世界中の人たちに、 このパスポートを。                                                        〜『ZED』の主人公、レダ・グェリニックへの取材〜

第2回 日本のお客さん。

糸井 『ZED』は、日本初となる
シルク・ドゥ・ソレイユの常設ショーです。
当然、観客は日本人がほとんどですが、
演じる側から、こんなふうに楽しんでほしい、
というようなことはありますか。
レダ そうですね‥‥やはり、基本的には、
純粋にショーをたのしんでいただきたい、
ということに尽きるんですけれども。
あえて、いうとすれば、
この『ZED』というショーには
独特のリズム感があると思いますので、
ぜひ、それを体験していただきたいと思いますね。
糸井 トライアウト公演のころから、
すでに日本人の観客の前で何度も演じられてますが、
お客さんの印象はいかがですか?
レダ そうですね、日本の観客の方というのは、
非常に洗練されていて、知識も豊富だと思います。
ラスベガスの観客の方とは、
タイプがまったく違うと思います。
糸井 あ、そうですか。
レダ 個人的な印象になりますが、
やはり、ラスベガスのお客さんというのは、
カジノや観光を目的にしてらっしゃる方が
多いと思うんです。
その点、日本のお客さんというのは、
私たちのショーにとても興味を持ってくださっている。
それが、舞台の上から実感できるんです。
そして、単にショーを観るというよりは、
「参加している」という雰囲気で
鑑賞してくださるので、私たちとしても
非常にありがたく思っているんです。
「難しい観客」という言い方が私たちの中にあって、
「今日はちょっとやりづらかったね」というときに
ほかのショーなどではときどき使われるんですが、
『ZED』においては、そういったことを
私個人としては、一切感じたことがありません。
糸井 へぇーーー、そうですか。
それは、やっぱり、モチベーションというか、
興味の強さの問題なんですかね。
レダ そうですね。
「観たい!」という意欲が
舞台の上の私たちにも伝わってくるんです。
糸井 そんなふうにおっしゃっていただくと、
なんだかうれしいですね。
レダ 私は、日本という国は、
文化的にすばらしい国だと思っているんです。
とくに東京は、ニューヨーク、パリと並ぶ、
非常に優れた街だと思います。
劇や劇場に関しても、みなさん知識をお持ちですし、
私としては、日本でこういうショーができることを
とても名誉なことだと思っています。
糸井 悪い気はしないんですけど‥‥
そんなに言われると困っちゃうな‥‥。
ま、それはいいとして、
プライベートな時間なんかはどうしてますか?
長く日本で過ごすわけですから、
そういうこともきっと大切ですよね。
レダ はい。じつは私には娘がいるので、
プライベートな時間は、
ほとんど彼女と過ごすことに費やされます。
糸井 あ、それはすばらしいですね。
レダ ええ(笑)。
それ以外ですと、まぁ、スポーツをしたり、
映画を観たり、本を読んだり‥‥
あ、日本のショーを観たいと思っているんです。
「能」、ありますよね。日本の「能」。
糸井 はい、はい。
レダ 「歌舞伎」は一度観たことがあるんですけど、
また行きたいですし、
そういう、生で体感できるようなステージを
もっと観に行きたいですね。
糸井 でも、毎日公演していると、
なかなか時間を取るのも難しいでしょう?
レダ いえ、毎日といっても
週に5日ですので、週2日はお休みなんですよ。
糸井 そうか、そうか。
じゃあ、娘さんもあまり寂しくないですね。
娘さんは日本を気に入ってますか?
レダ うーん‥‥気に入っているというか、
なにしろ、1歳半ですので(笑)。
うん、いまのところは、
ひじょうに楽しんでるようです(笑)。
糸井 (笑)
レダ もしも、ずっと長く滞在することになったら、
娘の日本語はかなり上達すると思いますので、
そのときは、私の通訳をしてほしいです。
糸井 ああ、そうですね。
子どもは早く覚えるもんね。
レダ ええ。
(続きます)

2008-10-27-MON

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Photo: Red Dog Studio, Cosutume: Renee April