夢か馬鹿か。
水中考古学って、知ってますか?

第1回 夢とロマンと冒険

世界の海には、たくさんの古代遺跡や難破船が
眠っています。最近でも、古代エジプトの女王
クレオパトラの遺跡が発見されたり、
映画でもおなじみの「タイタニック号」の引き揚げが
ニュースになるなど、興味をそそられる話題は尽きません。

僕たちのやっていることといえば、スキューバして、
こういう海の財宝やら沈没船のありかを探っているのです。
つまり、「宝探しの冒険」っていうわけです。

シュリーマンは、伝説のトロイの遺跡を探す夢を
子供時代からず〜っとずっと、それこそオトナのオトナに
なってからも持ち続けました。
僕はシュリーマンのような大人物ではありませんが、
僕もそんな思いで自分のホントにやりたかったことに、
命を賭けているのです。

女の人からみたらたぶん、
「そんなカネにもならないことで
命をハルなんて馬鹿じゃん」と言われそうですがネ。
実にそのとおりでして、僕たちはカネもうけのために
宝探しをしている訳ではないのです
(でも少しは欲しいヨ〜)。
もっと価値のあるもの、つまり、この世の中で
もしかしたら一番大切なものを、追い求めているのです。
新しい歴史の発見。
ひょっとしたら歴史をくつがえすことにもなりかねない
発見に感動を覚え、先人たちの生きたさまを
検証しているのです。
人々に忘れ去られてしまった昔の埋もれた文化を、
いきいきと今によみがえらせる、
それがボクたちの仕事なのです。

向井千秋さんやグレンさんは宇宙に飛んで、
はるか天空から宇宙や“未来”を探っています。
僕は、海中深く潜って、古代や“過去”を探っています。
不安な旅や過酷な無人島でのキャンプ生活の間の、
激しい暑さ、風や雨、害虫など、
絶え間なくおそってくる困難や苦しさにも
笑って堪えしのびます。

こんなロマンを形として残そうと思って、
とりあえず本なんて書いてみたのです。
古いタイプライターを使いすぎたせいか、
肩の筋肉がコケてしまい、腱しょう炎になっちゃって。
コミックのように、寝ころがっても逆さまになっていても、
スラスラ読めたらきっと最高ダヨネ。

すばらしい冒険がしたい人、
海をこよなく愛する人、
古代や歴史に興味を持つ人、
古代遺跡の謎解きをしたい人たちなどに、
ぜひこの本を読んでほしいと思って書いてみたんじゃ。

最後に、あるヒトがボクにくれた大好きなコトバが
あります。
「……こんなアホがいるおかげで、私たち凡々の人生が
わくわくするものに変化するのだから……」と。

実をいうと、今のボクは、この本の改訂版の準備のために、
ねじりハチマキりりしく? 汗だくで原稿を書いています。
(本は来春発売と同時に完売予定??)。
乞う、ご期待デッス。

うんじゃま〜、夢とロマンとピーマンを求めて、
僕の「タイタニック号」を探しに行こーっと!!
みんなもいっしょに行っとく〜!?



「水中考古学への招待」
井上たかひこ著 成山堂書店
2000円(税別)
ISBN4-425-91101-6

2000-01-03-MON

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