雪が降ると、犬はよろこび庭かけ周り、
ネコはこたつで丸くなる。
‥‥と思い込んでいませんか?
どうやら、そうじゃないネコもいるようなんです。
第一次南極観測隊といっしょに、
ひと冬を氷山の南極で過ごしたネコがいました。
犬たちのようにソリを引くわけでもなく、
主には室内でぬくぬくと、
隊員たちと仲良く暮らしました。
そのネコ”たけし”のことを知りたくて、
絵本『こねこのタケシ』を書いた
阿見みどりさんにお話しを伺いました。
国立極地研究所さんからお借りした、
南極でのタケシの写真もたっぷりとお届けします。
みなさん、ネコってますかー?
こんにちは。ほぼ日動物係・ゆーないとです。
みなさんは、南極でひと冬を越したこネコがいたことを
ご存知ですか?
わたしは知りませんでした。
知ったきっかけは、矢野顕子さんの
ツイート。
わあ、こんなの発見しちゃった。もしかしたら有名なのかもしれないけど。南極越冬隊に猫がいたんですって!いい顔してる!!
— 矢野顕子 Akiko Yano (@Yano_Akiko) 2018年1月14日
https://t.co/CFzYxUHuZz
えええぇーーーー!
なんじゃそりゃ~~~~?
寒くないの?
うちのネコたちなんて、いつもヒーターの横とか、
暖房の風があたるところで、
ぬくぬくして1日の大半を過ごしているというのに、
タケシときたら、雪の上で、毛をたくわえてふわふわに、
それでいてりりしく、我が物顔で南極の地に立っている。
▲冬毛で鳩胸になっている、タケシ。かわいい!
そんなタケシの写真を見たら、
もう、いてもたってもいられなくなってしまいました。
どうしてネコが南極に行くことになったのか、
だ、だれか教えて‥‥!
調べるうちに、1冊の絵本に出会いました。
1953年に南極へ渡った、第一次越冬隊が帰国して、
その後、だいぶ経ってから出版された
絵本『こねこのタケシ』。
まずは、絵本のあらすじをお読みください。
あらすじ
1956年。
南極へ行く、第一次越冬隊が港から旅立つとき、
あるひとりの女性が、
「オスの三毛猫は、航海のお守りに縁起がいいので、
どうぞ連れて行ってください」
と、隊員に渡したのが、こねこのタケシでした。
(※現在は、南極への動物の持ち込みは禁止されています)
タケシは、南極へ行く船旅3ヶ月のうちに、
みるみる大きくなり、隊員たちとも仲良くなり、
みんなの仲間になりました。
南極では、タロやジロをはじめ、
犬とも仲良く暮らしました。
1年後、隊員たちの帰国といっしょに、
また3ヶ月の船旅で日本に戻ってきたタケシ。
このまま、日本で新しい暮らしがはじまる
のかと思いきや‥‥
タケシは姿を消してしまった。
という、ちょっぴりふしぎな、
ほんとうにあったお話。
この本を書いたのは、阿見みどりさん。
さっそくコンタクトをとり、
お話しをうかがえることになりました。
場所は、鎌倉にある「銀の鈴社」という出版社。
娘さんで「銀の鈴社」の代表をされている
西野さんにもご同席いただきました。
▲鎌倉の住宅街にある、一軒のお家です。
▲こちらが阿見みどりさん。
▲右が、娘さんの西野さん。
▲「タケシです」
▲後輩こいぬとたわむれるタケシ先輩。
▲こねこの名前募集は、行きの船の中で行われました。
▲南極で覚えた「きをつけ」!
▲大塚隊員の腕に抱かれて。
▲西堀越冬隊長の腕に抱かれるタケシ。
▲将棋も参加するタケシ。
▲集合写真ももちろん一緒に。大塚隊員の腕の中。
▲お正月のだんらんに、真顔で混ざるタケシ。
この写真は、最近発見された資料だそうです。
『ねこの詩』
▲牧陽子さんによる、ねこの詩だけを集めた1冊。
▲作間さんとたけし。
▲作間一家との写真。
▲タケシとカラフト犬のこいぬと、作間さん。
▲行きの船ではこんなにちいさかった、タケシ。
▲1年経ったら、こんなに。
▲大きく。
▲ふてぶてしく、なりました。
帰りの宗谷の甲板で、とってもきもちよさそう。
隊員の誰かが作った救命胴衣を着ています。
1月。東京に4年ぶりにしっかりと雪が降った後、
極地研究所へおじゃましました。
最寄りの駅は、立川駅です。
バスに揺られて着いたのは、雪の中の国立極地研究所。
▲なんだか、南極にきた気分‥‥。
敷地内にある「南極・北極科学館」は、
誰でも無料で入場できます。
外には、東京タワーの下から移築された
カラフト犬のブロンズ像。
第一次越冬隊の帰国後に、彼らのことを忘れないように
と建てられました。
▲ほぼ実寸くらい。なでなでしてもOK。
東京タワーにあるときには、なでなではNGでした。
記念撮影も大歓迎!
現在、2月28日(水)までは
「南極観測隊と動物たち」という企画展を
開催中です。
研究所に保管されている資料を、整理していたら
タケシの写真がたくさん出てきたそうです。
▲お宝写真がたくさん。
▲南極でうまれたこいぬたちを率いるタケシ。
当時を記録したドキュメンタリー映画の、
一部が流れていました。
わ、動くタケシも!
▲隊員を置いて出港する宗谷を見送る隊員。 タケシはどこにいるでしょう?
▲ここにー! コートの中のタケシー!
▲岩の奥のタケシー!
(パソコンではこちらでも観られますよ)
今回、研究所の大坂さんが
いろいろ教えてくださいました。
色んな資料を読んでいるので、
行ってなくても、行ったかのように知識が豊富。
研究所のサイトのキャプションを書いたのも、
大坂さんです。
タケシの他にも、カラフト犬の色んな写真や、
▲展示されている写真は、研究所にあったものや、
隊員の方々から寄贈されたもの。
展示には、色んなパネルもあります。
▲7次隊までは、犬が行ってたそうです。
7次隊のときにいたホセは、16次隊のときまで、
南極で暮らしたそうです!
▲カラフト犬の相関図。
メスが1頭なのでモテモテ!失恋組も‥‥。
犬とネコの他には、カナリヤとハムスターも
一緒に行っていたそうです。
▲カナリヤの生む卵をタケシが取って、怒られた
というエピソードも書籍に残っているそうです。
カナリヤも、タケシと一緒に帰国しました。
そして奥には、常設展示。
▲これが実際に使われていた、犬そりです。
▲移動手段は、雪上車とそり。さ、寒そうだ‥‥。
なんと、南極の氷を触れるコーナーも!
▲南極の氷は、ふつうに冷たかった‥‥。
南極の氷は空気をたくさん含んでいるので、
耳のそばに持ち上げると、小さくプチプチと音がします。
今回、南極にたくさん触れて、とても興味がわきました。
ぜひ、立川の南極に遊びに行ってみてください。
国立極地研究所さん、大坂さん、
ありがとうございました!