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糸井 |
ところで、おふたりは、
ショーをチェックするとき、
主に客席のどこに座りますか? |
ジラール |
それはおもしろい質問ですね。
このシアターの座席は、
かなり幅がありますからね。
えーっと、通常、私は中央の中央、
リハーサル中はほんとうの真ん中を陣取って
観ることが多いです。
目の前に煎茶のセットを
用意しましてね(笑)。
本番は、いろんなところで観てますよ。
いちばん後ろの角っこの席、
中央のいちばん前、
それぞれ楽しみ方が違います。
いろんな場所のショーの感じ方を、
演出家としては確認したいですから。 |
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糸井 |
リンさんも同じような考えですか? |
リン |
私は全体を見たいので、
いつも後ろのほうに座ってます。
彼は詳細なディテールを細かく見るけど、
私はちがうのよ(笑)。 |
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ジラール |
映画を見るときには
5列目に座りますけどね。 |
糸井 |
あ! そうなんですか。 |
ジラール |
なんとなくね。
臨場感が出ますから、
5列目がおすすめです(笑)。 |
糸井 |
リンさんにとって、
演出家のジラールさんが
入ってきたということは、
どういうインパクトがありましたか? |
ジラール |
じゃ、僕はこのへんで
散歩しに行きましょうかね(笑)。 |
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リン |
(笑)、シルク・ドゥ・ソレイユとしては
こういう方が入ってくださって、
雰囲気がとっても楽しくなったんですよ。 |
糸井 |
へえ、そうなんですか。 |
リン |
人格も、ほんとうに素敵。いい方なんですよ。
絶対に、他人に対して怒鳴らないんです。
自分に対しては、怒鳴ってるとこ、
見たことあるんだけど(笑)。
ほかのクリエイターにも、
ちゃんと考える余地を与えてくれます。 |
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糸井 |
でも、いろんな国の方が
いらっしゃるでしょうし、
言葉の壁もあるでしょう。 |
ジラール |
たとえば、中国のパフォーマーも
ロシアのパフォーマーもいますけれども、
我々がミーティングや話し合いをする場は、
常にステージなんです。 |
糸井 |
ああ。 |
ジラール |
私は英語とフランス語を
メインに使いますので、
それ以外の言葉でやり取りする場合は、
通訳を介します。
でも、お互いステージの上に立っている、
という前提があるので、
コミュニケーションを取りたいと思えば
取れる状況にあります。
映画でも同じことが言えると思いますが、
それは、このシルク・ドゥ・ソレイユでも
成功していると思います。 |
糸井 |
「ZED」の公演は
ここ日本という場所ですけれども、
日本にいらっしゃったことを
どのように感じられていますか? |
ジラール |
以前、映画の仕事で
3か月ほど日本に滞在したことあります。
そのときはもっと
日本を感じることができました(笑)。
つまり、今回はほとんど
シアターの中でしか過ごしていないんです。
日本語はもちろん少しだけ
飛び交ってますけれども‥‥
ですから、今、唯一の楽しみは日本食です。
朝から晩まで日本食を食べることができるのは、
すばらしいことです。
いや、ほんとうに、世界中の
どの食べものを考えても、
日本食って、すばらしいですよ!
ええっと、そういう話じゃなくて‥‥ |
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糸井 |
いや、そういうオチが聞きたかったです。 |
一同 |
(笑)。 |
ジラール |
ですから、私たちがほんとうに
日本を実感するのは、お客さまです。
日本人の観客の姿から、
ほんとうに、ああ、日本だな、
という感覚をいただいています。
パフォーマーやクルー、
みんなそうだと思います。
ですから、みんなが日本を体験するのは、
ほんとうにこれから。
私もこれからもっともっと
日本を楽しみたいと思います。
今度は、いつごらんになりますか? |
糸井 |
本公演の公開の日に。
観客席で、お会いいたします。
ほんとうに、いやぁ、楽しみです。
ありがとうございました。 |
リン |
また、お会いしましょうね。 |
ジラール |
ありがとうございました。また。 |
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(これで、ジラールさん、リンさんのお話は
おしまいです。
次の連載をおたのしみに!)
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