ことばを使うというのは、
頭の働きとしてはたいへん高度です。
そのことばの発音や意味を正しく覚え、
しかるべき場面で、しかるべき文法で
しかるべき発音で、使わなくはならない。
しかも、状況に最適なことばを選び、使うためには、
視覚や聴覚もフル活用する必要があります。
一説によれば、ことばをしゃべるというだけで、
脳の約三分の一を使っているそうです。
それくらい脳を働かせないと、
最適なことばというのは出てこないわけなんです。
ということを踏まえて、考えてみてください。
怒るというのは、非常に強い感情です。
瞬発的に生じる強い感情は、脳の冷静な働きを妨げます。
そうすると当然、ことばを選び、使うために、
脳がフル活動することができなくなります。
当然、正しいことばをしっかり選ぶことはできず、
適当なことばをぞんざいに選んでしまいがちです。
単語の選択だけでなく、ただしいことばのつながり、
正確な文法というのもおろそかになってしまうでしょう。
また、本来、人が怒っている場面というのは、
笑ってはいけないことがほとんどですから、
そこで人が「言いまつがい」をしてしまうということは、
あとから振り返ったときに、
通常よりもいっそうおかしみが増すのだと思います。 |