ほぼ日 ほかに、気に入ったことばがあれば
教えてください。
有野 あとは、あの、
芸人さんとかのことを言うてたことば。
あれはすごいなあ。
「作家の仕事は消しゴムを使えるけど‥‥」
みたいなことば。
ほぼ日 えーと、あ、158ページですね。

俳優さんとか、芸人さんとか、
表現に肉体を使う人たちの「覚悟」みたいなものが、
つくづくかっこいいなぁと思っています。
どうしても、ぼくらの発想は、
消しゴムを使えたり、構成しなおしたり
というようなことが前提となっていて、
瞬間への「覚悟」よりも、
完成まで食い下がる「しぶとさ」勝負になりがちです。
ぼく自身の個性としては、瞬間的な反射を
かなり重要視しているつもりなのですが、
やっぱり役者さんたちにはかなわない。
スポーツ選手たちの発達した運動神経なんかに近い、
身体が考えるというようなセンスが、あるんだよなぁ。
企画を考えたり、発想をしたりするのにも、
そういう力が、絶対に必要だと思っているんです。
有野 ああ、これですね。
ほぼ日 これは、芸人さんたちについて
糸井が「あの人たちはすごいなぁ」と
しみじみ感心していることばなのに、
有野さんは、芸人さんの側の立場から
共感されるわけですか。
有野 そうですね。
「あ、こんなん言うてくれる人は
 いいなあ、ありがたいなぁ」
っていうふうに思いますね。
ほぼ日 ああ、なるほど、なるほど。
有野 でも、「瞬間への覚悟」というほど
かっこよくもないんですけどね。
「あ、すべった!」と思ったら、
芸人は急いで別の話を
つけ足しますからね(笑)。
ほぼ日 いや、でも、そういうところも含めて、
糸井は「かっこいい」と
思っているんじゃないでしょうか。
有野 ああ、含めてくださってるんですかね。

(続きます)

2008-03-20-THU







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