さきほどの「ひきだしのお店」って ミコノスタウンの どのあたりにあるんですか。 |
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タウンの真ん中のほうに すごく有名なレストランの 「ニコス」があるんだけど、 そこよりちょっと奥に入ったところにあります。 いつも夜はひきだしとニコスを 交互に行っていました。 今日はひきだしだから明日はニコス、 昨日ニコス行ったから今日はひきだし、みたいな。 |
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他にもたくさんあるのに その2店だけ通うなんて よほど気に入ったんですね。 |
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そうですね。 お店の人にも顔を覚えられてました。 それで、話は変わるんですけど、 ニコスの近くにはいつもペリカンがいて、 夫がいつもそのペリカンに襲われるんです。 |
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ペリカンに? 本当の話? |
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本当!! |
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ペリカンに 好かれているんでしょうか‥‥? |
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好かれてるのか? いや、嫌われてるんじゃないかな。 私が「あ、ペリカンだ」って無邪気に戯れてて、 ペリカンも「フン」なんて言っているんだけど、 夫が近づくとシャーッて怒るんです。 急に目が覚めたように するどいくちばしで襲ってくるから すごーく怖い! |
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そんなペリカン見たことない。 |
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うん、私もなかった。 夫がいるときしか怖くならないの。 |
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というか‥‥ ペリカンがふつうに歩いてるんですか? リードもなしで? |
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そう、ペタペタペタって。 |
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島に住みついてて、 |
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▲ミコノスに住む野良ペリカン。 |
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うん、みんなには平和な鳥だけど、 うちの夫にとっては、猛獣(笑)。 |
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ペリカン、たまに道で眠ってますよね。 |
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▲頭を後ろに向けて、 羽根の中にくちばしを入れて眠ります。 |
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そうそう。 でも、そんな状態でも起きてくるんですよ! ペリカンが道で寝ているので 夫が写真を撮りはじめると、 急に起きてきて、「シャーッ!」(笑)。 ペリカンが嫌う何かを発しているのか‥‥ 1度、ぱっくり噛まれていました。 見たら、手から血が出ていて。 |
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うそぉー。 |
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本当、本当。 |
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ばななさんの小説『王国(その1)』では、 主人公が伊豆のシャボテン公園で ペリカンに手を噛まれて、 手当てしてくれた男性と恋に落ちますけど、 その話って、まさか、ここから? |
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そうです、そうです。 あっちは恋に落ちたんですけど 我が家では 「これって破傷風の注射とかしたほうがいい?」 っていうくらい、 深刻な場面が襲ってきました‥‥(笑)。 |
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雑菌が入らないか、とか。 |
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鳥系、けっこう怖いですし。 |
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ねえ、怖い。 けっこう、血が出てました。 |
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息子さんには 襲ってこないんですか? |
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大丈夫。見ててもそばに行っても平気なの。 うちの夫だけが襲われる。 |
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不思議ーー! |
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ミコノスへ行くときは 毎回ご家族も一緒なんですか? |
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はい。息子もすごくミコノスが 好きだと言ってます。 ミコノスって、地元の子どもは多いんだけど、 観光客の子どもは少ないんです。 うちの子どもだけじゃないかと思ったくらい。 でも、だからこそ、大人にメチャクチャ かわいがられて楽しそうでした。 「おお、子どもだ、子どもだ」って、 バーのお姉さんに カウンターに座らされて、 いっぱい飲まされてました。 ジュースだけど(笑)。 |
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すごい。 息子さん、おいくつですか? |
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今11歳です。 前回行ったときは、8歳。 お姉さんに「名前は何ていうの?」 って聞いてました。 |
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すごいなぁ。 |
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彼はとにかく人気があって、 ミコノスで風船をもらったり、 ジュースをもらったり。 あと、夜遅くまで起きていられるのが うれしいみたい。 まぁ、普段も夜起きてるけど。 |
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たしかにミコノスは 夜もずっとにぎやかですよね。 |
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うん、朝までずっとレストランや バーが開いてて、夜型にとっては楽園です。 |
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ナイトライフが。 |
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うん。 夜ごはんも9時くらいからはじまるし。 「6時に待ち合わせ」と言うと、 「バカか」「そんなの昼めしだ」って言われます。 まぁ、ヨーロッパの人って総じて夜が遅いけれど。 |
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▲海に沿って建ち並ぶレストランには、夜更けまで食事をたのしむ人々の姿が。 |
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ばななさんは、 日本での生活もわりと夜型なんですか? |
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夜型ですね、本当を言うと。 |
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じゃ、そのままの暮らしがミコノスで。 |
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そうです。 で、また自分だけじゃなくて ミコノスではみんなも夜型だっていうのが すごくたのしい。 朝も時間に追われることがないし。 ふつうは旅行をすると、 宿の朝ごはんが9時とか10時までって決まってて 合わせなきゃいけないですよね。 でも、ミコノスではのんびり朝ごはんを 出してくれるから気が楽でした。 夜も、遅い時間に宿に帰ると、 なんか正面玄関脇の通用口みたいなところから 入らなくちゃいけないとか、 ちょっと気まずいことがあったりするけど、 ミコノスでは、朝2時くらいに帰っても 気をつかうことがない。 |
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そうですね。 みんな好きな時間に出て 好きな時間に戻ってくる。 |
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▲夜景もきれいなミコノス。 |
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そういうふうな場所って、 ありそうでなかなかないと思いますね。 波照間島に行ったときも すべてのものを売っている唯一の店が 夕方6時くらいに閉まっちゃって、困ったんです。 あの「ああ、過ぎちゃった‥‥」という感じ。 |
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「何も買えない‥‥」みたいな。 |
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そう。「朝、牛乳ない」みたいな、 あの気持ちにはならない。 |
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ミコノスでは、 夜も何でも手に入るんですか? |
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だいたい、買えます。 |
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「ペリプテロ」という キオスクみたいなお店が ずっと開いていて。 |
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うん、水を売ってるとこ。 まぁ、遠くて行くのが大変な場所は だいたいがいいところですけど、 ミコノスは、行くのが大変な場所なのに インフラがまったく 整ってないわけじゃないというか。 そういう意味では 理想的に成長した観光地かなという気がします。 |
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(つづきます) |
2014-03-18-TUE |