちょっと‥‥。
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家族全員の米の量をチェックし、
「いまの人はあんまり食わねぇ」。
おばあちゃん、踏み込んでますね。
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「今日は少なめによそって」とか
言おうもんなら、もう。
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自分が作ってきた米を
否定されたような気分になるのでしょう。
しかし、食料の自給率が下がっている昨今、
おばあちゃんの言っていることは大事だと思います。
これまで田んぼをやってきて
「米があるから大丈夫だった」と
切り抜けてきた歴史があるのではないでしょうか。
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そうか。
その田を、急にやめることは‥‥。
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ええ。ひと晩よく考えられたのでしょう、
翌日結論が変わるのもありえることです。
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そしてその大きな不安を
家族はわかってくれない、という怒り。
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しかも、唯一の味方であったであろう
おじいちゃんがいないのです。
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「米がなければ野垂れ死にだよ!!」
おばあちゃん、
吐き捨てて部屋に入るんですもんですね。
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それが家族にまったく
響いてないとこがすごいですね。
おばあちゃんは、骨身にしみて
実感できるのでしょうけど。
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おじいちゃんがいてくれればねぇ‥‥。
「なぁ、おじいちゃん」
ということなんでしょうね?
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おばあちゃんはいつも
天に向かって拝んでると思います。
「おじいちゃん、聞いて、聞いて」って
話しかけてると思う。
そうだ。こうなったら
おばあちゃんのセリフにすべて
「そうやな、おじいちゃん」
をつけて聞いてあげればいいんじゃないでしょうか。
「米がなければ野垂れ死にだよ!!
そうやな、おじいちゃん」
「いまの人はそういうもんを食べるんだねぇ、
ね? おじいちゃん」
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ほほう。
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そうすれば、
「かわいそうやな」
「昔の経験で、こういうことを言ってるんだな」
「昔の経験ははずれないから
あながち無視できないな」
家族がこう思えるのではないでしょうか。
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そうですね。
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米以外のものは、
隠れて食べればいいんです。
みんな外で仕事もってるんだから、
外にいるときにパンやパスタを食べたらいいね。
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正直言って、家族のみなさんは
田んぼを手放したいんでしょうね。
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そうなんでしょう。
でも、田を売り払ったら、おばあちゃんは弱ります。
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アウトでしょう。
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そういったすべてが
「米がなければ野垂れ死にだよ!!」
という言葉に込められているのだと思います。
急に別のことをしろ、考えろ、と言われても
できないのが人間です。
おばあちゃんには一生、お米にかかわることを
させてあげるのがいいのではないでしょうか。
たとえば‥‥
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たとえば‥‥
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おにぎり屋さんとか。
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おにぎり屋さん。
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畑の作業はきつくてできなくても、
おにぎりは作れるかもしれない。
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「米がなければ野垂れ死にだよ!!」
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なんで意味もなく突然言うんですか。
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いや、いい言葉だなぁと思って。
「米がなければ野垂れ死にだよ!!」
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私たち、気づいてなかったですね。
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ええ、忘れてました。
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この言葉をTシャツにプリントして
外国の人とかに着てほしいなぁ。
タトゥーの文句に迷ってる方は
“米無野垂死”とかいかがですか?
うちら、米をもっと大切にせないかんよね。
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でも、このご相談は、米でよかったですよ。
いろいろ、ほかのものがありますから。
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米は、いろんなものに作りかえられますし
おいしいですし。
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ごはん合うおかずを考えるとか、
楽しい方向にもっていきましょう。
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おばあちゃんが
「あっ、あいつらパン食べてる」
と思って食卓に入ってきたら‥‥
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米粉のパンを差し出してこう言う。
「お米でこんなこともできるなんて、すごいなぁ」
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「おばあちゃんのお米、
こんなふうにしてもおいしいんねんなぁ」
「お米がどれだけ世の中で大切にされてるか、
この米粉パンが語ってるやろ」
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「米のホームベーカリーは8ヶ月待ちやで」
「やっぱりお米やでぇ」
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玄米ピザも、おいしいですよね。
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玄米ピザ?
玄米粉で作るんですか?
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いや、炊いた玄米を薄くのばして、
ピザのようにカリカリに焼いたものだと思います。
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そんなん、あるんですか。
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そうなんです。あるんですよ。でね、
「いまの人はそういうもんを食べるんだねぇ」
とおばあちゃんがイヤミを
言っていきたとするでしょ?
そしたらここぞとばかりに
「おばあちゃん。これ、玄米やで」
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「これからは全部な、米やでぇ!」
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食卓で、そんな話題になったら
おばあちゃん、喜ぶのではないでしょうか。
何かにつけて米の話題に持っていくとかね。
私の中で米といえばまず『座頭市』なんですけど、
勝新が美味しそうに食べるんですよ、ごはんを。
白眼で笑いながらなんで腹立ちますけどね。
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漁師さんの家で、肉を食べてたら
お父さんが不機嫌になったりすることも
あるようですね。
たまにはパンもええんちゃう?
という気持ちもわかってほしいところです。
かおりさんのご家族も
QFDの服しか着たらあかん、とか
そういう不文律があるでしょう?
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うちはみんな私の服着ないですね。
“頭おかしいと思われる”とか
“外出るん恥ずかしい”とかってね。
私普通に外出てますけどね。
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そうなんですか。
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はい。
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それでは、今日のまとめ、いきましょう。 |