東京の一部でもいいから。
自転車カフェをやりたいなぁ、
という僕たちのチームというかユニット名は、
唐突にも「トウキョウカクメイカ」という、
おおげさなものに決まりました。
実はこれ、ヤマコーと、
学生時代からの友人で
今は小学館で編集をやっている
住川君(通称スミッチ)が、
数年前にはじめたものでした。
当時彼らが何をしていたのかって言うと、
2人とも東京育ちのくせして、
わざわざでっかいバックパック担いで都内を放浪。
池袋にあるバックパッカー用の安ホテルに泊まってみたり、
そんな風体で東京をさまようものだから、
街を歩いていて見知らぬオジサンに、
「どこの国から来たのー?」
と質問されて、
「ト、東京っす。」
と、答えていたりしていたそうです。
(しかも、ちょっと恥ずかしげに)
つまり、東京にいながらにして
旅人の視点を獲得するようなものだったんですね。
もちろん、それは自転車とも、カフェとも
全くつながらないものです。
でも、そこで彼ら2人がやろうとしていたことと、
その気分は僕は、よく理解できます。
自分の身の回りのちょっとしたことを変化させることで、
見慣れた街や風景も変化して見えてくる。
そういうことってよくありますよね。
そのズレが快感の時もあれば、不快の時もあるかもしれない。
どういう印象を持つにしろ、
その“ズレた”視点を知るだけでも、
街の楽しみ方を1つ増やせると思います。
例えば、今まで電車で通ってた通勤(学)コースを
自転車で行ってみる。
今だったら梅の花やキンモクセイが咲いていて、
走り去る瞬間、花の香りがかすかに鼻をかすめる。
(花粉症の人はそれどころじゃないですけどね・・・。)
例えば、雨の中で自転車に乗る。
これはかなり辛い。
でも、いつかは雨が上がります。
雨上がりの空気の気持ち良さとか、
そんな日の夕暮れの美しさは、
雨に打たれてた人の方が強く感じることができます。
(うん、これが無かったら
僕はメッセンジャーを続けてませんね。)
もちろん、こういうことは自転車に限りません。
旅行に行くのもそうだし、
いい音楽を聴くこともそうだと思います。
たまたま僕たちは自転車を通じて
そういうものを得てきたというだけです。
だけど、自転車から得たということが、
スゴク大事にしたいなぁ、と思うんです。
ただ、そういった経験はあくまで個人的なものです。
だから、自転車に乗る人間として、
そういった“ヨロコビ”そのものを教えてしまうのは、
ハッキリ言って、つまんない。
だとしたら、自転車カフェという空間は、
“ヨロコビ”や、“ヨロコビ方”を教えるものではなくって、
“ヨロコビ”を見つけるための入れ物の方がいい。
それも、良くできたいれもの。
自転車のことを考えると、
どうしても道路交通の問題とか、
大きな問題にぶつかってしまいます。
もちろん、“市民”としてのアクションも、
過去に何度か行ったし、
今後もそういったアクションがあるはずです。
しかし、僕たちは、国土交通省の役人でもない、
道路行政に通じた政治家でもありません。
もちろん、自転車屋さんでもありません。
例えば、インターネット。
ここまで多くの人がインターネットに興味を持ち、
実際に接続するようになったのは、
ほんの4〜5年のことですよね?
パソコンメーカー、パソコンショップ、
通産省、郵政省などが、
インターネットの普及に果たした役割も、
もちろん大きいでしょうけど、
何より人々を惹きつけたのは、
個々のウェッブサイトが持つ魅力だったと思います。
じゃぁ、そういうことをやっていくべきなんじゃないか?
(「べき」じゃないな、
「そういうことをやった方が面白いんじゃないか?」
の方が気分としては正しいです)
幸いなことに、自転車カフェは“やること”として、
程よいやり易さと、程よい困難さがあるし、
商売という形態だから、
継続を前提にものを考えていくことができます。
世界全体、日本全体を変えることは、
考えるといろいろ大変そうですが、
とりあえず、ひとつのお店を通じて、
その周辺が何か変われば面白い。
成功すれば、誰かが真似をするでしょう。
そうすれば、その周辺も変わるはず。
そんな、相手が誰だかわかんないバトンタッチを通じて、
(とりあえず)東京の一部でもいいから、
自転車にとって気持ちのいい空間にしていきたいんです。
最初にヤマコーとスミッチが始めたトウキョウカクメイカ。
僕とヤッシーが入り込んでいく過程で、
上記のようなコンセプトを持ったユニットになってきました。
自分が人を巻き込んで、人も自分を巻き込んでいく。
当たり前のことですが、やっぱり面白い。
さて、僕は何ができる!?
ワクワクと、不安。
Ride Safe!
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