自転車思想。
チャリンコは、未来そのものの顔をしている。

自転車旅行に出たいなあ。

こんにちは。

4月になりましたね〜。
寒くって自転車から遠ざかってた人も、
自転車を引っ張り出すにはいい時期がやってきました。
でも、天候が不安定ですからね。
お気をつけて!

ちょっと暑いくらいの陽気がやってくると、
ふとした拍子に思い出されることがあります。
それは、去年の夏に行った四国ツーリングのこと。
2週間かけて高知から中村、四万十川の最源流まで行って、
愛媛県をぐるっと回って尾道まで走りました。

そのツーリング中のある日、
僕は四万十川の下流を走っていました。
時刻は夕方6時くらい、
昼間の灼熱も和らいで、心地よい風が吹いています。
川沿いの道は広くなったり狭くなったり、
川に近づいたり離れたりしていました。
道沿いにはポツポツと家があったのですが、
おそらく水害対策なのでしょう、
道路から数メートル上がったところに建っていました。
そんな風景の中を走っていると、
かすかに楽器の音がしてきたのです。

「なんだろう?」

と思いながら走っていきます。
この日は朝から延々走りっぱなしでした。
だから、足の方もいいかげん疲れてたんですが、
音への好奇心が疲労を忘れさせてくれました。
2〜3分走ると音の方もはっきりしてきます。

それは、アコーディオンの音色でした。
子供の声も聞こえてきます。
音の方に神経を集中させていると、
右前方の家が視界に入ってきたんです。
やはり、少し高いところにある木造家屋。
最初は何だかわからなかった曲も、
子供の歌のメロディーが加わったことで
次第にはっきりとしたものになってきました。

「めーだーかーの がっこうがー
 かーわーのー なかー」

もう疑いようもありません。
「めだかの学校」です。
(それにしても、四万十川に限らず高知の川には、
 今でも無数のめだかが群れて泳いでいました)
家の正面まで来たところで、
自転車を停めてしばらく聞いていました。
小学校低学年の子供が2人、
アコーディオンの伴奏に合わせて歌っています。

伴奏していたのは、初老の男性。
遠目から見ただけですが、
アコーディオンもかなり立派なもののようでした。
おじいさんが孫に伴奏してあげてるのかな?
最初はそう思ったのですが、
よく見ると側にはもう1人、おじいさんが。
おそらくは、横で見ている方がおじいさんなのでしょう。

こういう情景を見ると、どうしても推理したくなる僕。
短い間にいろいろ想像してしまいます。

「たぶん、アコーディオンを弾いてる人は、
 この辺りで音楽の先生をしていて、
 定年退職後に近隣の家を巡って、
 自慢のアコーディオンで
 子供の伴奏をしているんじゃないか?」

なんて物語を頭の中で作り上げてしまいました。

もちろん、想像(妄想?)ですから
本当のところはわかりません。
拍手でもしながら、
おずおずと話し掛ければわかったかもしれません。
でも、そういうことはしなかった。
というか、本当はその時点でまた走り出していたんです。
その光景を見て、歌とアコーディオンの音色を聞けただけで、
もう僕にとっては充分でした。
ジワジワと幸せな気分が広がっていきました。
正直言うと、ちょっと涙ぐんじゃったくらいです。

ああ、こういうのを書くと、
また自転車旅行に出たくなってしまいます。
山里でかすかに響くアコーディオンの音色に気が付けたのは、
自転車で移動してたからこそ、です。
自転車の持つ絶妙な速度は、
クルマや電車での旅行と全く違う体験です。

Ride Safe!

2002-04-02-TUE

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