今日の「小さいことば」。
3月10日、糸井重里の1年分の原稿から 心に残ることばを厳選した本が 今年も発売されます。 一昨年は『小さいことばを歌う場所』、 去年は『思い出したら、思い出になった。』 最新作となる3冊目のタイトルは 『ともだちがやって来た。』。 本屋さんでは売っていないこの3冊の中から 「小さいことば」を抜き出して、 ご紹介いたします。 発売まで、もう少しお待ちください。
#5●ともだちと別れる人へ
ともだちというのは、
「しょっちゅう会ってなくてもかまわない」
というところまで含めて、いうのだと思う。
────『小さいことばを歌う場所』より
誰かに「ちゃんとめしは食ってるかい」と言われたら、
もしかすると、どんな助言よりも心に届くかもしれない。
────『思い出したら、思い出になった。』より

いっしょに夢中になって仕事した仲間だとか、
たっぷりの時間を共に過ごしたともだちに、
ひさしぶりにあったとき、
「ああ、同じようなことを考えていたんだ」と、
顔を見合わせるようなことが、あります。

そういうのって、うれしいものなんですよね。
言い方はちがうけど、同じことを思ってた……。
それがわかると、その直前までに考えていたであろう
苦悩だとか、不安なんていうネガティブな心持ちさえ、
共有していたような気がしてきます。
そこまで含めて、うれしいんです。

わかりますよね、大人の皆さんなら、この感じ。
────『ともだちがやって来た。』より

憶えていようと思ったわけでもないのに、
忘れないことは、いっぱいある。
なんでも、
こんなに憶えているものなんだと知っていたら、
もっと丁寧に生きてこられたのかもしれない。

知らなかったのだ。
思いでなんてものは、びゅんびゅんと、
一瞬の景色として後ろへ後ろへと飛んでいって、
二度と出会うことのない幻だと思っていたのだ。

こどもが、小学生くらいのときに、
こんな話をしてやれればよかったなぁ、と思った。
いま見ている景色は、
ぜんぶ、後で思い出すものなんだよ、と。
────『小さいことばを歌う場所』より

あなたは、何歳でしょう。
もう青春は終わってますか。
それとも現在進行中ですか。
青春は、何歳のこころのなかにも、
ちょっとありますよね。
────『ともだちがやって来た。』より




2009-03-09-MON


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