糸井 |
井上さんは、つきあいの場を
とっても上手に使ってますよね。
安全で、のんびりできて……みたいな。
「いや、楽しかったです」というような。 |
井上 |
(笑)そうだよねぇ……。 |
糸井 |
無理してないよね、ぜんぜん。
まずパーティーには出ないよね? |
井上 |
んまあ……たまーには出るよ。
糸井さんは、出ない? |
糸井 |
もし出るとしたら、
よほど用事があるタイプのパーティーですよね。
でも、基本的には出ないです。
たとえば、南伸坊の集まりとかだと、
「居る」って感じで出ますよね。
でも、そういうのは少ないから。
井上陽水のパーティーって、
今までに1回もなかったような気がするけど。
あっ、井上陽水のパーティーはあったわ。
俺、それ、出た。
あれは、面白かった!
“集い”って感じで、楽しかったなあ。 |
井上 |
……役者もよかったし(笑)。 |
糸井 |
特に、僕がいたテーブルは楽しかった。 |
井上 |
タモリさんがいて、
玉置浩二がいて、
ムッシュがいたんだっけ? |
糸井 |
そうそう、あと、クマさん(笑)。 |
井上 |
あと、武満徹さん。 |
糸井 |
で、そういうときに、
やっぱり、世に知られてる人って面白いな、
って思い直す機会になりますよね。
それは商品価値にしたら、すごく高いってことが
わかりますよねえ。
みんなが欲しがる……、つまり、
バーキンのバッグが欲しいって言うように、
欲しがるのは当り前だよねえ。
でも、そこは切符がいるんだよねえ。
自分もなにか与えないと、
切符くれないんだよね。
いやぁ、あれは楽しかったなあ。
でも、あんなことは一度しかないよね。
“井上パーティー”ってあれぐらいでしょ? |
井上 |
10年くらい前かなぁ。
いや、もっと前だっけ?
……13年前か。 |
糸井 |
13年前!(笑)
あれ、無理やりさせられたんだよね? |
井上 |
そう。
「座ってるだけでいいから」って(笑)。 |
糸井 |
でも、やってみたら、
意外と主役にとっても楽しかったでしょ。 |
井上 |
そういえばタモリさんて、
「タモリさんを囲む」というパーティーが
あっても不思議はないのに、きれいにない。 |
糸井 |
自分ではやらなくても、
呼ばれて行ってたら、無限にあるんだろうね。 |
井上 |
そうだろうねえ。 |
糸井 |
そうか、そういう部分では、
僕は井上さんと共通しているところがあるなぁ。 |
井上 |
ああ、そうだねぇ。
糸井さんは、パーティーとか、
気楽に出てるイメージがあるけどね。
僕なんか、見るからに出ないというか、
レッテル貼ってるんだ、自分に(笑)。 |
糸井 |
ひどいときは、10分で帰ったりして……。
その場が楽しくありたいじゃないですか。
で、予感として、楽しくない場合は、
それは相手のせいではないんですよ。
でも、そこに不愉快にいたら、誰に対しても悪いから、
記帳だけして、誰か知りあいを1人見つけて、
「よおっ!」って話しかけて、
俺がいたというアリバイ作っちゃう(笑)。
それで、トイレに行くように帰る。
で、不愉快だったという印象を、
与えないことだけが僕の願い。
「すっごい楽しいかもしれないんだけど、
あの人はいなくなる人だ」
っていう噂になってればいいんです(笑)。 |
井上 |
そういうふうには見えないけどね。 |
糸井 |
そーですか。
それはそれで、なんとかしてる感じしますか? |
井上 |
“社会性の糸井”といって、もう……。 |
糸井 |
そりゃ、アナタに比べればね(笑)。
“イノウエ more than イトイ”ですから。 |
井上 |
……(笑)。 |
糸井 |
だから、僕はいつも言ってますけど、
この組み合わせ(井上&糸井)では
僕はいつもリーダーみたいな役をさせられるんですよ。
でも、別の組み合わせなら
もうちょっと甘えられるんですよ、きっと。
あっ、でもそんなでもないな、
やっぱり、社会性寄りだな。
広告代理店の人がいるときとかね、これ楽。
仕事ですから、って(笑)。
あっ、それはある。
でも、そういうつきあいも
そんなにしてないですからね。
(つづく) |