好きな人ができたとき、 だれも聞いていない場所で、 小さくそのなまえを呼ぶだけで、 唇やこころがむずむずするような 気持ちいい感じになりませんか。 ────『ともだちがやって来た。』より |
好きな人に会うのに、いちいち理由なんか考えないでしょ。 まぁ、少々恥ずかしい気持ちがあるから、 「ちょっと聞きたいことがあってさ」なんて、 どうでもいいとっかかりはつけたりするけれど、 ほんとは、会いたいというだけという場合が多いでしょう。 ────『思い出したら、思い出になった。』より |
「愛しているのに、愛してくれない」と考えがちな人は、 基本的にまちがっている。 つまり、その人は、 「愛する」ことはもともと難しいものだ、 と、知らないのだろう。 ────『小さいことばを歌う場所』より |
欠点や弱点を発見して、 しかもそれを個性として「かわいい」と思えるってのは、 けっこう高度な、人間の感情だと思える。 それこそが、ながい付き合いのなかで育てていく 愛情だの友情だのみたいなものの正体なんじゃないかい? ────『思い出したら、思い出になった。』より |
両思いのときだって、これは、ほんとうは、 両側からの片思いであるとも言えるわけで、 あらゆる他者との関係は、片思いですよ、ねぇ。 しかも、片思いしている時間というのは、 あんまり悪い気持でもないような。 ────『ともだちがやって来た。』より |