糸井重里のことばのエッセンスをぎゅっと凝縮し、
どんな人にも手軽に読めるように──。
そんな思いからつくられた
「ベスト・オブ・糸井重里」ともいえるロングセラー、
『ボールのようなことば。』を
オーディオブックにしました。
収録された189のことばを朗読したのは、
アナウンサーの渡辺真理さんと
俳優の河内大和さん。
おふたりの声が入れ替わりながら、
糸井重里のことばを耳のなかではずませていきます。
また、ことばとことばの合間には、
ときどき「かすかな音楽」を鳴らすことにしました。
最後のピースとなる音楽を手掛けてくださったのは、
ボーカロイド楽曲の作者として知られる
ミュージシャンのピノキオピーさんです。
ことばと、声と、音楽が、ゆっくりと溶け合って、
すてきなオーディオブックに仕上がりました。
できあがったものを聞いた糸井重里本人も
「自分で書いたことはさておき、これはいい!」
と他人事のように絶賛したくらいです。
本を読んだ人も、まだ読んでない人も、
いつでもどこでも気軽に聞ける
『ボールのようなことば。』オーディオブック版を
ぜひ一度、試してみてください。
これを聞く、おひとりおひとりのなかに、
それぞれの「ボールのようなことば」があると思います。
私が音声化していいのかな、とは思いますが、
もしも「そうじゃないんだよな」と感じたとしたら、
それをバネみたいにして、
みなさんの「ボールのようなことば」が
はずんでいったり、広がったり、
どこかに飛んでいっちゃったりしたらうれしいです。
なんだか、糸井さんと、聞いているみなさんと
いっしょに遊べたような気がしています。
芝居で台詞を言うのとはまったく違う経験でした。
自分の感情をのせてしまうのではなく、
聞いてくださる方の心に残るように、
ことばが本来持つ音色のようなものを
出していくように心がけました。
糸井さんのひとつひとつのことばは本当にすてきで、
ぐさっと刺さることもあるし、
やわらかく響くものもあって、
録音の作業はけっこう長くてたいへんでしたけど、
飽きることなくできました。
ことばを目で見て読むよりも、
声に出して読むと身体のなかにより入ってきて、
それはたのしかったですね。しあわせでした。
すでに存在している言葉から
音を想像して制作する作業、とても楽しかったです。
やり取りさせていただきながら、
楽曲の意図が、それこそ、キャッチボールのように
伝わったような気がしました。
ボールのようなことば。
糸井重里
(朗読/渡辺 真理、河内 大和)
「若い人に、糸井重里のことばを届けたい。」
そんな、はっきりした動機から、この本は生まれました。
ある程度、歳を重ねた人ならわかると思います。
自分という人間の、根幹に影響した本やことばは、
若いころ、成長しているころに、
夢中で吸収したものばかりだということを。
もしくは、こんな言い方もできるでしょう。
「若いころ、こういうことばに出会っていたら、
ずいぶん、呼吸がラクになったのに。」
そういうわけで、若い世代に向けて、
糸井重里のことばをぎゅっと集めた
手軽な本をつくりました。
それがこの『ボールのようなことば。』です。
すべての成長する人に贈る、詩的で、哲学的で、
ユニークな、わかりやすい道しるべ。
長く、読まれること、聞かれることを願います。
(C) HOBONICHI