シルク・ドゥ・ソレイユからの招待状(2) 水の中から見えたもの。 〜「オー」のスイマーへの取材〜

糸井 シルク・ドゥ・ソレイユという場所は、
いろんな個性を活かすチャンスを
たくさん作ってますよね。
クラウン(ピエロ)の使い方も、
そのひとつだと思うんですけども、
アクロバットもしない、
特にすごい芸をしないクラウンが
出てきますし。
北尾 そう言われてみると、そうですね。
技だけじゃないところに
答えがあることがありますから。
河邊 それに、この会社って、あんがい
美を求めないようなところがありますね。
この「オー」を作るときにも
「美しいものは要らない。
 変わったことをやってくれ」
って、すごく言われたらしいです。
「クレイジーになってくれ、
 クレイジーになってくれ」って。
美しいショーをやりたいんじゃなくて、
「その人」を出したショーをやりたいんだな、
と、私は感じました。
糸井 そう言われると、困っちゃうと同時に、
もしかしたら新しい自分に
会えることなのかもしれないですね。
河邊 それがモントリオールでの
トレーニングキャンプでした。
「自分はこんなこと思ってたんだ」と
わかることもたくさんありました。
もちろん落ち込むこともあったけれども、
自分の表現できることを
どんどん引き出してくれました。
糸井 楽しいだろうね。
河邊 何か、変わるんだと思います。
北尾 うん、変わる、変わるよ。
河邊 やたらと自分を持っちゃうし(笑)。
北尾 自分の持っていたものに気づくし、
いろんなことにチャレンジできる。
河邊 いろんなことにチャレンジできることプラス、
「できるんじゃないか?」と思っちゃうよね?
北尾 わかるわかる!
糸井 そんな勤め先、いいね。
河邊 できるという気持ちにさせてくれるのが
シルク・ドゥ・ソレイユなのか、
それともアメリカなのか、
わからないんですけれども。
糸井 ああ、なるほど。アメリカという
国のせいもあるかもしれないですね。
「オー」の評判は日本でも
本当によく聞いていて、
「いいって言うよねー」なんて、
観てもいないのに言ってたけど‥‥
いやぁ、観ると観ないじゃ違いますね。
河邊 うれしいです。そう言ってもらうと、本当に。
糸井 ‥‥で、観たあとで、
無口になります。
北尾 あ、それもうれしい(笑)。
糸井 観たものが整理できなくて、
生のままなんですよ。
河邊 それはすごく、
このショーのうまいところだなと思います。
1回観たら、なんだか
もう1回観たくなりませんか?
糸井 そのとおりです。
今度、日本に常設のシアター
できたんですよ。知ってますか?
河邊 あ、ディズニーランドの近くですね。
知ってますよ。
北尾 オープンはこれからですよね。
いまから、いろんな噂が出ていますよ。
最後の最後まで全部、伏せてますからね。
河邊 私たち、パフォーマーが行っても
ショーの準備は絶対に見せてくれないんですよ。
モントリオールのトレーニング中も
カーテンが引かれていて、
とにかく極秘なんです。
糸井 うん、たのしみですよね。
河邊 あの‥‥「ほぼ日」って
奥野さんが書かれてますよね。
糸井 そうそう、そうです。
奥野さんが書いてくれてたときから
シルク・ドゥ・ソレイユのことは
ずっと気になってたんですよ。
河邊 ですから、「ほぼ日」は
前から知ってました。
北尾 これからも楽しみに
読ませていただきます。
糸井 ありがとうございます。
じゃ‥‥がんばってください、
という言い方じゃないんですよね、ここはね?
楽しんでくださいね。
北尾 はい(笑)。
河邊 ありがとうございました。
「オー」の河邊さん、北尾さんへの
インタビューはこれでおしまいです。
ご愛読ありがとうございました。
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『シルク・ドゥ・ソレイユからの招待状』、
連載は、これからもまだまだ続きます!




舞台下は、こぉんなふうになってます。

おまえはどうして同じことを何度も言うのだ、
と良識派の向きからしかられそうですが、
「オー」の舞台は巨大なプールになってるんです。
またそれかい、なんかぁいうたらそれかい、
と関西のおっちゃんからつっこまれそうですが、
「オー」の舞台は巨大なプールになってるんですよ。

で、今回のレポートは、ですね、
巨大なプールの「底」をお伝えします。
といっても、我々がプールに潜るわけではありません。

「オー」の舞台を、プールの底側から
見学させてもらおう、というわけなんです。
え、言ってる意味がよくわかんないって?
じゃ、この写真をご覧ください。
ようするにこういうことなんです。



どうですか。すごいでしょう?
ちなみにこのときは、本番中ではなく、
スイマーの方々がトレーニング中でした。

どうしてプールの底が
ガラス張りになっているかというと、
下側から強い照明を当てるためなのです。
水の、底のほうから、いろんな照明を当てると、
水面がさまざまな表情を見せるんです。

こっそりお教えしますけど、
ここなんかは、近くから強い照明を当てすぎて
ガラスがちょっと溶けちゃってます。


あ、もちろん、安全性は問題ありません。
このガラスは、通常の基準の
倍近い厚さになっているのです。


いやぁ、それにしても、
下から見る「オー」というのもいいですね。
ひとりひとりの美しい演技、集中力‥‥
かっこいいなぁ‥‥などとぼんやりしていたら。


バン!! ひゃぁ。
「じゃま!」
とでも言われたようでした。びっくりしました。

じつは、プールの底の壁には、
それぞれのスイマーごとに
息継ぎ用の酸素マスクがあるんですよ。
演技の合間合間に、スイマーの方たちは
もぐってここまで来て、酸素を補給して、
演技にもどっていくのです。たーいへん!

いや、うちの職場が
巨大なプールでなくてよかったです。
そればっかりかい。

(永田)

シルク・ドゥ・ソレイユ シアター東京の
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2008-05-14-WED



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Photos: Tomasz Rossa, Veronique Vial Costumes: Dominique Lemieux