これは、複雑な「言いまつがい」に思えますが、
ふたつの単語がひとつのまとまった表現をつくっていて、
その一方の単語の文字と違う単語の文字が、
単語の境界を超えて入れ替わってしまうことは
しばしば見受けられる現象です。
これは脳内の働きにまつわることなので
私の専門外のことではあるのですが、
人が、何か言いたいことがあって
それをことばで表現するとき、
一連の文章を事前に予測するらしいのです。
つまり、単語をひとつ思いついてしゃべり、
それからつぎの単語を探すのではなく、
言おうとすることをざっと頭の中で
思い浮かべるわけですね。
ことばを使うときの人間の頭の働きというのは
ほんとうにすごいものだと感心するのですが、
長くしゃべるときにも、人は、使うことばを、
つぎつぎに予測していくんですね。
それを全部しゃべるというわけではないにせよ、
どんどん先を読みながら、
人間はことばを使っていく。
もちろん、しゃべることばをすべて
決めてからしゃべっているわけではありませんが、
一語先、二語先くらいまでは瞬時に予測しているんです。
ですから、この例でいうと、
「ロッテリア」という
最初のことばを言おうとする段階で、
つぎの「寄ってく?」ということばを
すでに言おうとしているわけです。
ですから、「ロッテリア」と言うべきときに
似た発音である「寄って」がよぎって、
「ヨッテリア」となってしまう。
ここからはさらなる予測になりますけれども、
ひとつの間違いが起こることによって
「すでに言ってしまったことば」と
「まだ言ってないことば」のチェックが混乱してしまい、
予測したままでまだ発音されていない
「ロッテリア」の「ロ」の部分が
続くことばに影響してしまうのではないかなと思います。 |