さて、ショーが行われているテントの外にも
いろんな施設がたくさんあるんです。
ここに住んでいるわけじゃないですけど、
敷地内で過ごす時間は長いですから
「生活する場所」として
いろんなものが用意されてるんです。


プレハブがずらっと並んでます。
ちょっとご紹介しましょう。


あ、ここはミュージシャンたちの
控え室ですね。


ここは、シャワールーム。
この人、ぞろぞろ歩く我々に向かって
「おいで。ちょっと浴びてきなよ」と
真顔で言ってきました。なんでやねん。


けん玉の練習をしているのは、
出演者のご家族の方だそうです。
あああ、そうだよねー、
世界中を回るお父さんについて、
世界中を回る家族もいるんだよねー。


さて、この建物はなんでしょう。
なかに入ってみましょうか。


食堂です! うーん、いいにおい!


ジュース、牛乳。豆乳なんてのもあるね。


フルーツが桶に入ってますが、まあよし。


そして、たくさんの料理がずらーっと。


おいしそう!


おいしそうだってば!


食べちゃ‥‥ダメだよな、やっぱり。
変だよな、ここで、いきなり、メシ食うのは。


ヘザーさん
「優秀なシェフがツアーを一緒に回っています。
 スタッフとキャスト全員のご飯をつくってくれます。
 朝もお昼も夜もここで食べることができます。
 シェフは世界中のいろんな料理をつくってくれます。
 あるスタッフの国が祝日だったりすると、
 その国のお料理を出してくれることもあるんです」


ずらり並んだ各種ドレッシングを
よく見てみると‥‥。


「YUZU Dressing」なんてのもあったりして。
日本の食材にも、興味津々なんだそうです。


なごやかな雰囲気で、学食みたい。
モントリオールの本社でも感じましたが、
シルク・ドゥ・ソレイユのこういう施設って
大学っぽいムードがあるんですよね。


食堂の一角にはインターネットスペース。


ここは掲示板。
トレーニングジムの募集記事。
どこかのバーゲンのお知らせなどが。


さて、ここからの数枚は、
ぐっさんこと山口が「グッと来たもの」の写真です。
ぐっさんのコメントとともにご覧ください。



「ケーブルカバーにまで
 シルク・ドゥ・ソレイユのロゴが!
 毎日、いろんな場所で使われるものだから、
 オリジナルでつくったんだろうけど、
 これ、かっこ良すぎ。」


「僕も電気ドリルを愛用している
 BOSCH社製のスピーカー?
 こんなのがあったんだ、知らなかった。
 パフォーマーの練習の為に
 音をならしているんでしょう。
 そしてきっとタフなんでしょう。
 多少の水に濡れても汚れても大丈夫なんでしょう。
 かっこいいぞ!」


「無造作に取り付けられたように見える
 電気スイッチ類。
 だけど本当は、後ろの鉄骨にあわせて
 取り付けてあるから斜めになっているんですね。
 不思議な配置だけれど、
 毎日使うからこそ、確実な配置!
 CEALLING FANS のテープの傾斜も含めて、
 かぁー! かっこいい!」



食堂から衣装スペースに戻ってくると、
驚いたことに、散髪中!
あ、担当してるのは、さっきの衣装さん。
ヘアメイク係も兼ねてるんでしょうか。


うかがった話によると、
古いヨーロッパをイメージしている
『コルテオ』のコスチュームは、
古風で幻想的ななかにも
「実際の生活にある自然な感じ」を
大切にしてるため、カツラを使わず、
自分の髪のまま出演している
アーティストが多いのだそうです。
そうすると、なにがたいへんかというと‥‥。


ヘザー
「ショーに出演するアーティストは
 基本的に、髪を勝手に切ってはいけません。
 ここで切るのがいちばん間違いがないんですが、
 どうしてもほかで切らなければいけないときは、
 色をどうするとか、どこをどの長さにするとか、
 細かい指示書を持って美容院に行きます」


ちなみに切られているこの方は、
バイオリンで参加されている
日本人です(東京公演のみ出演)。
お名前を聞き損ねてしまいました。
散髪中、お騒がせいたしました。


さて、次回はいよいよ
出演者の方々に取材します!

(つづきます)




『コルテオ』を支える人たち。つづき。

『コルテオ』の運営スタッフの
フジテレビ田中晋太郎さんに
ひきつづきお話をうかがっています。

運営本部のみなさんは、
イメージとしては、劇場の支配人ですね。

「そうですね、ショーがはじまったら、
 劇場支配人です」

田中さんは、シルク・ドゥ・ソレイユの
運営担当になられてから、何年目ですか?

「僕は、5年半ぐらいになります」

と、いうことは、
シルク・ドゥ・ソレイユのツアーが来るたびに
田中さんもずっと“ツアー”ですか?

「そうです。旅芸人さんのような毎日です」

ツアーは毎回、どのくらいの期間つづくんですか?

「だいたいひとつのツアーが2年から3年です。
 『ドラリオン』が昨年の6月に終わって、
 『コルテオ』は今年の2月からはじまったので‥‥」

‥‥新入社員が入っても田中さんは顔を覚えてもらえない
という噂があるのですが、それは真実のような気が。

「はい(笑)。事業部の人にも
 ぜんぜん会わなかったりするので、
 同じ部署のはずの人に『お世話になっております』と
 言われることもあります」

ショーがないときは、ふつうに
フジテレビ本社に通うわけですよね。

「ショーがはじまる前、幕があく1年以上前から、
 海外で行っているステージを日本のビッグトップに
 どうやって入れ込むか、それに向けてですね‥‥」

あああ、ぶ厚いファイルが出てきました!
図面がいっぱいです。

「客席をどういうふうに配置をするか、
 トラスはどうすればちゃんとはまるか、など、
 大きなことから細かいことまで、
 シルク・ドゥ・ソレイユの制作チームと
 毎週のように電話会議をし、
 メールも毎日何十通かわして調整をしていきます」

では、『ドラリオン』の支配人をしながら、
『コルテオ』の準備を?

「そうです。『ドラリオン』の運営中に
 プレハブの奥の部屋で『コルテオ』のチームと
 打ち合わせする、というようなことを
 去年の2月から6月ぐらいまで、ずっとやってました」

専門のイベント会社などに委託したりはしないんですか?

「なるべく主体的に
 シルク・ドゥ・ソレイユと向き合って、
 制作に関してはひとつひとつ
 自分たちで判断していくという形をとってきました。
 直接パートナーシップを築いていくことで
 信頼関係を築いてきたという、そういう側面があります」

(田中さんのお話、次回につづきます)


2009-04-14-TUE


(C)HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN
Photos:Marie-Reine Mattera ,Richard Termine
Costumes:Dominique Lemieux © 2005,2007,2008 Cirque du Soleil © 2007 Fuji Television