日本語に限らず、言語というのは、
長い時間を経るうちに移り変わっていくものです。
現代における間違った日本語の蔓延について、
いちいち厳密に正すべきなのか、
それも含めて日本語と容認するべきなのか、
いろいろな考えがありますけれども、
少なくとも、間違いがあったときに
正しいことばを知っておくことが大切だと思います。
この「言いまつがい」というのは、
間違った表現に対する正しい表現がなんであるか、
そしてその間違った表現によって
どういうおもしろさが生じるかということを
反省しながら読むという構造になっています。
ですから、「言いまつがい」を読むこと自体が
非常に知的なゲームであるわけです。
少なくとも、この本を読むためには
知的な作業を必要とするといっていいと思います。
その意味では、こういう遊びが
どんどん広まればいいなあ
というふうに私は願っています。
本来、人はことばを正しく使う能力を
きちんと備えています。
間違いによってコミュニケーションが
さまたげられるのは困りますけれども、
たまに間違って、それによって正しいことばがわかって、
おまけに笑いも生まれるというのであれば、
それはやっぱり日本語のひとつの文化として
認めていいのではないかと私は思います。 |