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糸井 |
じゃあ、おふたりは
一年中、休めない仕事ですね。 |
マルセ |
休み、ありますよ。 |
糸井 |
休みの日に、なにをなさってるんですか? |
マルセ |
オー、ワットアイドゥー? |
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イーヴ |
やっぱり‥‥ショーを観に行きます(笑)。 |
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一同 |
(笑) |
マルセ |
わかる気がする(笑)。 |
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イーヴ |
シルク・ドゥ・ソレイユの
オーディションのしかたは、
通常とは違います。
ふつうは、オーディション会場に
人が入って来ると、2分間ぐらいで
「あ、あなたは出ていけ」
「あなたは残りなさい」
というふうにやるんですが、
我々のアプローチは、どちらかというと
ワークショップのようなものです。
判断の場として終わるんじゃなくて
なにかが続いてるような、
そんな感じのオーディションになっています。 |
糸井 |
それは、誰かがあるとき、
考えたことなんでしょうか? |
イーヴ |
これは、フランコ・ドラゴーヌのやり方です。
フランコ・ドラゴーヌは、
「オー」のディレクターとして
ギー・ラリベルテに招聘された人です。
シルク・ドゥ・ソレイユでは、
まずはアスリートがアクロバットを
することになり、
そしてアクロバットが、ゆくゆくは
アーチストになっていく。
それが可能かどうかを
見極めなければなりません。
我々は、そういう意味合いでの
全体的なアプローチをしていくのです。 |
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マルセ |
体操をやっていた方でも、
ショーの中ではキャラクターになり、
アーチストになるわけですから。
そういった方々がしっかりと
演技ができるようになるか、見ます。
また、人に対しての反応も見ます。 |
糸井 |
シンクロナイズドスイミング出身の
日本人の方に、ラスベガスで
インタビューしてきたんですけれども、
新しい自分が見つかることが
とてもうれしいとおっしゃっていました。 |
マルセ |
カナコキタオさんですね。
それから、ミホさん。 |
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糸井 |
そうです。 |
イーヴ |
全てのアクロバット、
そしてアスリートが
ダンスを勉強し、
クラウンの表現を勉強し、
演技を勉強します。
そして、そのあとに
実際にやるパフォーマンスを楽しめるかどうかが
重要だと私は思います。 |
マルセ |
15年間ぐらい
アスリートとして
活躍してるような人にとっては、
シルク・ドゥ・ソレイユにやって来ることは
自分たちのスキルを活かして
いろんな方に会えるということにも
なるのではないでしょうか。 |
イーヴ |
ちょっとこういうことを想像してみてください。
ロシアの、巨体を持った方が、
シルク・ドゥ・ソレイユにやって来て、
アーチストとして
仕事をすることになったとします。
そこではじめて
黒人のゲイのすばらしいダンサーに出会う、
というようなことがあるわけです。
それまでのその人のキャリアでは
ありえなかったことが起こるわけです。
そんな環境下で仕事をするということは、
文化や言語の違いだけでない、
もっといろんなことが起こります。
我々は、ですから、
オーディションのときには、まず
「なぜ来たいんですか」ということを
聞くようにしています。
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(つづきます)
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