これまでのこと、ブタフィーヌさんのこと。

最終回 たかしまさん、連載を始める。

── ストーリーを考えるときは
どんなふうになさったんですか。
たかしま 神保町に文房堂っていう画材屋さんがあるんですよ。
すごく古い素敵な画材屋さんなんですけど、
そこで、スケッチブックを買って
そのすぐ近くのスタバで、お茶してたんですけど、
さっき買ったのに、なんか描いてみよう
と思って、ちょうどホームページで
ブタフィーヌさんを、やりはじめたころなんで、
あれを絵本風に描いたらどうなるのかなと思って
その場で、即興で、っていうか
描いてみたのが、これなんですね。
  これを、細かくして、4コマにして、
連載のときに、出したりもしているんです。
そして二日後にまた、
一回やったらおもしろかったんで、
また、スタバで描いてみようと思って
また行くんですね、スタバに。
── スタバにどのくらいいるんですか?
たかしま どのくらいだったかな。
2、3時間ぐらいはいましたね。
これで、だんだん、
世界が広がっていったんですよね。
ブタフィーヌさん。
どう自分が表現していきたいかっていうのが
だんだん、だんだん、こう方向性というか、
のんびりした、ごろごろした、
日常っていうのを、特にオチとかは
無理につけなくても、ただ仕草を見ていて、
いいなぁみたいな、
そういう気持ちになれるような
そんなふうな世界観の話っていうのを
作っていったら、おもしろいのかなっていうのを。
── いまも強いストーリー性のある回の他に、
おじさんとふたりで、ほとんど無言で、
ブキャ、みたいな回があるじゃないですか。
たかしま はい。
── ああいうところが、いいですよね(笑)
たかしま そうですね。
結局続いてるのは、
そういう方向のものですね。
── 何でもない日の素敵さがあって。
それで油断してると何かが起きたりして(笑)
油断をさせる時間が長かったりね。
たかしま ははは。
── 平日毎日の連載をします、っておっしゃったのが
今考えてもすごいことですね。
たかしま 糸井さんがおっしゃってくださったんです。
毎日続けていれば、ヒットを打たなくても大丈夫。
ゴロの日があっても大丈夫。
毎日じゃなければ、毎回みんなが
ヒットを期待してしまうと。
だからもしかしたら毎日の方が楽だよ、
っておっしゃってくださって、
やってみようと決めました。
── このときに、賞金もなにもなかったんですけど、
単行本にしましょう
っていうことが賞だったんですよね。
それが、6巻まで、
ここで初めて発表しますけど、
6巻まできちんとつくりましょう、
ということになってます。
7巻以降については、
まったく何も決まっていませんが、
たかしまさんとしては、
連載を続けていきますと。
たかしま はい。
続けていけたらいいなと思ってます。
── たわいない質問をしますが、
おじさんには、モデルはいるんですか?
たかしま はい、います。
はっきりとしたモデルがいます。
── 誰ですか?
たかしま ええーっと、ぼくの空手部時代の同期。
── はははは。
たかしま そして、いまでも飲み友達なんですね。
東京でデザイナーをやっているんですが、
もともとは、大学を卒業して
建設会社に入って
工事現場の現場監督とかやってたんです。
── 現場監督とかやってた!
なんか、イメージがぴったりですね。
たかしま はい。
そこを辞めて、デザイナーに。
── たかしまさんと、似たような経歴じゃないですか
たかしま そうですね。
── おじさんのような性格なんですか?
たかしま ぼくが、思うに、
ぼくの知る限り、
もっとも善良な男なんですよ。
ほんとに善良な男で、
いま、おじさんに対して、
けっこうすごいやさしい人だね
とか印象を持ってもらってるんですけど、
たぶん、そのままなんですよ。
── へぇー。
たかしま おじさんのセリフを考えるときに、
彼なら、どう言うかっていうのを考えて
セリフ書いてるんですよ。
ほんとにああいうしゃべり方で、
あんなことを言うんですよ。
ハラマキとかはしてないですけど(笑)。
── おじさんってちょっと
鈍いところがあるじゃないですか。
そこも似てるんですか?
たかしま 美容師さんとのやりとりも、ほんとにそのままです。
知ってる友人とかは、もう、
美容師さんとのやり取りを見てて
「あいつを見てるかのようだ」って。
── その、モデルとなったかた、
ご結婚は。
たかしま してないです。
── あ、してない。
おじさんのように、奥手なんでしょうか。
たかしま そうなんですよ。
── 他の登場人物は?
たかしま なんとなく、このイメージはこの人かな、とか、
そういう形でイメージすることは多いんですけど、
でも、おじさんほど、モデルっていうふうに
決まってるキャラクターはないですね。
── いま連載で気になってるのは美容師さんです。
美容師さんがアメリカに
行っちゃったままなんですよね。
たかしま そうですね。
── それは、言わなくてもいいですけど、
たかしまさんの中では、
どんなふうになっていくのかな
っていうのは、わかってるんですか?
たかしま ぼやぼやっとしたところは、あります。
たとえば、(ゴニョゴニョゴニョ‥‥)。
── わぁ、すごくたのしみです。
きょうは、ふだん訊けないことまで
たくさん訊いてしまって。
ありがとうございました。
たかしま こちらこそありがとうございました。
── なんか食べましょうか。
たきたてのゴハンを食べさせてくれる
食堂があるんですよ。
たかしま ぜひ!
2008-12-22-MON
(おしまい)
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