これは、厳密にいえば、
「言いまつがい」とは違うのでしょうが、
たいへん興味深い事例ですね。
人がことばを受け取るときに
いかに頭を働かせているかというのがわかります。
つまり、聞く人の頭にある知識が、
正しい理解をさまたげているわけですね。
「金沢」というのは、
地名と人名の両方が存在する固有名詞です。
「福井」もそうですね。
「武生」というのも人名にあります。
つまり、そのことばを聞いたときに、
それが人名か地名かというのを
過去の記憶に照らし合わせて理解しようとするので、
人名だか地名だかわからなくなって
聞いた人が混乱してしまうわけです。
たとえば、日本の地名をまったく知らない人であれば、
「福井支社の武生営業所の金沢さん」というのは
「福井支社の武生営業所の金沢さん」でしかないわけで、
混乱もなく、理解できてしまうはずです。
もっというと、
「福井県」に「武生」があって、
「福井県」の隣の石川県に「金沢」がある。
近い場所にある複数の地名が
ひとつのことばの連なりの中に登場するので、
いっそう、混乱を招くのでしょうね。
つまり、言語と地理の知識が、
この混乱を生んでいるわけです。
いや、これは高度ですね。 |