糸井 |
「シルク・ドゥ・ソレイユって、
どういうところですか?」
って訊かれたら、なんて答えますか? |
レダ |
うーん‥‥難しいですね‥‥
ほんとに、こう、なんていうか、
クリエイティブがあって‥‥
国際色が豊かで‥‥
なんでも可能であるかのように思える
クリエイティブなチーム、
そういうイメージがあります。 |
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糸井 |
取材を続けてきて、
ぼくも同じ印象があります。
そして、おもしろいなと思ったのは、
シルク・ドゥ・ソレイユで働いている人たちは、
みんながみんな、
シルク・ドゥ・ソレイユのことが大好きなんですよ。
それって、どういう秘密があるんでしょうね? |
レダ |
私個人の経験でいえば、
どこよりも濃密な経験をさせてもらえるからです。 |
糸井 |
ああ、なるほど。 |
レダ |
先ほども言いましたが、私は2度、
大舞台に立つ機会を与えられました。
一度目は『オー(O)』で、
フランコ・ドランゴーヌさんという
世界的に有名なディレクターといっしょに
ショーをつくっていくことになりました。
彼とは8ヵ月間をともにしたのですが、
それは、シアタースクールで過ごした4年間よりも
ずっと学ぶべきことが多く、
密度の濃い時間だったんです。
私たち、アクターにとって、そういう機会に
めぐり会うことができるのは
本当にすばらしいことなんです。
今回の『ZED』は映画業界で有名な
フランソワ・ジラールさんと
いっしょに仕事をすることができました。
それも、シルク・ドゥ・ソレイユにいるからこそ、
経験できることだと感じています。 |
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糸井 |
逆に、シルク・ドゥ・ソレイユにいて
困ったことってありますか? |
レダ |
困ったことというか、難しいこととしては、
やはり、毎日毎日、同じショーを
ずっと続けていくということですね。 |
糸井 |
ああ、それはそうでしょうね。
何年もずっと、ということですから。
でも、発見がまったくなくなるということは、
きっと、ないんですよね? |
レダ |
そうですね。
私は『オー(O)』というショーを
トータルで1400回ほどやりましたが、
500回を過ぎたときに、ハッと気づいたんです。
「このキャラクターは、もっと、
こういうふうにしたほうがよかった」って。
その発見自体はうれしいことなんですが、
つぎに思うのはこういうことです。
「なぜぼくは1回目から
こういうふうにやらなかったんだろう?」 |
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糸井 |
たいへんだ、それは(笑)。 |
レダ |
はい。ショーをずっと続けていくのは
たいへんなことではありますが、
その、毎日続くたいへんなショーこそが、
自分がもっと進化する場、
成長する機会であるというふうに考えると、
やはり、人生で1000回もショーに出られるというのは
やっぱりすばらしいことだなと思います。 |
糸井 |
よくわかりました。 |
レダ |
私個人はそういうふうに感じています。
ほかの人に訊いたら、
違うことを言うかもしれませんが。 |
糸井 |
理由がそれぞれ違うほうが
シルク・ドゥ・ソレイユらしいと思います。
人種も、国も、ことばも、文化も、
混ざったままでニコニコしているのが
シルク・ドゥ・ソレイユですから。 |
レダ |
ああ、そのとおりですね。
シルク・ドゥ・ソレイユには
本当にたくさんの国の人たちが働いてるんですけど、
まったく対立もなく、平和に過ごしているんです。
だから、私は、世界中の人たちが、
同じパスポートを持てばいいんじゃないか、
と思うことがあるんです。
「シルク・ドゥ・ソレイユのパスポート」
っていうものを(笑)。 |
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糸井 |
ああ、それはいいですね。
ぼくもぜひ持ちたいです(笑)。 |
レダ |
(笑) |
糸井 |
今日のショーの開演時間が迫ってきたので
そろそろ最後の質問にします。
さっきは「通訳になってほしい」
なんて言ってましたけど、
いま1歳半のお嬢さんと
シルク・ドゥ・ソレイユで競演したいって
思うことはありませんか? |
レダ |
もちろん、あります(笑)。
もっとラクな仕事に就いてもらいたい、
という気持ちもありますけどね(笑)。
でも、本当にアーティストになりたいのであれば、
そうですね‥‥『ZED』のチームには
エレナというすばらしい
体操のアーティストがいますから
彼女にお願いして、
ストレッチから教えてもらおうかな(笑)。 |
糸井 |
共演をたのしみにしてますね。
今日はどうもありがとうございました。 |
レダ |
ありがとうございました。
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(おわり)
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