自分の話になりますけど、 ぼくが『MOTHER』をつくったときに、 すごく力を入れたことのひとつが 「敵」の表現だったんです。 というのも、あのゲームの主人公は どこにでもいる普通の少年ですから、 その子が輝かしいヒーローになるためには、 敵側、相手側に影をつける必要があったんです。 そこが薄ぼんやりとしてたら、 「やっつけました。おしまい」 みたいになっちゃいますから。 |
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あー、そのとおりですね。 | |
そのためには、どうしても 「すてきな悪役」が必要だったんです。 「どうしておまえらそういうこと考えるの?」 っていう、やなこと、奇天烈なことを入れることで、 主人公が輝かしく光るんです。 『どうぶつの森』にも、それを感じるんですよね。 |
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たしかに、あの世界を表面的にとらえれば 必要ないはずのものが たくさん存在してますよね。 |
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たくさんありますよー。 | |
一同 | (笑) |
そのあたりは、 開発者の熱意というか、なんというか。 |
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その「黒い」ものだけじゃなくて、 くだらないものも含めてね。 だって、あの、円盤っていうか、 UFOの模型みたいなアイテムが あったじゃないですか。 あれ、ぼくはすごく好きだったんだけど、 UFOの下の光の中をよーく見ると、 ひゅーってさらわれる小さい人間が ちゃんと表現されてて。 |
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あー、はい、あります(笑)。 | |
ああいうの、ものすごくうれしい。 「バッカだなぁー‥‥」って。 |
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一同 | (笑) |
そういうのをね、1個ずつ 発案して、検討して、つくるわけですよね。 今回、どのくらいアイテムは増えました? |
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そうですね、家具だけでも 500~600くらい増えました。 もともとこのゲームってアイテムの数が多いので ちょっと足しただけじゃ増えた感じがしないんですよ。 それで、全員がアイデアを出し合えるようにして、 とにかく数を増やそうということで。 |
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どうぶつもずいぶん増えました。 みんなで意見やスケッチを出し合って、 定期的に「どうぶつドラフト会議」をして 「これ採用!」みたいにして。 |
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どのくらい増えたんですか? | |
どうぶつの種族でいうと、 ハムスターと、シカが増えて、 いままでいた種族のどうぶつたちにも 新しい性格が加わったりして、 全部で100体増やしました。 |
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100体! | |
誰にでも好かれるような感じの子もいれば、 ちょっとクセのある子もいて。 |
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この、もこもこした子は、 ちょっと怪しい表情をしてますね。 |
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新しいお店の店員で、アルパカです。 家具を改造してくれる、 カイゾーくんっていうんですけど。 |
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ああ、イスを直してもらってるんだ。 え? 家具を直してくれるの? |
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家具をリメイクしてもらうことができます。 「マイデザイン」という 自分の好きなデザインをつくる機能を利用して 家具を自分好みのデザインに変えることもできます。 |
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一同 | へーーー。 |
大きな家具だけじゃなく、 炊飯器なんかもリメイクできます。 ちょっとくだらないんですけど、 炊飯器の外側のデザインじゃなくて、 中で炊いてるものを変えられるんですよ。 赤飯にリメイクしたりとか(笑)。 |
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ああ、いい(笑)。 | |
「献立なんにする?」って訊かれるんです(笑)。 | |
そう、リサイクルショップの店員なのに、 「献立なんにする?」って(笑)。 |
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そのへんも、おこがましいですけど、 ちょっと『MOTHER』なものを感じます。 |
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ああ、そうですね(笑)。 | |
あと、なんか、今回は 自分が「村長」になるんでしょ? |
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はい。 | |
それは、どういうことをやるんですか。 | |
大きくいうと、 「公共事業」と「条例」があって、 「公共事業」っていうのは、 川に橋をかけたり、噴水をつくったり、 遊具を置いたりすることです。 |
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ほんとに「公共事業」だ。 | |
はい。自由に場所を選んで、 灯台や鐘を設置してみたり。 |
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村を観光地化できるんだね。 鐘や灯台は村のシンボルになりますよね。 |
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鐘はちゃんと鳴らすことができますから、 ぜひ、年末までに置いていただければ‥‥。 |
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除夜の鐘を「ゴーーーン!」と。 | |
そうかぁ。 いっそう季節感が出ますね。 |
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そういう意味では自由度はそうとう高いです。 あと、村長は「条例」を 定めることもできるんですよ。 |
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それはどういう? | |
「眠らない村にしたい」と言うと、 お店が深夜営業しだしたり、 どうぶつたちも夜更かしするようになったり。 |
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これまで、夜しか遊べないプレイヤーの方が 『どうぶつの森』を遊ぼうとされたときに、 ゲームのなかのお店が閉まってるので、 仕方なく「時計を動かして遊ぶ」、 というような状況があったらしいので、 そんなことをしなくても 遊べるようにしたかったんですよ。 |
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ああ、それはうれしい。 | |
自分の村の条例を変えなくても、 友だちの村に夜遅くまで開いてるお店があったら、 通信を使ってお出かけできるので、 村の環境の違いを たのしんでもらえたらと思います。 |
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逆に、早起きの村にもできますよ。 | |
なるほど。 しかし、けっこう大きな変化ですよね、 その、自分が「村長」になるというのは。 |
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そうですね。 これまでのシリーズを通しても かなり大きな変化だと思います。 あの、究極のことを言うと、 これまでの『どうぶつの森』って、 借金を返すゲームなんですよね。 |
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まぁ‥‥そうだけど、 その言い方はないでしょ(笑)。 |
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一同 | (笑) |
身もフタもない言い方をすると(笑)。 ところが今回は、 たぬきちにお金を返すだけのゲームではないんですよ。 村に行くといきなり 「あんたが村長だ」って言われて、 自分の家だけじゃなく、 村のこともいろいろ決めていくことになる。 そのあたりの意図を話してもらえますか? |
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これまでのシリーズでも 木を植えたり、花をたくさん咲かせたり といったことはできたんですけど、 今回はもっと、村そのものに 遊ぶ人の個性を出したいと思ったんです。 ほかの村にお出かけしたときに、 観光して見て回ってその違いを たのしめるようにしたいなと思いました。 |
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村ごとの個性が もっと出るようにしたかったわけですね。 |
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はい。 着いた瞬間から、もう村の景色が 「ぜんぜん違う!」っていうぐらいに。 そんなふうにダイナミックな村づくりが できるということを、 ピンとくるひと言で説明するために、 「あなたが村長です」というふうにしました。 |
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がらっと違った村にできちゃうってことですか。 | |
はい。 だから、いままでは糸井さんの家に入ったときに、 みんなが「うわ、気持ち悪い!」って なってたのが、もう、村に入った瞬間から‥‥。 |
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「この村、気持ち悪っ!」ということが可能です。 | |
一同 | (笑) |
ああ、いいですね。 あの、ぼくは、クリエイティブの究極、 ものづくりの行き着く先って、 「都市デザイン」だと思ってるんですよ。 |
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あー、はい。 | |
都市をつくるということ。 絵描きであろうが、音楽家であろうが、 行きたい場所の先の先は、それじゃないかと。 絵描きが、壁画を描いたり、 音楽家が、街に流れる音楽をつくったり。 そういう意味では、また『どうぶつの森』が ぼくの思う理想に近づいた気がします。 ここでならできますね‥‥理想の「黒い村」が。 |
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できます(笑)。 | |
かなり黒い村がつくれるんじゃないかなぁ(笑)。 |