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マルセ |
アスリートたちのオーディションは、
パフォーマンスがハイレベルであることと、
その方のパーソナリティ、タレントは
どういったものがあるかを
見る必要があるんです。
「世界レベルで見てすばらしい」という
ことだけではなくて
その人が、シルク・ドゥ・ソレイユのステージで
組むであろうチームと一緒になって
ステージに何かをもたらしてくれる、
そういうタレントを持ってるかどうかを
見極めます。 |
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糸井 |
チームでやる、という部分が
やっぱり重要でしょうし、
そういう人材を雇い入れるというのが
いちばん興味深いところでもありますね。 |
おふたり |
イエス、イト・イズ。 |
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糸井 |
それはきっと、
マニュアル化しにくい、
直感的なことが多いと思うんです。 |
マルセ |
はい。そのとおりです。 |
イーヴ |
「直感的なこと」という話題と
関連すると思うんですが、
人を選ぶ際に、
言葉にするのが難しいカテゴリーも
あると思うんです。 |
糸井 |
はい、はい。 |
イーヴ |
たとえばシアターのアクターですと、
通常は、観客が前にいる状態で
演技をするんです。
サーカスは、周りをすべて囲むように
お客さまがいるんですよね。 |
糸井 |
ああ、そうですね。 |
イーヴ |
やはりアクターといっても
前の席に座ってるお客さまに対してだけ
うまくできる人もいるんです。
私としては、やっぱり
全方向に対応できる人がどなたなのかを
見極めたい。
そういう人をどうやって選ぶかは、
やっぱり少し表現しづらいんです。 |
マルセ |
うん、それは、アクロバットも同様です。
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糸井 |
それはその人の個性ですか? |
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イーヴ |
まずは、その人が
サーカススペースを理解しているかが重要です。
200人の前でアクトをするのと、
2000人の前でアクトをするのでは、
違いますから。 |
糸井 |
観客に応じた演技は、
学ぶことができますか? |
イーヴ |
はい、学ぶことができます。
しかし──そうですね、
学ぶことができないことが
たったひとつ、あります。
それは存在感です。
これは、クラウンにとっては
とても重要な要素になってきます。 |
糸井 |
おお。
努力をしても、
存在感を出す力は高まらないんですね? |
イーヴ |
存在感だけは、
後から学ぶことができないものだと
ぼくは思います。
ですから、厳しいことですが、
いいクラウンというのは、ひとりです。
年にひとり、選べればいいと思います。 |
糸井 |
そんなに‥‥。 |
イーヴ |
クラウンは、とにかく
ステージでの存在感が必要になります。
「オー」のステージは、
ご覧になりました? |
糸井 |
はい、観ました。 |
イーヴ |
あのクラウンは、
そんなに動かないのに、
みなさんが笑います。
あれが存在感です。 |
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(つづきます)
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