大分県に、荒井良二さんのつくった
2つのオブジェが建っています。
「マッテルモン」(かんたん港園)
「たいようをすいこむモン」(高崎山おさる館前芝生広場)

この2つのオブジェは
その名からもイメージできる通り
「門」をモチーフにしています。

荒井さんはこの2つ以外にも、
東京の新宿伊勢丹のウィンドウディスプレイに
門をつくって飾ったり、
みんなで門をつくるワークショップを行なったり、
吉祥寺で「みちモン」という個展をひらいたり。
今年の「ほぼ日手帳」のカバーにも
2つの門を描いてくださっています。

新宿伊勢丹のウィンドウディスプレイを飾った門。
個展「みちモン」の案内状も門の形。
手帳カバーには2つの門が描かれています。

荒井さんはなぜ今、門をつくっているのか。
門をつくりながら、どんなことを考えているのか、
それがすごく知りたくなりました。

荒井さんの門づくりについて
調べているうちにわかったこと。
これまでにつくった門のうちの多くは、
山形県で開催される芸術祭
みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ2014」に
作品として展示されるのだそうです。
山形県は荒井さんのふるさと。
「山形ビエンナーレ」の芸術監督をつとめる荒井さんは、
地元・東北芸術工科大学美術館大学センターの
チームと協力しあい、
まさに今、その準備に大わらわなのだとか。

「そんな忙しい時期に、
 取材を受けていただけるだろうか」
心配になりつつも、取材をお願いしてみたところ、
窓口の方からこんなお返事をいただきました。

「8月24日に、仙台でも
 門をつくるワークショップを行います。
 ワークショップ終了後か、
 もしくは翌25日に取材をお受けできます。
 荒井の予定もその場で変わりそうなので、
 仙台で直接、ご相談ください」

行き当たりばったりな取材になりそうですが、
とにかくお話はうかがえそうです。
しかも門をつくるワークショップなんて、
ぜひ間近で見てみたい!
というわけで、カメラ担当の星野を誘い
仙台に向かうことにしました。

仙台駅に到着!

まずは、観客として
ワークショップを楽しむことに。
床に置かれたいくつもの木箱が
積み上げられて「柱」になり、
そこに荒井さんがペイントを施していきます。

まだ、「門」になる前。
みんなで組み立てて‥‥
荒井さんが色をつけていきます。

驚いたのは、途中から
荒井さんが両手に絵の具をつけて、
門を塗りはじめたこと。
全身でなにかを表現しようとしている様子に
観客も息をのんで見守っています。

何度も色を塗り重ねる荒井さん。

そして‥‥門が完成しました!
門の側面には山々の絵が力強く描かれ、
こどもたちが絵を描いたフラッグが
門出を祝う船帆のようにはためいています。

みんなで順番に門をくぐらせてもらったのですが、
不思議だったのは、
空間に「門」という枠ができただけなのに、
門の向こう側は、ちょっと
別の世界のように思えてしまったこと。
‥‥門って一体、なんだろう。
ますます、荒井さんに
聞いてみたいことが増えました。

もちろん、荒井さんもくぐります。

門の製作を終えた荒井さんが言います。

「もっと、つくっていたかったなぁ。
 この門はまだまだ完成じゃないです。
 ビエンナーレに展示するときは
 この門に屋根もつけるし、
 雰囲気もがらっと変わるので、
 楽しみにしていてください」

そう話す、荒井さんの手は絵の具で真っ赤です。

「明日は、このイベントを主催してくれた
 山形の東北芸術工科大学に行きます。
 ビエンナーレまで
 この門を預かってもらうことに
 なっているんです。
 そこで、取材を受けましょうか」

山形に‥‥! わかりました。
おともさせてください、荒井さん。

(つづきます)

2014-09-16-TUE

 
取材協力:東北芸術工科大学美術館大学センター事務局
大分県のオブジェ写真提供:NPO法人大分ウォーターフロント研究会/NPO法人BEPPU PROJECT