お話を聞いていると、
たかしまさんと中村さんには
「ナロちゃんに会う」強い縁、運が
あったように思えます。
なんか来てくれましたね。
会うべくして会ったんだなと思います。
うまく言えないんですけど、
糸井重里がブイヨンに会ったように、
たかしまさんはナロちゃんに会ったんですね。
僕も幸せを感じております、はい。
人と人とが出会うのも不思議ですけど、
人と人は言葉を交わすから、
「不思議だね」なんていうことを
お互いに確認できるんだけど、
猫は言わないから、
向こうがどう思ってるかわからないとしか
言いようがないんですが‥‥。
そういうのに近いですよね。
なんか、うまく言えないんですけど。
いや、ありがとうございます。
しゃべれたらいいのにね。
聞いてみたいですねぇ。
「ナロ、どこから来たの?」って。
本人は今、寝てますか?
本人は寝てますね。
あ、ベッドのほうで、
なんかモショッ、モショッと。
ベッドの、シーツの下で寝てますね。
あ、今、ちょっと動いた。
ナロの話だよ。
前は僕の手を踏んでくれたのに、
もう寄ってもきてくれないです。
はい。もうお年頃ですからね。
お年頃問題はどうですか?
最大の悩みですね。
ナロの子どもが見てみたいっていうのもあり、
ちょっと悩んでます。
「お父さん、ナロさんをください」
そんな、どこかのアウトローにはね、
任せられないです(笑)!
一緒に暮らせないじゃないですか、
連れていかれちゃいそうで(笑)。
「私は流れ者ですから」
(笑)去るんですか、1人で?
「たまに子どもの顔を見に来ますんで」
いや、「二度と来るな」って感じですよ(笑)。
来なくていいですよ。
「そうおっしゃっても、もうね」
「もうね」(笑)。
「ナロと俺は
 そういったことになってしまったんで」
許しません、許しません(笑)。
許しませーーん!
「いや、許すも許さないも、
 もうね、そういうことでね。
 なぁ、ナロ?」
「もう『ナロ』呼ばわりか」みたいな(笑)。
いやいや、あのぅ、その人以外のところで、
縁談をお願いします。
その人以外(笑)。
仔猫がこう、ナロの後ろをね、
くっついて歩く姿を見てみたいなぁっていうのも、
一軒家なら可能なのかなと思ったりもしつつ。
村上春樹さんのエッセイで、
猫が出産するとき、
自分のところに来て、
手を握ってあげると、
一匹ずつ生まれてきたっていう
くだりがありましたよ。
えーーっ?
わぁあああああ!
いま、夢が広がりましたね。
そうですかぁ!
猫って、なんかもう隠れて、
知らない所でっていう印象でしたから
びっくりしました。
じつはね、この本のデザイナーさんが、
猫を保護したんですよ。
ちょうどオスで、もしかしたら
お婿さん候補なのかな?
みたいなことも考えてたんです(笑)。
「えっ、お父さんが決めた相手?」
(笑)いやなのか、ナロ。
「私好きな人いるんだけど?」
銚子に、素朴な、いい青年がいるんだ。
どうだナロ。
「私が好きになったのよ」
今熱に浮かれてるだけだよ。
「お父さん、まだ話してなかったけど、私」
あぁ、もうおなかに仔猫が!
「言えなくって。ゴメンね」
いやぁ、泣いちゃいますね、それ(笑)。
そんなこと言って、
子ども生まれたら、
もうかわいくてしょうがなくなりますよ。
そうですかねぇ。
これからも楽しみにしております。
中村さん、たかしまさん、
ありがとうございました。
ありがとうございます。
ありがとうございました。
引っ越し先にまた
お邪魔させていただきますね。
(帰り際、こっそりと)
ナロが来てから、
なんとなく「ブタフィーヌさん」と
「おじさん」の関係がというか、
たかしまの表現が、
変化しているような気がするんですよ。
「おじさん」に、より大きな愛情というか、
家族としての愛情、
子どもに対する愛情に近いものが
出てきたように思うんです。
なんとなく、なんですけどね。
   


(おしまい)


2010-12-23-THU